バルバロらの訳
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その後、カトリックでは1953年にサレジオ会のフェデリコ・バルバロ (Federico Barbaro) が口語で新約聖書を全訳、出版した。当初はラゲ訳を口語に置き換えただけという批判もあったが、1957年にその改訂版が刊行され、訳文も一新された。バルバロ訳はヴルガータを底本とし、ギリシャ語聖書も参照したとのことではあったが、実際には現代イタリア語訳などにも少なからず依拠したものだったと言われる。 さらに神父アロイジオ・デルコル (Aloysio Del Col) との共訳で旧約聖書を翻訳し(創世の書からネヘミア書までがデルコル、残りがバルバロ)、1964年にドン・ボスコ社から『旧約・新約聖書』を刊行した。これはカトリックによる初の旧約・新約聖書の全訳であり、プロテスタント系の聖書が含んでいなかった第二正典を含む全訳という意味でも初めてのものである。さらにバルバロは旧約のデルコルの担当部分を改訳し、バルバロ単独名義で『聖書』(講談社、1980年)を出版した。バルバロは『新約聖書』を1975年に講談社からも出すに当たって改訂していたが、上記の1980年版はそれ以前の訳に基づき、漢字・かな表記などを修正したものだという。ただし、バルバロ訳には名訳といえる箇所が散見される反面、平明さがかえって格調を保つことに差し支えている箇所もあり、また底本の問題から学術的には高く評価しがたい。
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