ナッシュ不等式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/21 17:29 UTC 版)
John Nash (1958) によって導入されたナッシュ不等式によると、すべての u ∈ L1(Rn) ∩ W 1,2(Rn) に対してある定数 C > 0 が存在し、次が成立する: ‖ u ‖ L 2 ( R n ) 1 + 2 / n ≤ C ‖ u ‖ L 1 ( R n ) 2 / n ‖ D u ‖ L 2 ( R n ) . {\displaystyle \|u\|_{L^{2}(\mathbf {R} ^{n})}^{1+2/n}\leq C\|u\|_{L^{1}(\mathbf {R} ^{n})}^{2/n}\|Du\|_{L^{2}(\mathbf {R} ^{n})}.} この不等式は、フーリエ変換の基本的な性質より従う。実際、半径 ρ の球の補集合についての積分に対して、 ∫ | x | ≥ ρ | u ^ ( x ) | 2 d x ≤ ∫ | x | ≥ ρ | x | 2 ρ 2 | u ^ ( x ) | 2 d x ≤ ρ − 2 ∫ R n | D u | 2 d x {\displaystyle \int _{|x|\geq \rho }\left|{\hat {u}}(x)\right|^{2}\,dx\leq \int _{|x|\geq \rho }{\frac {|x|^{2}}{\rho ^{2}}}\left|{\hat {u}}(x)\right|^{2}\,dx\leq \rho ^{-2}\int _{\mathbf {R} ^{n}}|Du|^{2}\,dx} (1) がパーセバルの定理より従う。一方、 | u ^ | ≤ ‖ u ‖ L 1 {\displaystyle |{\hat {u}}|\leq \|u\|_{L^{1}}} が得られるため、これを半径 ρ の球について積分すると ∫ | x | ≤ ρ | u ^ ( x ) | 2 d x ≤ ρ n ω n ‖ u ‖ L 1 2 {\displaystyle \int _{|x|\leq \rho }|{\hat {u}}(x)|^{2}\,dx\leq \rho ^{n}\omega _{n}\|u\|_{L^{1}}^{2}} (2) が得られる。ここで ωn は n 球の体積である。(1) と (2) の和を最小化するように ρ を選び、再びパーセバルの定理を適用することで、 ‖ u ^ ‖ L 2 = ‖ u ‖ L 2 {\displaystyle \|{\hat {u}}\|_{L^{2}}=\|u\|_{L^{2}}} が得られる。これによりナッシュ不等式が従う。 n = 1 であるような特別な場合、ナッシュ不等式は Lp に対して拡張され、その場合はガリャルド=ニーレンバーグ=ソボレフ不等式の特別な場合と見なされる (Brezis 1999)。実際、I が有界区間なら、すべての 1 ≤ r < ∞ と 1 ≤ q ≤ p < ∞ に対して、次の不等式が成り立つ。 ‖ u ‖ L p ( I ) ≤ C ‖ u ‖ L q ( I ) 1 − a ‖ u ‖ W 1 , r ( I ) a . {\displaystyle \|u\|_{L^{p}(I)}\leq C\|u\|_{L^{q}(I)}^{1-a}\|u\|_{W^{1,r}(I)}^{a}.} 但し a ( 1 q − 1 r + 1 ) = 1 q − 1 p {\displaystyle a\left({\frac {1}{q}}-{\frac {1}{r}}+1\right)={\frac {1}{q}}-{\frac {1}{p}}} が成立するものとする。
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