ディファレンシャル・エントラップメント
【英】: differential entrapment
W. C. Gussow が提唱した石油・ガスの集積に関する一つの説で、差別捕捉説ともいわれる(図 1, 図 2 参照)。 一つの孔隙性のある地層が連続的に分布する地域内で、その地層の地域的傾斜(regional dip)の方向にいくつかの背斜トラップが並んでいる場合に、地域的傾斜の下方位にあるトラップにはガスのみからなる鉱床、その傾斜上方のトラップにはガス・キャップを持つ油の鉱床、さらにその傾斜上方のトラップには油のみの鉱床、そしてさらにその傾斜上方のトラップには水が満たされ、石油・ガス鉱床がないということがしばしばみられる。ディファレンシャル・エントラップメント説では、これを次のように説明する。 すなわち、石油の生成は堆積盆{たいせきぼん}の深部で行われ、その石油が貯留岩層中に入り、相の連続を形成すると、浮力によってその貯留岩層中を上り傾斜方向に移動する。移動する油が最初に到達するトラップ、すなわち地域的傾斜の最下位に位置する第1のトラップで集積を始めるとともに、石油の上昇過程で深度が浅くなるにつれ、静水圧が低下するためにガスが分離し、トラップ内にガス・キャップが形成される。 次々に移動してくる石油のために、第 1 のトラップがガスと石油でこぼれ出し点までいっぱいになると、そのあとに移動する石油は第 1 のトラップの下を通り越して、地域的傾斜の上り傾斜側にある次の第 2 のトラップに移動、集積を始める。こうした過程を経て、前述のような位置関係の石油・ガス鉱床が形成される。しかしながら、この説はすべての石油・ガス鉱床形成過程の普遍的な説明となるわけではない。 ![]() ![]() |

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