ロープと滑車の滑車装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 04:30 UTC 版)
ロープと滑車を使った滑車装置はロープを引っ張る線形な力(張力)を何らかの負荷に伝達して、その負荷を(重力に対抗して)引っ張ることを目的とする。単純機械の1つに数えられることが多い。 単純な滑車装置では、摩擦を無視すれば機械的倍率を滑車の個数から計算できる。一方の端が固定されていないロープにかかる張力は一定であり、滑車と滑車の間に張っているロープをそれぞれ1本と数えると、機械的倍率は負荷を引っ張っているロープの本数に等しい。例えば下の図3では、ロープの一端が負荷に繋がっていて、そのロープで支えられた滑車も負荷に繋がっている。そのため、全部で3本のロープで負荷を支えていることになる。ロープの固定されていない端に100kgの張力をかければ、3本のロープそれぞれが100kgの力を発揮し、全体として300kgの負荷を支えることができる。つまり機械的倍率は3である。 負荷にかかる力は機械的倍率によって増加する。しかし、その負荷を移動させる場合、ロープの固定されていない端を引っ張った距離に対して負荷自体が移動する距離は逆に短くなる。大きな負荷を支えられるロープよりも細いケーブルの方が扱いやすいことから、ウィンチで物を引っ張る際に滑車装置による機械的倍率を適用することがよくある(例えば、クレーンに見られる)。 滑車装置は機械的倍率が整数になる唯一の単純機械である。 実際には滑車の数が増えると装置全体の効率は低下する。これは装置内でケーブルと滑車の間や滑車の回転機構に生じる摩擦が主な原因である。 滑車を誰がどこで発明したのかは分かっていない。滑車装置(複滑車)を初めて開発したのはアルキメデスだとプルタルコスが記している。プルタルコスによれば、アルキメデスは人を大勢乗せた戦艦を複滑車と自分の腕力だけで動かしたという。
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