レイリー・ジーンズの放射法則とは? わかりやすく解説

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レイリージーンズ‐の‐ほうしゃほうそく〔‐ハウシヤハフソク〕【レイリージーンズの放射法則】

読み方:れいりーじーんずのほうしゃほうそく

黒体からの熱放射黒体放射に関する法則。または振動数分布を表す公式を指す。古典物理学的な仮定から導かれたもので、長波長(低振動数)側では実験データ精度よく再現できるが、短波長(高振動数)側では大きなずれが生じる。1900年英国レイリー発表し1905年同じく英国のJ=ジーンズ修正した黒体放射スペクトルは後にプランク導いたプランクの放射法則により説明できるようになった


レイリー・ジーンズの法則

(レイリー・ジーンズの放射法則 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/05 03:36 UTC 版)

温度 8 mK の黒体から輻射される電磁波の分光放射輝度 I(ν,T)=c/ u(ν,T)ヴィーンの公式プランクの公式、レイリー・ジーンズの公式で比較した図。プランクの公式が全振動数領域で正しいのに対し、レイリー・ジーンズの公式は低振動数領域でのみ、近似的に成り立つ。

レイリー・ジーンズの法則(レイリー・ジーンズのほうそく、: Rayleigh–Jeans Law)は、黒体輻射におけるエネルギー密度の理論式の1つである。レイリー・ジーンズの公式とも呼ばれ、イギリスの物理学者であるレイリー卿ジェームズ・ジーンズに因む[1][2]。レイリー・ジーンズの公式は黒体から熱放射される電磁波、すなわち輻射場のある温度におけるエネルギー密度のスペクトル分布を与える。輻射場を一次元調和振動子の集まりとして扱い、古典統計力学を適用することで導かれる。この公式が適用できるのは長波長(低振動数)の限られたスペクトル領域のみであり、不完全な理論式である。全スペクトル領域で成り立つ完全な理論式は、量子論に基づくプランクの公式によって与えられる。しかしながら、レイリー・ジーンズの公式は古典物理学の限界を浮き彫りにし、輻射の理論や現代物理学の発展に重要な役割を果たした[3]

背景

溶鉱炉で熱した鉄が光を放射するように、物質を高温にしていくと物質原子から電磁波の熱輻射が生じる。逆に輻射された電磁波(輻射場)を受けた物質は、電磁波を吸収し、エネルギーは物質原子の熱運動に変わる。キルヒホッフの法則によれば、輻射場と熱平衡状態にある物質の輻射能と吸収能の比は、物質によらず、振動数と温度のみに依存する普遍的な関数となる[4]。これは特に黒体輻射の場合と一致する。また、この関数は分光放射輝度であり、輻射場のエネルギー密度に比例する。黒体はすべての振動数の電磁波を完全に吸収する理想的な物体であるが、黒体輻射は空洞炉内での熱輻射(空洞輻射)の形で実現できる。空洞炉内で輻射場は壁の物質からの放射と吸収を通じて、熱平衡状態になる。

理論

空洞炉内での輻射場が温度 T の熱平衡状態にあるとする。振動数ν から ν+dνの間にある輻射場の単位体積あたりのエネルギー密度u(ν,T)dν とすると、レイリー・ジーンズの公式は、

分光放射輝度I(λ,T)=c/ u(λ,T)をレイリー・ジーンズの公式とプランクの公式で比較した結果。黒線が古典物理学から導出されるレイリー・ジーンズの公式、それ以外がプランクの公式である。なお、可視光領域には波長に対応する色を重ね書きしている。短波長領域でレイリー・ジーンズの公式は無限大に発散し、特に紫外領域(UV)で顕著である。

u(ν,T) を全振動数(または u(λ,T) を全波長)の領域に亘って積分すれば、輻射場の全エネルギー密度を求めることができる。レイリー・ジーンズの法則に基づけば、



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