デイル&グレイスとは? わかりやすく解説

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デイル&グレイス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/30 05:59 UTC 版)

デイル&グレイス
デイル&グレイス(1963年)
基本情報
出身地 アメリカ合衆国 ルイジアナ州
ジャンル スワンプ・ポップロックンロール
活動期間 1963年 - 1965年
レーベル モンテル、ミッシェル
メンバー
  • デイル・ヒューストン
  • グレイス・ブルッサード
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デイル&グレイスDale & Grace)は、1960年代に活動したアメリカ合衆国スワンプ・ポップのヴォーカル・デュオである。1963年リリースのドン&デューイのカバー曲「I’m Leaving It Up To You」(邦題:さよならデート[1])のヒットで知られる。

来歴

デイル・ヒューストンDale Houston1940年4月23日 - 2007年9月27日)とグレイス・ブルッサードGrace Broussard1939年2月5日[2] - )は1963年に初めてデュオとしてレコーディングを行ない、1965年まで活動を共にした。デビュー曲「I’m Leaving It Up To You」は1963年にビルボード・ポップ・チャートの1位を記録し[3]、ゴールド・ディスクに認定された[4]。他「Stop And Think It Over」は1964年に同8位、「The Loneliest Night」は同じく1964年に85位を記録している[3]

デュオ結成以前

デイル・ヒューストンは、父クロード、母エッシーの子としてミシシッピ州コヴィントン郡の小さな町、セミナリーに生まれた。出生名は、ロバート・デイル・ヒューストンである[5]。彼は、自宅台所のテーブル上で助産師によって取り上げられた。彼の生後、ヒューストン家はコヴィントン郡の郡庁所在地のコリンズに引っ越し、父クロードはそこでキリスト教の牧師となった[6]。ヒューストンは6年生のときピアノのレッスンを受け始めたものの、家族は貧しかったため3ヶ月後にはそれを止め、以後彼は教会で楽器を弾いて歌い独学で学んだ。

1959年、彼はジェイ・ミラーのロッコ(Rocko)・レコードよりシングル「Won't You Believe Me」/「Big Time Operator」でレコード・デビューする。翌年には同レーベルより2枚目のシングル「Lonely Man」/「(Big Bad) City Police」をリリースし、「Lonely Man」は短期間ながらトップ100に食い込む小ヒットとなっている[7][8]。この年、バトンルージュレコード・レーベル経営者で音楽プロデューサーのサム・モンテル(サム・モンタルバーノ)がデイルのパフォーマンスを地元のバーで聴いて才能を感じ[4]、彼をモンテル・レコード専属のソングライターとして迎え入れた[7]

グレイス・ブルッサードは、デイルの1つ年上で、1939年にバトンルージュの近郊南に位置するプレイリーヴィルに生まれている。兄はスワンプ・ポップの知られたシンガー、ヴァン・ブルッサードで、彼女は16歳の頃から兄と歌手活動を行なっていた[7]。1960年、兄とのデュオ、ヴァン&グレイス名義でのシングル「Feel So Good」/「Young Girls」をモンテル・レコードからリリースした[9][2]

デュオの結成

1963年時点で、デイルはミシシッピ州 ナチェズの西側の町、ルイジアナ州フェリデイのバーで活動をしていた。この頃モンテルは、デイルに対し、グレイスと組んで活動することを提案。両者とも彼のレーベル、モンテル・レコード所属であり、数年の活動実績があった[10][11]

彼らは顔を合わせ、モンテルの自宅のピアノで4時間に渡り練習をした[6]。デイルが「I’m Leaving It Up To You」をプレイし出すと、隣の部屋で寝ていたモンテルは飛び起き「もう一度やってくれ!これはヒットするぞ!」と叫んだという[5]。この曲は間もなくレコーディングされ、モンテルの所有するもう一つのレーベル、ミッシェル・レコードから地元でリリースした。フレッド・ブロンソンの「ビルボード・ブック・オヴ・ナンバー・ワン・ヒッツ」によると、この曲はヒューストンのトップ40ラジオ局KNUZで人気に火が付き、局所属7名のDJの全会一致で彼らの選ぶ「その週のヒット」に選ばれている。モンテルはバイオリンの編曲を変更したいと考えたが、KNUZのDJに変更しないよう説得された。このシングルは、全米においてはプロデューサーの[[ヒューイ・モーによる交渉の末、フィラデルフィアのジェイミー/ガイデン・レコードによってモンテル・レコードの921番として配給となった[11][12]

ヒットになるとのモンテルの予想は的中し、「I'm Leaving It Up To You」はポップ・チャートの1位となり、2週続けてその位置を保った。デイル&グレイスは、別のルイジアナ州出身のシンガー、ジェイ・シェヴァリエと共にツアーに出ている[13]。この曲はビルボードのアダルト・コンテンポラリー・チャートでも1位となった[14]

デイル&グレイスは1964年8月にディック・クラークアメリカン・バンドスタンドにも出演した[15]。1963年の秋には、デイル&グレイスはクラークの企画するキャラヴァン・オヴ・スターズのツアーに出ている。これに参加した他のアーティストにはブライアン・ハイランドボビー・ヴィーらがいた[12]

1964年、彼らはデビュー・アルバム『I'm Leaving It Up To You and 11 Other Hit Songs』をリリースした[16]

解散

ビートルズをはじめとするブリティッシュ・インヴェイジョンと共に彼らの勢いは失われ[7]、またグレイスがツアーでホームシックになってしまったこと、デイルが重篤な病気となり入院したことなど、両者の個人的な問題も重なり、デュオは1965年に解散した。その後グレイスは兄ヴァンとの活動に戻っている[17]。グレイスは1967年には、"リトル"・グレイス・リトルの名義でシングル「You’ll Hurt Me (All Over Again)」/「Paper Backs And Blues」(Abbee)をリリースしている[2][18]

一方、デイルは別のパートナー、コニー・サテンフィールドと組み新たな「デイル&グレイス」として活動を開始。一方、グレイスも兄とのデュオをデイル&グレイスと名乗り、活動した[19]

両者の関係は険悪になってしまったが、解散から20年後にデイルの妻パトリシアの仲介により、デイル&グレイスは一時的に復活し、暫くの間活動をした[19]

デイルの死

デイルは2007年9月27日、心不全のためミシシッピ州ハッティズバーグのウェズリー・メディカル・センターにて死去した。67歳であった。彼の葬儀では友人のトロイ・ションデルが音楽パフォーマンスを行なった。彼はミシシッピ州コリンズのスマーナ墓地に埋葬された[20]

受賞

2007年4月7日、デイル&グレイスはルイジアナ州フェリデイのデルタ・ミュージック・ミュージアムの殿堂に加えられた。2007年10月27日には、ルイジアナ・ミュージックの殿堂入りをしている。この式典では当初デイル&グレイスが再結成して特別パフォーマンスを行なう予定であったが、その1ヶ月前の9月27日、デイル・ヒューストンは腹痛を訴えて入院し、その日死去した。式典ではグレイス・ブルッサードがトロイ・ションデルとデュエットで「I'm Leaving It Up To You」を披露した[7]

この他デイル&グレイスは1997年にルイジアナ殿堂に、1998年には湾岸殿堂に迎えられている[19]

ディスコグラフィー

アルバム

  • 1964年『I'm Leaving It Up To You And 11 Other Hit Songs』(Montel)

シングル

  • 1963年「I'm Leaving It Up To You」/「That's What I Like About You」(Michelle/Montel 921)
  • 1963年「Teenage Love」/「Bye Bye Love」(London 3130)
  • 1964年「Stop And Think It Over」/「Bad Luck」(Michelle/Montel 922)
  • 1964年「The Loneliest Night」/「I’m Not Free」(Michelle/Montel 928)
  • 1964年「Darling It's Wonderful」/「What's Happening to Me」(Michelle/Montel 930)
  • 1964年「The Tip Of My Fingers」/「Double Shot Of My Baby's Love」/「Happy Happy Birthday」/「Love Is Strange」(London RE.1429)
  • 1965年「Cool Water」/「Rules Of Love」(Michelle/Montel 936)
  • 1965年「What Am I Living For」/「Something Special」(Michelle/Montel 942)

脚注

  1. ^ さよならデート I'm Leaving Up To You - デール・アンド・グレイス”. ポップス&ロック (2020年11月7日). 2025年6月30日閲覧。
  2. ^ a b c Happy 86th Birthday to the “Queen of Swamp Pop”……Grace Broussard.” (英語). Louisiana Jukebox Cafe. 2025年4月17日閲覧。
  3. ^ a b Dale & Grace” (英語). Billboard Database. 2025年4月17日閲覧。
  4. ^ a b Murrells, Joseph (1978). The Book of Golden Discs (2nd ed.). London: Barrie and Jenkins Ltd. p. 158. ISBN 0-214-20512-6. https://archive.org/details/bookofgoldendisc00murr/page/158 
  5. ^ a b Obituary in The Times (UK), October 18, 2007, timesonline.co.uk
  6. ^ a b Dale & Grace Page”. Tsimon.com. 2021年6月11日閲覧。
  7. ^ a b c d e Dale & Grace” (英語). Louisiana Music Hall Of Fame. 2025年4月17日閲覧。
  8. ^ Dale & Grace” (英語). Museum of the Gulf Coast. 2025年4月17日閲覧。
  9. ^ Van & Grace – Feel So Good / Young Girls” (英語). Discogs. 2025年4月17日閲覧。
  10. ^ “Artists Biographies”. Billboard Magazine 75 (44): 12. (1963-11-02). ISSN 0006-2510. 
  11. ^ a b John Broven, South to Louisiana: The Music of the Cajun Bayous. Pelican Publishing Company, 1987, pp. 265-266.
  12. ^ a b Fred Bronson, The Billboard book of number 1 hits. Billboard Books, 2003, p. 140.
  13. ^ Joel Whitburn, Top Pop Singles 1955-1999, (Menomonee Falls, WI: Record Research, 2000), p. 923.
  14. ^ Bronson, Fred (2003). The Billboard Book of Number One Hits - revised & enlarged. New York: Billboard Books. pp. 140. ISBN 0-8230-8298-9. https://archive.org/details/billboardbookofn0000bron/page/140 
  15. ^ American Bandstand 1964- Interview Dale and Grace - YouTube
  16. ^ Colin Larkin, ed (1997). The Virgin Encyclopedia of Sixties Music (First ed.). Virgin Books. p. 138. ISBN 0-7535-0149-X 
  17. ^ Aswell, Tom (2009). Louisiana Rocks!: The True Genesis of Rock and Roll. Gretna, Louisiana: Pelican Publishing. pp. 155. ISBN 9781455607839 
  18. ^ “Little” Grace Little – You’ll Hurt Me (All Over Again)”. Discogs. 2025年4月17日閲覧。
  19. ^ a b c Dale And Grace Page”. ClassicBands.com. 2025年4月17日閲覧。
  20. ^ The Dead Rock Stars Club 2007 July To December”. Thedeadrockstarsclub.com. 2021年6月11日閲覧。



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