ヨコエソ科とは? わかりやすく解説

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ヨコエソ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2009/10/23 19:47 UTC 版)

ヨコエソ科
オオヨコエソ Gonostoma elongatum (上)
Bonapartia pedaliota (下)
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
: ワニトカゲギス目 Stomiiformes
亜目 : ヨコエソ亜目 Gonostomatoidei
: ヨコエソ科 Gonostomatidae
英名
Bristlemouths
下位分類
本文参照

ヨコエソ科Gonostomatidae)は、ワニトカゲギス目に所属する魚類の分類群の一つ。深海に生息する海水魚のみ、5属23種で構成される。所属する種数の上では比較的小さな科であるが、全体の生物量は非常に大きい。特に12種を含むオニハダカ属は、地球上の脊椎動物として最大の個体数をもつ一群と考えられている[1]

目次

特徴

ヨコエソ科魚類は大西洋インド洋太平洋など世界中の海に分布し、ミナミオニハダカなど一部の種類の生息範囲は極圏にまで及ぶ。所属するすべての魚類は水深200m以深で暮らす深海魚で、海底から離れた中層を漂って生活している。ハダカイワシなど他の中層遊泳性深海魚と同様に、体側および腹部に配列した多数の発光器による生物発光を行う[2]

環境条件の変化が少ない外洋の深海で生活するため、ヨコエソ科魚類の種ごとの分布範囲は非常に広大であることが多い。本科魚類の半数以上(12種)が所属するオニハダカ属の仲間は三大洋すべてに分布するものが多く、その総個体数は莫大である。オニハダカ属・ヨコエソ属の一部は雄性先熟型の雌雄同体で、すべての個体が雄として性成熟した後、ある程度成長すると雌に性転換する。

ヨコエソ科の化石記録は中新世にまで遡り、1958年にL. S. Bergによって報告された。本科魚類の英名である「bristlemouths」は、口に剛毛(bristle)のようなを備えることに由来する。

形態

ヨコエソ科の仲間は細長い体型をしており、近縁のムネエソ科(ムネエソ亜科)のように、強く側扁することはない。体長は最大で30cmにまで成長し、2cm程度で成熟する小型種も含まれる。太陽光のほとんど届かない深海に住むため黒色であることが多いが、比較的生息水深の浅い種類では白色から半透明の体色をもつ場合がある。背鰭と臀鰭は体のやや後方に位置する。臀鰭は16-31本の軟条で構成され、脂鰭の有無はさまざま。鰓条骨は12-16本、椎骨は29-40個。

分類

ヨコエソ科は5属23種で構成される[1]。かつて本科に含まれていたユメハダカ属(Diplophos)・Manducus 属・Triplophos 属の3属8種は、Nelson(2006)の体系において独立のユメハダカ科 Diplophidae として位置付けられるようになっている。

ミナミオニハダカ Cyclothone microdon (オニハダカ属)。オニハダカ類は非常に数が多く、ハダカイワシ類と並び中深層で支配的な存在となっている
Gonostoma bathyphilum (ツマリヨコエソ属)
Gonostoma denudatum (ツマリヨコエソ属)
レンジュエソ Margrethia obtusirostra (レンジュエソ属)
  • オニハダカ属 Cyclothone
    • ウスオニハダカ C. pallida
    • オニハダカ C. atraria
    • クロオニハダカ C. obscura
    • センオニハダカ C. acclinidens
    • ハイイロオニハダカ C. pseudopallida
    • ミナミオニハダカ C. microdon
    • ユキオニハダカ C. alba
    • C. braueri
    • C. signata
    • C. pygmaea
    • C. kobayashii
    • C. livida
    • C. parapallida
  • ツマリヨコエソ属 Gonostoma[3]
    • ツマリヨコエソ G. atlanticum
    • オオヨコエソ G. elongatum
    • G. bathyphilum
    • G. denudatum
    • G. longipinnis
  • ヨコエソ属 Sigmops
    • ヨコエソ S. gracilis
    • S. ebelingi
  • レンジュエソ属 Margrethia
    • レンジュエソ M. obtusirostra
    • M. valentinae
  • Bonapartia
    • B. pedaliota

出典・脚注

  1. ^ a b 『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.208-209
  2. ^ 『新版 魚の分類の図鑑』 pp.68-69
  3. ^ ツマリヨコエソ属とヨコエソ属の分類は研究者による異同が大きい。

参考文献

外部リンク



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