フダーワーディー文字_(Unicodeのブロック)とは? わかりやすく解説

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フダーワーディー文字 (Unicodeのブロック)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/05 16:59 UTC 版)

フダーワーディー文字 (Unicodeのブロック)
Khudawadi
範囲 U+112B0..U+112FF
(80 個の符号位置)
追加多言語面
用字 フダーワーディー文字
主な言語・文字体系
割当済 69 個の符号位置
未使用 11 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
7.0 69 (+69)
公式ページ
コード表 ∣ ウェブページ
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フダーワーディー文字(フダーワーディーもじ、英語: Khudawadi)は、Unicodeブロックの一つ。

解説

19世紀後半までインド北西部やパキスタンシンド州などで話されるインド・ヨーロッパ語族インド・イラン語派インド語群に属するシンド語を表記するためにかつて用いられたフダーワーディー文字を収録している。ランダー文字から派生した文字体系であり、日常的な筆記、会計、その他の商業目的に用いられた。19世紀後半にイギリスによる統治において正書法が定められた影響によりこの文字体系は用いられなくなり、現在のシンド語はパキスタンではアラビア文字が、インドではデーヴァナーガリーが用いられる[1]

フダーワーディー文字はブラーフミー文字から派生した所謂ブラーフミー系文字(インド系文字)の一つであり、音素文字のうち子音字単独では暗黙の随伴母音/-a/を伴って発音され、別の母音にする際に母音記号を付加することで発音を切り替えるアブギダに分類される。ラテン文字などと同様に左から右への横書き(左横書き)であり、単語毎に分かち書きをする。

加えて、アラビア文字タイ文字などと同様に独自の数字体系(フダーワーディー数字)を有している。

符号位置の順序はおおむね伝統的なフダーワーディー文字の順序に従っている。

Unicodeのバージョン7.0において初めて追加された。

収録文字

ラテン文字転写」の列はブラーフミー系文字のラテン文字への翻字方式の一つであるISO 15919(及び一部はIAST)に従う。

コード 文字 文字名(英語) 用例・説明 ラテン文字転写
独立母音字
U+112B0 𑊰 KHUDAWADI LETTER A 短母音[a]を表す。 a
U+112B1 𑊱 KHUDAWADI LETTER AA 長母音[aː]を表す。 ā
U+112B2 𑊲 KHUDAWADI LETTER I 短母音[i]を表す。 i
U+112B3 𑊳 KHUDAWADI LETTER II 長母音[iː]を表す。 ī
U+112B4 𑊴 KHUDAWADI LETTER U 短母音[u]を表す。 u
U+112B5 𑊵 KHUDAWADI LETTER UU 長母音[uː]を表す。 ū
U+112B6 𑊶 KHUDAWADI LETTER E 長母音[eː]を表す。 e
U+112B7 𑊷 KHUDAWADI LETTER AI 長母音二重母音[ai̯]を表す。 ai
U+112B8 𑊸 KHUDAWADI LETTER O 長母音[oː]を表す。 o
U+112B9 𑊹 KHUDAWADI LETTER AU 二重母音[au̯]を表す。 au
子音字
U+112BA 𑊺 KHUDAWADI LETTER KA 子音[k]を表す。 k
U+112BB 𑊻 KHUDAWADI LETTER KHA 子音[kʰ]を表す。 kh
U+112BC 𑊼 KHUDAWADI LETTER GA 子音[ɡ]を表す。 g
U+112BD 𑊽 KHUDAWADI LETTER GGA 子音[ɠ]を表す。
U+112BE 𑊾 KHUDAWADI LETTER GHA 子音[ɡʱ]を表す。 gh
U+112BF 𑊿 KHUDAWADI LETTER NGA 子音[ŋ]を表す。
U+112C0 𑋀 KHUDAWADI LETTER CA 子音[c]を表す。 c
U+112C1 𑋁 KHUDAWADI LETTER CHA 子音[cʰ]を表す。 ch
U+112C2 𑋂 KHUDAWADI LETTER JA 子音[ɟ]を表す。 j
U+112C3 𑋃 KHUDAWADI LETTER JJA 子音[ʄ]を表す。
U+112C4 𑋄 KHUDAWADI LETTER JHA 子音[ɟʱ]を表す。 jh
U+112C5 𑋅 KHUDAWADI LETTER NYA 子音[ɲ]を表す。 ñ
U+112C6 𑋆 KHUDAWADI LETTER TTA 子音[ʈ]を表す。
U+112C7 𑋇 KHUDAWADI LETTER TTHA 子音[ʈʰ]を表す。 ṭh
U+112C8 𑋈 KHUDAWADI LETTER DDA 子音[ɖ]を表す。
U+112C9 𑋉 KHUDAWADI LETTER DDDA 子音[]を表す。
U+112CA 𑋊 KHUDAWADI LETTER RRA 子音[ɽ]を表す。
U+112CB 𑋋 KHUDAWADI LETTER DDHA 子音[ɖʱ]を表す。 ḍh
U+112CC 𑋌 KHUDAWADI LETTER NNA 子音[ɳ]を表す。
U+112CD 𑋍 KHUDAWADI LETTER TA 子音[t]を表す。 t
U+112CE 𑋎 KHUDAWADI LETTER THA 子音[tʰ]を表す。 th
U+112CF 𑋏 KHUDAWADI LETTER DA 子音[d]を表す。 d
U+112D0 𑋐 KHUDAWADI LETTER DHA 子音[dʱ]を表す。 dh
U+112D1 𑋑 KHUDAWADI LETTER NA 子音[n]を表す。 n
U+112D2 𑋒 KHUDAWADI LETTER PA 子音[p]を表す。 p
U+112D3 𑋓 KHUDAWADI LETTER PHA 子音[pʰ]を表す。 ph
U+112D4 𑋔 KHUDAWADI LETTER BA 子音[b]を表す。 b
U+112D5 𑋕 KHUDAWADI LETTER BBA 子音[ɓ]を表す。
U+112D6 𑋖 KHUDAWADI LETTER BHA 子音[bʱ]を表す。 bh
U+112D7 𑋗 KHUDAWADI LETTER MA 子音[m]を表す。 m
U+112D8 𑋘 KHUDAWADI LETTER YA 子音[j]を表す。 y
U+112D9 𑋙 KHUDAWADI LETTER RA 子音[r]を表す。 r
U+112DA 𑋚 KHUDAWADI LETTER LA 子音[l]を表す。 l
U+112DB 𑋛 KHUDAWADI LETTER VA 子音[ʋ]を表す。 v
U+112DC 𑋜 KHUDAWADI LETTER SHA 子音[ɕ]を表す。 ś
U+112DD 𑋝 KHUDAWADI LETTER SA 子音[s]を表す。 s
U+112DE 𑋞 KHUDAWADI LETTER HA 子音[h]を表す。 h
記号
U+112DF 𑋟 KHUDAWADI SIGN ANUSVARA アヌスヴァーラ

直後に音節が後続する子音字に付き、直後の子音と同じ調音点鼻音が挿入されることを表す。日本語における「」に相当する。

従属母音記号
U+112E0 𑋠 KHUDAWADI VOWEL SIGN AA 長母音[aː]を表す。 ā
U+112E1 𑋡 KHUDAWADI VOWEL SIGN I 短母音[i]を表す。 i
U+112E2 𑋢 KHUDAWADI VOWEL SIGN II 長母音[iː]を表す。 ī
U+112E3 𑋣 KHUDAWADI VOWEL SIGN U 短母音[u]を表す。 u
U+112E4 𑋤 KHUDAWADI VOWEL SIGN UU 長母音[uː]を表す。 ū
U+112E5 𑋥 KHUDAWADI VOWEL SIGN E 長母音[eː]を表す。 e
U+112E6 𑋦 KHUDAWADI VOWEL SIGN AI 長母音二重母音[ai̯]を表す。 ai
U+112E7 𑋧 KHUDAWADI VOWEL SIGN O 長母音[oː]を表す。 o
U+112E8 𑋨 KHUDAWADI VOWEL SIGN AU 二重母音[au̯]を表す。 au
各種記号
U+112E9 𑋩 KHUDAWADI SIGN NUKTA ヌクター。ペルシャ語アラビア語からの借用語において、子音字を拡張して新たな発音を表す際に用いられる。
U+112EA 𑋪 KHUDAWADI SIGN VIRAMA ヴィラーマ。殺母音記号。母音/-a/を発音せず子音のみが読まれることを表す。

レンダー上は、子音連続を表す場合次の文字と縦に並べて繋がったような合字を形成するための不可視の制御文字として機能する。

数字
U+112F0 𑋰 KHUDAWADI DIGIT ZERO 数字の0 0
U+112F1 𑋱 KHUDAWADI DIGIT ONE 数字の1 1
U+112F2 𑋲 KHUDAWADI DIGIT TWO 数字の2 2
U+112F3 𑋳 KHUDAWADI DIGIT THREE 数字の3 3
U+112F4 𑋴 KHUDAWADI DIGIT FOUR 数字の4 4
U+112F5 𑋵 KHUDAWADI DIGIT FIVE 数字の5 5
U+112F6 𑋶 KHUDAWADI DIGIT SIX 数字の6 6
U+112F7 𑋷 KHUDAWADI DIGIT SEVEN 数字の7 7
U+112F8 𑋸 KHUDAWADI DIGIT EIGHT 数字の8 8
U+112F9 𑋹 KHUDAWADI DIGIT NINE 数字の9 9

小分類

このブロックの小分類は「独立母音字」(Independent vowels)、「子音字」(Consonants)、「記号」(Sign)、「従属母音記号」(Dependent vowel signs)、「各種記号」(Various signs)、「数字」(Digits)の6つとなっている[2]

独立母音字(Independent vowels

この小分類にはフダーワーディー文字のうち、頭子音のない母音の音節を表す際に用いられる独立した母音字が収録されている。

子音字(Consonants

この小分類にはフダーワーディー文字のうち、基本的な子音字が収録されている。

記号(Sign

この小分類にはフダーワーディー文字のうち、様々な記号類が収録されている。

従属母音記号(Dependent vowel signs

この小分類にはフダーワーディー文字のうち、子音字に結合する母音記号が収録されている。

各種記号(Various signs

この小分類にはフダーワーディー文字のうち、母音字や子音字に結合する発音記号などの様々な記号が収録されている。

数字(Digits

この小分類にはフダーワーディー文字で用いられる固有の数字が収録されている。

文字コード

フダーワーディー文字(Khudawadi)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+112Bx 𑊰 𑊱 𑊲 𑊳 𑊴 𑊵 𑊶 𑊷 𑊸 𑊹 𑊺 𑊻 𑊼 𑊽 𑊾 𑊿
U+112Cx 𑋀 𑋁 𑋂 𑋃 𑋄 𑋅 𑋆 𑋇 𑋈 𑋉 𑋊 𑋋 𑋌 𑋍 𑋎 𑋏
U+112Dx 𑋐 𑋑 𑋒 𑋓 𑋔 𑋕 𑋖 𑋗 𑋘 𑋙 𑋚 𑋛 𑋜 𑋝 𑋞 𑋟
U+112Ex 𑋠 𑋡 𑋢 𑋣 𑋤 𑋥 𑋦 𑋧 𑋨 𑋩 𑋪
U+112Fx 𑋰 𑋱 𑋲 𑋳 𑋴 𑋵 𑋶 𑋷 𑋸 𑋹
注釈
1.^バージョン16.0時点


履歴

以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
7.0 U+112B0..112EA,112F0..112F9 69 L2/11-022 Anshuman Pandey (31 January 2011), Final Proposal to Encode the Khudawadi Script (WG2 N3979) (英語)
  1. ^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。

出典

  1. ^ Anshuman Pandey (2011年1月31日). “Final Proposal to Encode the Khudawadi Script (WG2 N3979)” (英語). Unicode. 2025年8月6日閲覧。
  2. ^ “The Unicode Standard, Version 16.0 - U112B0.pdf” (PDF). The Unicode Standard (英語). 2025年8月6日閲覧.

関連項目

  • フダーワーディー文字



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