レプチャ文字 (Unicodeのブロック)とは? わかりやすく解説

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レプチャ文字 (Unicodeのブロック)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/02 13:45 UTC 版)

レプチャ文字 (Unicodeのブロック)
Lepcha
範囲 U+1C00..U+1C4F
(80 個の符号位置)
基本多言語面
用字 レプチャ文字
主な言語・文字体系
割当済 74 個の符号位置
未使用 6 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
5.1 74 (+74)
公式ページ
コード表 ∣ ウェブページ
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レプチャ文字(レプチャもじ、英語: Lepcha)は、Unicodeの62個目のブロック

解説

インドシッキム州に居住するレプチャ人によって話されるシナ・チベット語族レプチャ語を表記するためのレプチャ文字(或いはロン(Rong)文字)を収録している。

レプチャ文字はチベット文字から派生した文字で、更にチベット文字はブラーフミー文字から派生した所謂ブラーフミー系文字(インド系文字)の一つであり、音素文字のうち子音字単独では短母音/-a/を伴って発音され、別の母音にする際に母音記号を付加することで発音を切り替えるアブギダに分類される。書字方向ラテン文字キリル文字などと同様に左から右へと横書き(左横書き)し、下に行を送る。単語毎に分かち書きをする。

他のブラーフミー系文字とは異なり、子音クラスタを表す際にヴィラーマのような殺母音記号を用いず、末子音を表す固有の子音記号を用いる。また、子音字に-l-を介音として持つ子音クラスタを一つの子音として扱う文字が含まれているのが特徴である。

母音記号はものによっては文字の左側に付けられるものもあるが、Unicodeにおいては子音字→母音記号の順に入力することとなっており、符号上の文字の置かれる順序と実際のレンダーにおける表示順とが入れ替わる場合がある。

加えて、アラビア文字タイ文字などと同様に独自の数字体系(レプチャ数字)を有している。

符号位置の順序はおおむね伝統的なレプチャ文字の順序に従っている。

Unicodeのバージョン5.1において初めて追加された。

収録文字

コード 文字 文字名(英語) 用例・説明 ラテン文字転写
子音字
U+1C00 LEPCHA LETTER KA 子音[k]を表す。 k
U+1C01 LEPCHA LETTER KLA 子音列[kl]を表す。 kl
U+1C02 LEPCHA LETTER KHA 子音[kʰ]を表す。 kh
U+1C03 LEPCHA LETTER GA 子音[ɡ]を表す。 g
U+1C04 LEPCHA LETTER GLA 子音列[ɡl]を表す。 gl
U+1C05 LEPCHA LETTER NGA 子音[ŋ]を表す。 ng
U+1C06 LEPCHA LETTER CA 子音[t͡ɕ]を表す。 c
U+1C07 LEPCHA LETTER CHA 子音[t͡ɕʰ]を表す。 ch
U+1C08 LEPCHA LETTER JA 子音[d͡ʑ]を表す。 j
U+1C09 LEPCHA LETTER NYA 子音[ɲ]を表す。 ny
U+1C0A LEPCHA LETTER TA 子音[t]を表す。 t
U+1C0B LEPCHA LETTER THA 子音[tʰ]を表す。 th
U+1C0C LEPCHA LETTER DA 子音[d]を表す。 d
U+1C0D LEPCHA LETTER NA 子音[n]を表す。 n
U+1C0E LEPCHA LETTER PA 子音[p]を表す。 p
U+1C0F LEPCHA LETTER PLA 子音列[pl]を表す。 pl
U+1C10 LEPCHA LETTER PHA 子音[pʰ]を表す。 ph
U+1C11 LEPCHA LETTER FA 子音[f]を表す。 f
U+1C12 LEPCHA LETTER FLA 子音列[fl]を表す。 fl
U+1C13 LEPCHA LETTER BA 子音[b]を表す。 b
U+1C14 LEPCHA LETTER BLA 子音列[bl]を表す。 bl
U+1C15 LEPCHA LETTER MA 子音[m]を表す。 m
U+1C16 LEPCHA LETTER MLA 子音列[ml]を表す。 ml
U+1C17 LEPCHA LETTER TSA 子音[t͡s]を表す。 ts
U+1C18 LEPCHA LETTER TSHA 子音[t͡sʰ]を表す。 tsh
U+1C19 LEPCHA LETTER DZA 子音[d͡z]を表す。 dz
U+1C1A LEPCHA LETTER YA 子音[j]を表す。 y
U+1C1B LEPCHA LETTER RA 子音[r]を表す。 r
U+1C1C LEPCHA LETTER LA 子音[l]を表す。 l
U+1C1D LEPCHA LETTER HA 子音[h]を表す。 h
U+1C1E LEPCHA LETTER HLA 子音列[hl]を表す。 hl
U+1C1F LEPCHA LETTER VA 子音[v]を表す。 v
U+1C20 LEPCHA LETTER SA 子音[s]を表す。 s
U+1C21 LEPCHA LETTER SHA 子音[ɕ]を表す。 sh
U+1C22 LEPCHA LETTER WA 子音[w]を表す。 w
U+1C23 LEPCHA LETTER A 子音[ʔ]を表す。
下接子音字
U+1C24 LEPCHA SUBJOINED LETTER YA 子音クラスタにおける介音としての[-j-]を表す。 y
U+1C25 LEPCHA SUBJOINED LETTER RA 子音クラスタにおける介音としての[-r-]を表す。 r
従属母音字
U+1C26 LEPCHA VOWEL SIGN AA 母音[a]を表す。

元々は長母音[aː]を表していた。

á
U+1C27 LEPCHA VOWEL SIGN I 母音[i]を表す。

文字の左側にレンダーされるため、符号上の文字順序と表示上の順序とが入れ替わる。

i
U+1C28 LEPCHA VOWEL SIGN O 母音[o]を表す。

文字の左側にレンダーされるため、符号上の文字順序と表示上の順序とが入れ替わる。

o
U+1C29 LEPCHA VOWEL SIGN OO 母音[ɔ]を表す。

元々は長母音[oː]を表していた。 文字の左側にレンダーされるため、符号上の文字順序と表示上の順序とが入れ替わる。

ó
U+1C2A LEPCHA VOWEL SIGN U 母音[ɯ]を表す。

元々は短母音[u]を表していた。

u
U+1C2B LEPCHA VOWEL SIGN UU 母音[u]を表す。

元々は長母音[uː]を表していた。

ú
U+1C2C LEPCHA VOWEL SIGN E 母音[e]を表す。 e
子音記号
U+1C2D LEPCHA CONSONANT SIGN K 末子音の[k]を表す。 k
U+1C2E LEPCHA CONSONANT SIGN M 末子音の[m]を表す。 m
U+1C2F LEPCHA CONSONANT SIGN L 末子音の[l]を表す。 l
U+1C30 LEPCHA CONSONANT SIGN N 末子音の[n]を表す。 n
U+1C31 LEPCHA CONSONANT SIGN P 末子音の[p]を表す。 p
U+1C32 LEPCHA CONSONANT SIGN R 末子音の[r]を表す。 r
U+1C33 LEPCHA CONSONANT SIGN T 末子音の[t]を表す。 t
U+1C34 LEPCHA CONSONANT SIGN NYIN-DO 末子音の[ŋ]を表す。母音aの後ろに付く場合の形状。

文字の左側にレンダーされるため、符号上の文字順序と表示上の順序とが入れ替わる。

ng
U+1C35 LEPCHA CONSONANT SIGN KANG 末子音の[ŋ]を表す。a以外の母音に付く場合の形状。

文字の左側にレンダーされるため、符号上の文字順序と表示上の順序とが入れ替わる。

ng
各種記号
U+1C36 LEPCHA SIGN RAN 母音[ə]を表す。

また、U+1C27 ᰧ LEPCHA VOWEL SIGN Iと共に用いて元々長母音[iː]だった母音[i](í)を表す。

â
U+1C37 LEPCHA SIGN NUKTA ヌクター。子音字を拡張して新たな発音を表す際に用いられる。

レプチャ文字においては子音列kr, hr, grに付いてそれぞれ反舌音の[ʈ], [ʈʰ], [ɖ]を表すのに用いられる。例えばᰀᰥは[kra]という音節を表すが、ᰀᰥ᰷は[ʈa]という音節になる[1]

約物
U+1C3B LEPCHA PUNCTUATION TA-ROL レプチャ文字における句点。欧文におけるピリオド(.)に相当する。 .
U+1C3C LEPCHA PUNCTUATION NYET THYOOM TA-ROL 長い節の終わりを表す。
U+1C3D LEPCHA PUNCTUATION CER-WA
U+1C3E LEPCHA PUNCTUATION TSHOOK CER-WA
U+1C3F ᰿ LEPCHA PUNCTUATION TSHOOK チベット文字のtsheg(U+0F0B ་)と呼ばれる記号に由来する[1]
数字
U+1C40 LEPCHA DIGIT ZERO レプチャ文字における数字の0 0
U+1C41 LEPCHA DIGIT ONE レプチャ文字における数字の1 1
U+1C42 LEPCHA DIGIT TWO レプチャ文字における数字の2 2
U+1C43 LEPCHA DIGIT THREE レプチャ文字における数字の3 3
U+1C44 LEPCHA DIGIT FOUR レプチャ文字における数字の4 4
U+1C45 LEPCHA DIGIT FIVE レプチャ文字における数字の5 5
U+1C46 LEPCHA DIGIT SIX レプチャ文字における数字の6 6
U+1C47 LEPCHA DIGIT SEVEN レプチャ文字における数字の7 7
U+1C48 LEPCHA DIGIT EIGHT レプチャ文字における数字の8 8
U+1C49 LEPCHA DIGIT NINE レプチャ文字における数字の9 9
追加の字母
U+1C4D LEPCHA LETTER TTA 近年になり新たに見られるようになった文字で[1]、[ʈ]を表す。
U+1C4E LEPCHA LETTER TTHA 近年になり新たに見られるようになった文字で[1]、[ʈʰ]を表す。 ṭh
U+1C4F LEPCHA LETTER DDA 近年になり新たに見られるようになった文字で[1]、[ɖ]を表す。

小分類

このブロックの小分類は「子音字」(Consonants)、「下接子音字」(Subjoined consonants)、「従属母音字」(Dependent vowels)、「子音記号」(Consonant signs)、「各種記号」(Various signs)、「約物」(Punctuation)、「数字」(Digits)、「追加の字母」(Additional letters)の8つとなっている[2]

子音字(Consonants

この小分類にはレプチャ文字のうち、基本的な子音字が収録されている。

下接子音字(Subjoined consonants

この小分類にはレプチャ文字のうち、子音クラスタを形成する際に介音として用いられる子音を表す、別の子音字に付く記号が収録されている。

従属母音字(Dependent vowels

この小分類にはレプチャ文字のうち、子音字に結合する母音記号が収録されている。

子音記号(Consonant signs

この小分類にはレプチャ文字のうち、末子音を表すために別の子音字に結合する子音記号が収録されている。

各種記号(Various signs

この小分類にはレプチャ文字のうち、母音字や子音字に結合する発音記号などの様々な記号が収録されている。

約物(Punctuation

この小分類にはレプチャ文字のうち、句読点などの約物類が収録されている。

数字(Digits

この小分類にはレプチャ文字で用いられる固有の数字が収録されている。

追加の字母(Additional letters

この小分類にはレプチャ文字のうち、近年になり用いられるようになった、反舌音を単独の文字で表すための追加の字母が収録されている。

文字コード

レプチャ文字(Lepcha)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+1C0x
U+1C1x
U+1C2x
U+1C3x ᰿
U+1C4x
注釈
1.^バージョン16.0時点


履歴

以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
5.1 U+1C00..1C37,1C3B..1C49,1C4D..1C4F 74 L2/05-061 Michael Everson (5 February 2005), Analysis of Indian proposal to encode Lepcha script in the UCS (英語)
L2/05-158 Michael Everson (15 June 2005), Proposal for encoding the Lepcha Script (WG2 N2947) (英語)
L2/06-017 WG2 (25 January 2006), ISO/IEC 10646 - Amd 3: Lepcha, Ol Chiki, Saurashtra, Vai, and other characters (see also Am3Names file) (英語)
L2/06-220 India N.B. (1 June 2006), Letter from Government of Sikkim regarding Lepcha Encoding (英語)
L2/06-315 SC2 Secty (26 September 2006), Summary of Voting on ISO/IEC JTC 1/SC 2 N 3875 : ISO/IEC 10646:2003/PDAM 3.2, Information technology -- Universal Multiple-Octet Coded Character Set (UCS) -- AMENDMENT 3: Lepcha, Ol Chiki, Saurashtra, Vai, and other characters (WG2 N3145) (英語)
L2/08-009 SC2 (7 January 2008), Table of Replies for ISO/IEC 10646: 2003/FDAM 3, Information technology -- Universal Multiple-Octet Coded Character Set (UCS) -- Amendment 3: Lepcha, Ol Chiki, Saurashtra, Vai and other characters (英語)
  1. ^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。

出典

  1. ^ a b c d e Michael Everson (2005年6月15日). “Proposal for encoding the Lepcha Script (WG2 N2947)” (英語). Unicode. 2024年11月2日閲覧。
  2. ^ "The Unicode Standard, Version 15.1 - U1C00.pdf" (PDF). The Unicode Standard (英語). 2024年11月2日閲覧

関連項目




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