タンパー・プッシャー蒸発圧力法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 16:31 UTC 版)
「テラー・ウラム型」の記事における「タンパー・プッシャー蒸発圧力法」の解説
第3に提案された方法は、プライマリーによる圧縮機構がセカンダリーの外部層であるタンパー・プッシャー部や、重金属製の核融合燃料の容器に対し、強力なX線を放射しこれらを超高温にしてアブレーションさせる。これらの部分はセカンダリーの外側向けてに爆発的に膨張し、その反動でタンパーは内側へ凄まじい速度で押し込まれ、核融合燃料とスパーク・プラグ部分を強力に圧縮する。 重金属の蒸発による効果の概算は、比較的容易である。プライマリーが供給するエネルギーは、セカンダリーの容器全面に対して均等であり、各部分が熱平衡になるため、熱エネルギーによる効果を解析することが出来る。プライマリーが発生したエネルギーのほとんどは、1つの光学的深度を持つX線によってタンパー・プッシャー外壁面に伝えられるので、その部分の温度を計算することが可能になる。外壁面が蒸発して膨張することによって発生する、タンパーの内側への移動速度は、基本的なニュートン力学により計算することが出来る。 この計算方法をアイビー作戦のマイク実験に適用すると、タンパーが蒸発して膨張力する速度は秒速290km(およそマッハ850)になり、内側への圧縮速度は秒速400km(およそマッハ1,180)になる(タンパー・プッシャーの75%が蒸発すると仮定した場合。これは最も効率が良くなる条件である)。これがW80核弾頭の場合には、ガスの膨張速度はおよそ秒速410km(マッハ1,210)、内側への圧縮速度は秒速570km(マッハ1,680)になる。タンパーの蒸発による圧力を計算すると、マイク実験では53億バール(530テラパスカル)、W80では640億バール(6.4ペタパスカル)になる。
※この「タンパー・プッシャー蒸発圧力法」の解説は、「テラー・ウラム型」の解説の一部です。
「タンパー・プッシャー蒸発圧力法」を含む「テラー・ウラム型」の記事については、「テラー・ウラム型」の概要を参照ください。
- タンパー・プッシャー蒸発圧力法のページへのリンク