フランク・S・ベッソン・ジュニア大将級兵站支援艦とは? わかりやすく解説

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フランク・S・ベッソン・ジュニア大将級兵站支援艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/03 08:57 UTC 版)

フランク・S・ベッソン・ジュニア大将級
兵站支援艦
基本情報
種別 兵站支援艦 (LSV)
命名基準 アメリカ合衆国陸軍の軍人
運用者  アメリカ陸軍
就役期間 1988年 - 現在
建造数 8隻
要目
軽荷排水量 1,612 t
満載排水量 4,199 t
全長 83 m
最大幅 18.28 m
吃水
  • 1.75 m (軽荷)
  • 3.66 m (満載)
主機 GM EMD 16-645-E2ディーゼルエンジン×2基
推進器
出力 3,900 bhp
電力 599 kW
速力 12ノット
航続距離 5,500海里 (12kt巡航時)
燃料 524 t
乗員 士官6名+下士官兵24名
兵装 なし
レーダー ブリッジマスターE 航法用
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フランク・S・ベッソン・ジュニア大将級兵站支援艦英語: General Frank S. Besson-class Logistics Support Vessels)は、アメリカ陸軍輸送科が運用する兵站支援艦(LSV)の艦級[1][2]アメリカ陸軍が保有する艦艇としては最大のものである[3]

来歴

アメリカ陸軍の船艇のうち、上陸用舟艇(LCM・LCU)や兵站支援艦(LSV)は陸軍輸送科によって運用されている[2]。このうち兵站支援艦(LSV)に相当するのが本級であり、揚陸後方支援(Logistics Over The Shore, LOTS)[4]や低脅威度地域における兵站活動への投入が想定されていた[1][3]

陸軍輸送科では、もともと、旧式化した汎用揚陸艇(LCU)を更新するために舟艇24隻の建造を計画していた[5]。しかし検討の過程で、「ジョン・U・D・ページ」および「バンカー」の成功を背景として、これら2隻および陸軍保有の貨物船の代替用として、より大型の艦を導入することとなった[6][注 1]。まず1985年8月に4隻がノーフォーク造船所にされたものの、入札内容の曖昧さが問題になり、同年10月にキャンセルされた[5]。その後、1986年9月19日に改めて4隻が発注された[2]

設計

設計面では、オーストラリアのビーチング対応型RO-RO船「フランセス・ベイ」を元にしており、このため商船構造として民間の基準で建造された。同船と同様、戦車揚陸艦のように艦首に道板(バウ・ランプ)を有する一方、艦尾にも道板を有しており、RO-RO船としての性格も残されている。艦首尾の道板はいずれも幅8.23メートルであり、長さはそれぞれ15.2メートルと4.87メートルである[2]。1:30の勾配の海岸部にも擱座着岸を行うことができる[1]。その直後の車両甲板は975平方メートルの面積を確保して、816〜1,815メートルトンの車両ないし物資を搭載できる。M1エイブラムス15両を搭載でき、コンテナ搭載能力としては48 TEUとされている[2]

その後、2001年度から2003年度計画で建造された7・8番艦は、全長を12m延長した発展型とされている。車両甲板は10,500 sq ft (980 m2)と大差ないが、搭載量は2,000メートルトン、50 TEUとされており、主力戦車24両を搭載できる。また艦首には、道板に加えて観音開きの門扉が設置され、道板は23.16×5.49メートルの分節状のものとなった。9番艦の建造も計画されたが、2013年現在実現していない[2]

また1992年4月には、アメリカの軍事援助として、フィリピン海軍向けにバコロド・シティ級英語版2隻が建造された。これらは基本的に本級と同じ設計であるが、艦尾ランプを持たない代わりにヘリコプター甲板を備え、また兵員150名用の居住区を有する点で異なっている[8]

同型艦一覧

運用者 # 艦名 進水 就役
 アメリカ陸軍 LSV-1 フランク・S・ベッソン・ジュニア大将
USAV General Frank S. Besson, Jr
1987年6月 1988年1月
LSV-2 ハロルド C. クリンガー3等准尉
USAV CW3 Harold C. Clinger
1987年9月 1988年4月
LSV-3 ブレホン・B・サマーヴェル大将
USAV General Brehon B. Somervell
1987年11月 1988年7月
LSV-4 ウィリアム・B・バンカー中将
USAV Lt. General William B. Bunker
1988年1月 1988年9月
LSV-5 チャールズ・P・グロス少将
USAV Major General Charles P. Gross
1990年7月 1991年4月
LSV-6 ジェームズ・A・ルー四等特技兵
USAV SP4 James A. Loux
1994年4月 1995年7月
LSV-7 ロバート・T・クロダ二等軍曹
USAV SSGT Robert T. Kuroda
2003年3月 2006年8月
LSV-8 ロバート・スモールズ少将
USAV Major General Robert Smalls
2004年3月 2007年9月
 フィリピン海軍 LC 550 バコロド・シティー
BRP Bacolod City
n/a 1993年12月
LC 551 ダグパン・シティー
BRP Dagupan City
※「カガヤン・デ・オロ」より改名
1994年6月

脚注

注釈

  1. ^ 1958年、陸軍は全長338フィート (103 m)の擱座揚陸用艀である「ジョン・U・D・ページ中佐」(BDX-1X)の引き渡しを受けて、1959年のNODEX 1959演習において、海軍の貨物輸送艦「コメット」とともに揚陸後方支援活動をデモンストレーションした。このときには、「コメット」のバウ・ランプを「ページ」のスターン・ランプ上に降ろすことで、「コメット」の搭載物資・車両を「ページ」に移動させることができた[7]

出典

  1. ^ a b c Saunders 2009, p. 947.
  2. ^ a b c d e f Wertheim 2013, p. 926.
  3. ^ a b 吉富 2019.
  4. ^ Pagonis 1992, p. 64.
  5. ^ a b Couhat 1986, p. 716.
  6. ^ Killblane 2019, ch.7 A New Army.
  7. ^ Killblane 2019, ch.5 Cold War.
  8. ^ Wertheim 2013, p. 534.

参考文献

関連項目




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