バッキンガムのπ定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 01:52 UTC 版)
バッキンガムのπ定理(Buckingham Π theorem)とは、数理物理学の分野において、次元解析の基礎となる理論である。大雑把に言うと、物理的な関係式が物理変数をn 個含み、それらの変数がk 種類の独立な基本単位を持つならば、その式は元の物理変数で構成されるp = n - k 個の無次元パラメータを含む式と等価であるという定理である。この定理により、与えられた物理変数から、たとえ関係式の形が不明であっても無次元パラメータを求めることができる。物理量を無次元量で書き直せば、式の次元の一致・不一致をチェックする必要がなくなり、解析が簡単になる。ただし、無次元パラメータの選び方は一意ではない。バッキンガムのΠ定理は無次元パラメータを求める方法を与えるだけであり、物理的に意味のあるものを選ぶわけではない。 2つの物理的な系の無次元パラメータが一致するとき、それらの系は相似であるという(大きさのみが異なる三角形を相似と呼ぶのと同様である)。これらの系は数学的には等価であるため、解析をするために便利な(実験などがしやすい)系を選ぶことができる。 より正確に表現すると、無次元パラメータの個数p は次元行列M の退化次数 null M に等しく、k はその階数 rank M に等しい。物理的に異なる系に対して、無次元パラメータが等しくなるなら、それらの系は数学的に等価である。
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