ミケルの定理とは? わかりやすく解説

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ミケルの定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/13 06:04 UTC 版)

ABCとそのそれぞれの辺上の点A' , B' , C' に対するミケルの定理(ミケル点M)。

ミケルの定理(みけるのていり、英語: Miquel's theorem)はフランスの高校教師であるオーギュスト・ミケルの名を冠する幾何学の諸定理である[1]。一般にミケルの定理と言えば、次の定理を指す。

三角形の3またはその延長英語版に点を一つずつとる。うち2点と、その間の三角形の頂点を通るは、一点で交わる。

他のミケルの定理と区別して、ミケルの三角形定理とも呼ばれる[2]。ミケルの発見した諸定理は、ジョゼフ・リウヴィルJournal de Mathématiques Pures et Appliquées によって出版された。

厳密にいうと、あるABCについて、直線BC, CA, AB上にそれぞれ点A' ,B' ,C' をとり、A'B'C, △B'C'A, △C'A'B外接円を描く。3つのミケル円は一点で交わる。さらに3つの角MA'C, ∠MB'A, ∠MC'Bは等しくまた、MA'B, ∠MB'C, ∠MC'A も等しい[3][4]

この定理は、 内接四角形の角の性質と有向角を用いることで示すことができる。円A'B'C, AB'C' の交点

幾つかの三角形のPivot Theorem

ミケルの定理を共線でない3点A' , B' , C' の成す三角形に着目した場合はForder (1960, p. 17)によってPivot theorem(ミケルの要の定理[5])と名づけられている[6]

ミケル点の三線座標

A' , B' , C' BC, CA, ABに対するfractional distances(線分の長さを1とした時の、線分の始点からの距離)をそれぞれda,db,dc線分BC, CA, ABの長さをそれぞれa,b,cとしてそのミケル点の三線座標(x,y,z)は以下の式で表される。

ミケルの四辺形定理
ミケルの五点円定理
ミケルの六円定理:4円の隣り合う円との交点の一方が共円なら、もう一方の交点も共円であるという定理。

相似な内接三角形

XYZが三角形ABC内接相似であるとき、任意のXYZにおいて、そのミケル点は不動である[7]:p. 257

ミケルの四辺形定理

完全四辺形英語版の辺から成る4つの三角形の外接円は一点で交わる[8]。これをミケルの四辺形定理またはミケルとシュタイナーの四辺形定理(Miquel and Steiner's Quadrilateral Theorem)という。また、この共点を四辺形のミケル点という。

この定理は、1827,1828年にヤコブ・シュタイナーによってジョセフ・ジェルゴンヌ の出版物(Annales de Gergonne)で発表されたが、厳密な証明はミケルによって与えられた[8][9]

ミケルの五点円定理

凸な五角形ABCDEについて、その辺を延長し星形五角形FGHIKをつくる。5つの円CFD,DGE,EHA,AIB,BKCの、隣り合う円の元の五角形の頂点でない方の交点は共円である[10]。これをミケルの五点円定理(Miquel's pentagon theorem)という。この定理の逆として、五円定理が知られている。

ミケルの六円定理

円上に四点A,B,C,Dをとり、隣り合う2点を通る円延べ4円を描く。それぞれの円について、4円の隣り合う円との交点の一方が共円ならば、もう一方の交点も共円である。これをミケルの六円定理(Miquel's six circle theorem)または六円定理(six circles theorem)、四円定理(four circles theorem)という[11]。ただし、六円定理は別の定理を指すこともある。この定理は一般にはシュタイナーによるものとされているが、証明を行ったのはミケルのみである[12]。 David G. Wellsはこの定理もMiquel's theoremと呼んでいる[13]

三次元におけるミケルの定理

三次元のミケルの定理:4つの球の交円(黒)は一点で交わる。

ミケルの定理は三次元に一般化されている。三角形を四面体に、円をに置き換える。4つの球は一点で交わる[4]

関連項目

出典

  1. ^ A high school teacher in the French countryside (Nantua) according to Ostermann & Wanner 2012, p. 94
  2. ^ 蟹江幸博 訳『幾何教程』丸善出版、2017年1月。ISBN 978-4-621-30131-9 
  3. ^ Miquel, Auguste (1838), “Mémoire de Géométrie”, Journal de Mathématiques Pures et Appliquées 1: 485–487, オリジナルの2013-02-13時点におけるアーカイブ。, https://archive.today/20130213095630/http://mathdoc.emath.fr/JMPA/feuilleter.php?id=JMPA_1838_1_3 
  4. ^ a b Wells 1991, p. 184 - Wells refers to Miquel's theorem as the pivot theorem
  5. ^ 横田捷宏「ミケルの要(pivot)の定理と連鎖円の研究」『初等数学』第71号、2014年、ISSN 1345-739X 
  6. ^ Coxeter & Greitzer 1967, p. 62
  7. ^ Francisco Javier Garc ́ıa Capita ́n, (2016). “Locus of Centroids of Similar Inscribed Triangles”. Forum Geometricorum (vol 16): 257-267. https://forumgeom.fau.edu/FG2016volume16/FG201631.pdf. 
  8. ^ a b Ostermann & Wanner 2012, p. 96
  9. ^ Steiner, J. (1827/1828), “Questions proposées. Théorème sur le quadrilatère complet”, Annales de Mathématiques 18: 302–304 
  10. ^ Ostermann & Wanner 2012, pp. 96–97
  11. ^ Pedoe 1988, p. 424
  12. ^ Ostermann & Wanner 2012, p. 352
  13. ^ Wells 1991, pp. 151–2

参考文献

外部リンク




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