プーシー【Phousi】
プーシーの丘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/21 04:08 UTC 版)

プーシーの丘(‐おか、ラーオ語:ພູສີ、英:Phou si、Phu Si)は、ラオスのルアンプラバーン市内にある高さ約150mの小高い丘。海抜は700mある。
ラオス人は、プーシーを仏教とヒンドゥー教の世界の軸(須弥山)と見なしており、ルアンパバーン宮殿(ラーオ語:ພະລາຊະວັງ ຫລວງພຣະບາງ)(現ルアンパバン国立博物館(ラーオ語:ພິພິ ທະພັນແຫ່ງຊາດຫຼວງພະບາງ)の真向かいに位置している[1]。
概要

頂上からは町全体が世界遺産に登録されているルアンプラバーン市内やメコン川とナムカーン川を一望できる。ほぼ360度の展望が可能で、観光の中心となっている。また、メコン川の向こう側に沈む夕日が見られる絶好のビューポイントで、夕刻の参拝者が特に多く、狭い山頂はひと時にぎわいを見せる。王宮博物館のすぐ向かいに登り口があり、観光客は途中で入場料を支払い328段の階段を上る。頂上にはタート・チョムシーという金色に塗色された仏塔が建つ。ときおり頂上では仏事が執り行われることがある。この塔は夜間にはライトアップされ、ルアンパバーンの地味な夜景に彩を添えている。
一般的な登山ルートは、王宮博物館前からだが、帰路は反対側の別の階段を下りると、比較的最近に設置された黄金の仏像や、仏足の納められた岩穴などを鑑賞できる。このルートは、途中さらに2方向に分かれ、シーサワンウォン通りに下りるルートとナムカーン川に沿った道に出るルートがある。
名の由来
この山には、かつてアマラ・ルーシー(ラーオ語:ອະມະຣະ ຣືໍສີ)とニョティカ・ルーシー(ラーオ語: ໂຍທິກະ ຣືໍສີ)という2人の仙人が神の導きによりたどり着き、プーシーの丘に都市の杭を穿ち、ルアンパバーンの町を造ったという伝説が残されていることから、「仙人(ルーシー)の山(プー)」と名づけられた。
ワット・タート・チョームシー

山頂には、1804年にアヌラート王(ラーオ語:ເຈົ້າ ອານຸລາດ)が建造したルアンパバーンIII様式のワット・タート・チョームシー(ラーオ語: ວັດທາດຈອມສີ)がある。古くは都市の杭の仏塔という意味のタート・ラックムアン仏塔(ラーオ語:ພະທາດຫລັກເມືອງ) と呼ばれた。タート・チョムシー仏塔(ラーオ語:ພະທາດຈອມພູສີ)は正方形で、その四隅には七層のブロンズ製のパラソルが4つ置かれている。基壇の幅10.5m、先端までの高さは21メートルである[2]。ラオス正月(ピーマイラオ)にはプーシーの頂上で托鉢の儀式が行われる[3]。仏塔のほかにも、プーシーの丘には仏足跡を祀るワット・タム・プーシー・ローイパバート(ラーオ語:ວັດຖ້ຳພູສີຮອຍພະບາດ)、ワット・パーケオ(ラーオ語:ວັດປ່າແກ້ວ)、ワット・シープッタバート(ラーオ語:ວັດສີພຸດທະບາດ)、ワット・パーフアク(ラーオ語:ວັດປ່າຮວກ)、ワット・パーパング(ラーオ語:ວັດປ່າຜ່າງ)、ワット・パーメーオ(ラーオ語:ວັດປ່າແມວ)、ワット・タートヌング(ラーオ語:ວັດທາດເນີ້ງ)など多くの寺院があり、古くよりヴィパッサーナー瞑想(ラーオ語:ວິປັດສະນາກຳມະຖານ)の教えの場となっている[3]。この山頂より太鼓で定期的に時間を知らせたり、災害や戦争時の警報の役割を持っていた。現在、寺院からの太鼓は朝10時半、夕方17時、布薩日の朝4時に叩かれる[3]。

菩提樹
1955年、インド仏教協会から菩提樹がシーサワン・ワッタナ皇太子とカターイ・ドンサソリット首相に贈呈された。うち1本はプーシーの丘の斜面にあるワット・パティアプに、もう1本はビエンチャンのタート・ルアンに仏暦2500年を記念して1957年初頭に植樹された[4]。
ナーガの住処

ルアンパバーンは15種族のナーガがメコン川、ナムカーン川や陸地を占拠していると考えられている。プーシー山の下にはナムカーン川からメコン川へと流れるトンネルがあり、そこにシーサタナーク(ラーオ語:ສີສັດຕະນາກ)が棲息しているという。メコン川への出入り口はワット・ターパバートタイ(ラーオ語:(ວັດພະບາດໃຕ້))の祠とされる[5]。

交通アクセス
- ルアンプラバーン王宮博物館前から、階段328 段で徒歩20分。これとは別に2つの登山道がある[6]。
- 拝観料:外国人30,000kip、ラオス人10,000Kip(2025年5月時点)[6]
- 開山時間:6:00 - 19:00
出典
- ^ Justin Thomas McDaniel『Gathering Leaves and Lifting Words : Histories of Buddhist Monastic Education in Laos and Thailand』University of Washington Press、2008年。
- ^ “CHOM SI – Luang Prabang World Heritage Office” (英語). 2025年7月20日閲覧。
- ^ a b c “ປະຫວັດຄວາມເປັນມາຂອງພະທາດພູສີ ຫລວງພະບາງ”. ກິນທີ່ນີ້, ທ່ຽວທີ່ນີ້(乐在老挝) (2025年7月17日). 2025年7月20日閲覧。
- ^ Khamvone Boulyaphonh『The Life, Work and Social Roles of the Most Venerable Sathu Nyai Khamchan Virachitta Maha Thela (1920–2007)』Geisteswissenschaften Universität、2015年。
- ^ Ladwig, Patrice & Phansone Phothichit『The Nāgas of Luang Prabang (ພະຍານາກແຫ່ງຫຼວງພະບາງ).』CK-Power.、2024年6月。
- ^ a b “ທ່ຽວຊິວໆ ວິວງາມໆ ແບບ 360 ອົງສາ”. Tourism Luang Prabang ທ່ອງທ່ຽວຫຼວງພະບາງ (2025年5月8日). 2025年7月20日閲覧。
参考文献
- 『D23 地球の歩き方 ラオス 2010~2011版』 ISBN 9784478057896 ISBN 978-4478057896
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