この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。 出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方 ) 出典検索? : "上半平面" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL (2017年2月 )
数学 、とくにリーマン幾何学 あるいは(局所 )コンパクト群 の調和解析 において上半平面 (じょうはんへいめん、英 : upper half plane )は、虚部 が正 である複素数 全体の成す集合 をいう。上半平面は連結 な開集合 であり、それがリーマン球面 に埋め込まれているとみなしたとき、その閉包 を閉上半平面と呼ぶ。閉上半平面は上半平面に実軸と無限遠点 を含めたものである。(開いた)上半平面を慣例的に H や H あるいは
H
{\displaystyle {\mathfrak {H}}}
と記す(このとき、下半平面は H − や H − などと書かれ、対比的に上半平面を H + などと記すこともある)。上半平面は、リー群の表現論 やロバチェフスキーの双曲幾何学 などの舞台として数論・表現論的、幾何学的に重要な役割を果たす。
H
=
{
(
x
,
y
)
∈
R
2
∣
y
>
0
}
{\displaystyle \mathbb {H} =\{(x,y)\in \mathbb {R} ^{2}\mid y>0\}}
または
H
=
H
+
=
H
+
=
{
z
∈
C
∣
ℑ
z
>
0
}
=
{
x
+
y
i
∣
x
,
y
∈
R
,
y
>
0
}
,
{\displaystyle {\mathfrak {H}}={\mathfrak {H}}^{+}={\mathfrak {H}}_{+}=\{z\in \mathbb {C} \mid \Im \,z>0\}=\{x+yi\mid x,y\in \mathbb {R} ,\,y>0\},}
H
¯
=
H
∪
∂
H
=
H
+
∪
R
∪
{
∞
}
.
{\displaystyle {\bar {\mathfrak {H}}}={\mathfrak {H}}\cup \partial {\mathfrak {H}}={\mathfrak {H}}^{+}\cup \mathbb {R} \cup \{\infty \}.}
H
¯
∪
H
−
=
H
+
∪
H
−
∪
R
∪
{
∞
}
=
Riemann sphere
.
{\displaystyle {\bar {\mathfrak {H}}}\cup {\mathfrak {H}}_{-}={\mathfrak {H}}_{+}\cup {\mathfrak {H}}_{-}\cup \mathbb {R} \cup \{\infty \}={\mbox{ Riemann sphere}}.}
双曲モデル
ポワンカレの上半平面モデル と呼ばれる双曲幾何のユークリッド空間内での実現がある。このモデルでは、計量 が
d
(
z
z
¯
)
|
ℑ
z
|
2
{\displaystyle {\frac {d(z{\bar {z}})}{|\Im z|^{2}}}}
で与えられていて、実軸に近づくほどに空間が歪んでいる。双曲幾何のモデルとしての上半平面における「直線」(測地線 )は、両端がそれぞれ実軸に直交する円周(直線も半径無限大であると見なして円に含める)である。上半平面を単位円板
D
=
{
z
∈
C
∣
z
z
¯
<
1
}
{\displaystyle D=\{z\in \mathbb {C} \mid z{\bar {z}}<1\}}
に写す正則 な全単射
H
∋
z
↦
z
−
i
z
+
i
∈
D
{\displaystyle {\mathfrak {H}}\ni z\mapsto {\frac {z-i}{z+i}}\in D}
D
∋
w
↦
1
+
w
1
−
w
i
∈
H
{\displaystyle D\ni w\mapsto {\frac {1+w}{1-w}}i\in {\mathfrak {H}}}
が存在して、上半平面モデルは単位円板モデルと呼ばれる計量
d
(
z
z
¯
)
(
1
−
|
z
|
)
2
{\displaystyle {\frac {d(z{\bar {z}})}{(1-|z|)^{2}}}}
をもつ実現と互いにうつりあう。これは二つのモデルがリーマン面 として解析的同型であることを意味している。これらの閉包もやはり解析同相となるので、閉上半平面はコンパクトリーマン面になる。
SL(2) の表現論
上半平面にリー群 GL(2, R ) が
(
a
b
c
d
)
z
:=
a
z
+
b
c
z
+
d
for
z
∈
H
{\displaystyle {\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}}z:={\frac {az+b}{cz+d}}\quad {\text{ for }}z\in {\mathfrak {H}}}
によって(計量を保って)作用する。H は同じ作用で SL(2) の作用を受ける。このとき、z = i の固定部分群は
S
O
(
2
,
R
)
=
{
(
cos
θ
−
sin
θ
sin
θ
cos
θ
)
}
{\displaystyle SO(2,\mathbb {R} )=\left\{{\begin{pmatrix}\cos \,\theta &-\sin \,\theta \\\sin \,\theta &\cos \,\theta \end{pmatrix}}\right\}}
となるので、解析同相
H
≃
S
L
(
2
,
R
)
/
S
O
(
2
,
R
)
{\displaystyle {\mathfrak {H}}\simeq SL(2,\mathbb {R} )/SO(2,\mathbb {R} )}
が成り立つ。さらに SL(2, Z ) のような離散部分群 (しばしば Γ で表される)の作用で H を割った空間(これも適当な仕方でリーマン面の構造を持つ)の上の微分形式は保型形式 と呼ばれる数論 的対象を定める。
関連項目