中古音との対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/13 08:11 UTC 版)
いわゆる終戦後の「現代かなづかい」では漢字音で[o:]であるものは「おう」と書く事になっている。一方、いわゆる終戦前の「歴史的仮名遣」では「拗(漢音:あう)」・「欧(おう)」・「央(あう)」・「王(わう)」・「鴨(あふ)」の書き分けがある。 これらは江戸時代からいわゆる終戦直後までの近代日本では、今と同様「オー」と読まれていたようだが、これらの漢字音を取り入れた古代日本人はきちんと発音を区別していたことを反映している。この内「鴨」(あふ)や「甲」(かふ)の「ふ」はいわゆる入声で中古漢語の音節末にあった内破音[p]に由来するが、平安時代におきたハ行転呼により「う」に変化し、例えば「甲」は「かう」「かっ」と発音されるようになった。その後、鎌倉時代頃から母音の長音化がおこり、「あう」は[ɔː]になり、「おう」は[o:]になったが江戸時代になるとこの区別は失われ、ともに「オー」になった。なお中古音の音節末音[ŋ]は「う」または「い」で書き写したため、二重母音の終始音の[u]に由来するものとの区別はできていない。
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