ビッグボーイズ打線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/03 21:07 UTC 版)
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ビッグボーイズ打線(ビッグボーイズだせん)は、2008年から2009年まで使われたオリックス・バファローズ打線の愛称である。
概要
オリックスは2000年以降、2007年まで8年連続Bクラスと長期的な不振に苦しんでいた。そこで、積極的な打線の補強に踏み切る。
2007年に東京ヤクルトスワローズを自由契約になっていたグレッグ・ラロッカ、シンシナティ・レッズで結果を残せず引退を表明していたタフィ・ローズを獲得。2008年には西武ライオンズを自由契約になっていたアレックス・カブレラを獲得した。
ローズとカブレラはシーズン本塁打55本の日本記録保持者(当時)であり、ラロッカも2004年には40本塁打101打点を記録した強打者である。この3人の外国人選手を当時オリックスの監督だったテリー・コリンズがビッグボーイズと名付けた[1]のが、ビッグボーイズ打線の由来である。
2008年のオリックスは、ローズが打率.277、40本塁打、118打点で打点王、カブレラも打率.315、36本塁打、104打点と爆発し、ラロッカが怪我で26試合の出場に終わったものの、1997年以来の2位に輝いた。なお、ビッグボーイズの名付け親だったコリンズは5月に辞任し、大石大二郎が監督代行に就任している(その後8月に正式監督となる)。この他、同年の控え選手には清原和博もいたため、清原も時に代打でビッグボーイズ打線の仲間入りを果たすこともあった(清原は同年に引退)。
2009年はローズ、カブレラ、ラロッカは全員残留し、さらに東北楽天ゴールデンイーグルスを自由契約になったホセ・フェルナンデスを獲得。4人の外国人選手の通算本塁打が1014発(2008年終了時点)という超重量カルテットが結成され、「BIG4」と呼ばれた[2]。本来4人の外国人野手を同時に一軍登録することはできないが、ローズは読売ジャイアンツ在籍時の2004年に国内FA権を取得して外国人枠を外れており、さらにカブレラも前年に国内FA権を取得してこの年から外国人枠を外れたため、4外国人野手を同時に一軍登録することが可能となっていた。
3月17日の北海道日本ハムファイターズとのオープン戦では、豊島明好から1イニングに4人全員がホームランを放ち、期待通りの破壊力を見せ付けた。開幕してからも当初は4人全員がスタメンに名を連ねることも多く、4月12日の千葉ロッテマリーンズ戦、4月22日の埼玉西武ライオンズ戦では4人が3番から6番まで連続してスタメンで出場した(打順は2試合とも3番カブレラ、4番ローズ、5番フェルナンデス、6番ラロッカ)。だが、翌4月23日の西武戦でカブレラが骨折すると、ローズが5月13日の西武戦、ラロッカが7月28日の福岡ソフトバンクホークス戦、フェルナンデスが9月13日の西武戦でそれぞれ骨折し、結局4月23日を最後に4人が一軍に揃うことはなかった。チームも特にローズの離脱後は長打力不足に陥り低迷、シーズンを最下位で終えることになった。
シーズン終了後にローズとフェルナンデスが自由契約となり、ビッグボーイズは事実上ここで解散。残ったカブレラとラロッカも2010年に自由契約となった。
布陣
※太字はリーグトップ
2008年
打順 | 守備 | 選手 | 打席 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 中 | 坂口智隆 | 左 | .278 | 2 | 32 | 13 | .310 | .339 | .649 | ゴールデングラブ賞(外) |
2 | 左 | 村松有人 | 左 | .265 | 1 | 16 | 4 | .327 | .350 | .677 | 7月に離脱し、小瀬が台頭。 |
3 | 一 | アレックス・カブレラ | 右 | .315 | 36 | 104 | 2 | .394 | .593 | .987 | ベストナイン(一)、ゴールデングラブ賞(一) |
4 | DH | タフィ・ローズ | 左 | .277 | 40 | 118 | 2 | .394 | .583 | .977 | 打点王、ベストナイン(指) |
5 | 三 | 北川博敏 | 右 | .265 | 13 | 49 | 4 | .340 | .449 | .789 | グレッグ・ラロッカ離脱からスタメン起用。 |
6 | 捕 | 日高剛 | 左 | .269 | 13 | 47 | 1 | .325 | .432 | .756 | 初の規定打席到達。チームトップ18犠打。 |
7 | 二 | 後藤光尊 | 左 | .285 | 14 | 57 | 13 | .327 | .466 | .793 | 9月に月間21打点を記録。 |
8 | 右 | 下山真二 | 右 | .270 | 10 | 44 | 3 | .344 | .438 | .782 | 1番、2番打者として多く起用。 |
9 | 遊 | 大引啓次 | 右 | .258 | 3 | 26 | 1 | .291 | .371 | .662 | 得点圏打率.319を記録。 |
守備 | 選手 | 打席 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
右 | 濱中治 | 右 | .253 | 9 | 29 | 0 | .331 | .447 | .778 | 代打としてチーム最多出場(同率に清原、村松がいる)。 |
三 | 塩崎真 | 右 | .222 | 1 | 6 | 0 | .314 | .294 | .608 | 主に三塁の守備固めとして起用。 |
左 | 小瀬浩之 | 左 | .262 | 1 | 19 | 7 | .342 | .346 | .688 | 7月の村松離脱時、9番打者としてスタメン起用され台頭。 |
二 | 一輝 | 右 | .295 | 5 | 20 | 1 | .342 | .475 | .817 | 後藤、大引離脱時にスタメン起用。 |
二/遊 | 阿部真宏 | 右 | .218 | 0 | 9 | 1 | .273 | .261 | .534 | 後藤、大引離脱時にスタメン起用。 |
チーム打率:.262(リーグ5位)、得点:637点(リーグ3位)、本塁打:152本(リーグ2位)、二塁打:258本(リーグ3位)、三塁打:25本(リーグ4位)。
2009年
「BIG4」全員がシーズン中に骨折となり、4人が出揃った試合は6試合のみ[3]。4月12日の打線を下記に記載。
打順 | 守備 | 選手 | 打席 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 右 | 大村直之 | 左 | .291 | 0 | 30 | 5 | .326 | .341 | .667 | 左翼手としてチーム最多出場。 |
2 | 中 | 坂口智隆 | 左 | .317 | 5 | 50 | 16 | .381 | .416 | .797 | ゴールデングラブ賞(外) 1番打者としてチーム最多出場。 |
3 | 一 | アレックス・カブレラ | 右 | .314 | 13 | 39 | 0 | .400 | .519 | .919 | 4月23日西武戦で小指骨折[3]。 |
4 | 左 | タフィ・ローズ | 左 | .308 | 22 | 62 | 0 | .402 | .583 | .985 | 5月13日西武戦で第5中手骨骨折[3]。 |
5 | DH | ホセ・フェルナンデス | 右 | .261 | 15 | 47 | 4 | .318 | .422 | .740 | 9月13日西武戦で左頬を骨折[3]。 |
6 | 三 | グレッグ・ラロッカ | 右 | .287 | 12 | 43 | 0 | .357 | .487 | .844 | 7月28日ソフトバンク戦で右手第5中手骨を骨折[3]。 |
7 | 二 | 後藤光尊 | 左 | .274 | 4 | 17 | 8 | .298 | .389 | .688 | 複数回肉離れで離脱。 |
8 | 捕 | 日高剛 | 左 | .254 | 5 | 34 | 1 | .291 | .356 | .647 | 7番打者としてチーム最多出場。 |
9 | 遊 | 大引啓次 | 右 | .278 | 5 | 25 | 3 | .353 | .393 | .745 | 2番打者としてチーム最多出場。 |
守備 | 選手 | 打席 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
右 | 下山真二 | 右 | .256 | 13 | 47 | 4 | .348 | .467 | .814 | 右翼手としてチーム最多出場。 |
一/三 | 北川博敏 | 右 | .273 | 2 | 31 | 0 | .329 | .363 | .692 | 代打としてチーム最多出場。助っ人離脱時にスタメン起用。 |
二/遊 | 山﨑浩司 | 右 | .297 | 3 | 26 | 2 | .343 | .386 | .730 | 後藤離脱時にスタメン起用。 |
右 | 小瀬浩之 | 左 | .303 | 0 | 11 | 7 | .335 | .359 | .693 | |
二/三 | 阿部真宏 | 右 | .264 | 1 | 23 | 1 | .345 | .365 | .710 | 後藤と大引離脱時にスタメン起用。 |
捕 | 鈴木郁洋 | 右 | .200 | 0 | 8 | 8 | .277 | .236 | .513 | 日高離脱時にスタメン起用。 |
チーム打率:.274(リーグ2位)、得点:585点(リーグ6位)、本塁打:118本(リーグ4位)、二塁打:257本(リーグ2位)、三塁打:12本(リーグ6位)。
関連項目
- ブルーサンダー打線 - 前身チームであるオリックス・ブレーブス、オリックス・ブルーウェーブの打線
- ミックスモダン打線 - 2006年のオリックス・バファローズ打線の愛称
脚注
- ^ コリンズ監督命名「ビッグ・ボーイズ」[リンク切れ]、日刊スポーツ、2008年2月26日掲載。
- ^ オリックス「BIG4」が11日お披露目、日刊スポーツ、2009年3月10日掲載。
- ^ a b c d e “4人で通算1000本塁打超え!「オリックスのビッグボーイズ打線」”. VICTORY (2018年1月25日). 2025年2月12日閲覧。
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