タイの鉄道トンネル一覧とは? わかりやすく解説

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タイの鉄道トンネル一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/08 05:40 UTC 版)

タイの鉄道トンネル一覧(タイのてつどうトンネルいちらん)は、タイ王国にて鉄道に使用されるトンネル(タイ語・อุโมงค์、ウモーン)の一覧を示す。

ここではバンコクMRT(メトロ)の路線における地下区間も含める。

概要

1893年にタイ初の鉄道(パークナーム鉄道)が開通したが、同路線には鉄道トンネルが一切存在せず、初の官営鉄道(タイ国有鉄道の前身)として1897年に完成したバンコク - アユタヤ間(1900年コラート延伸)も同様であった。

1901年に一部開業した支線(のちの北本線)は徐々に北方へ延伸、1911年には最古の鉄道トンネル2ヶ所を含む区間(パントンプン - メーファック間)が開通した。以後もチェンマイに向け延伸するとともにトンネルの数も増えた。1918年に開通した国内5番目のクンターン・トンネルはその集大成であり、1,352 m[1]の掘削に11年を要した[注釈 1]

一方、他の路線では、南本線に唯一、チョンケーオトンネルが1914年に国内3番目のトンネルとして開通した。なおコラート方面については、東北本線としてラオス国境に向かい2方向に延伸するものの、トンネルは長らく存在しなかった。1967年に東北本線ブアヤイ支線開業と同時に、国内6番目のカオファンホーイトンネルが開通するまで半世紀間、この状況が続いた、

ちなみに北本線はドイツの、南本線はイギリスの技術指導のもと建設された。前者はもともと標準軌として開通していたが、1920年頃から約10年をかけ、南本線が採用するメーターゲージに統一された[2]

1995年、貨物専用線として新設された東本線のケンコーイ支線とともに、プラプッタチャイトンネルが設置された。タイ国内企業であるITDが完成させた。単線として開通したが、のちに複線化により2本目が掘削された。

2004年、バンコクに地下鉄(バンコク・メトロ ブルーライン)が開業。初開業区間 20 kmはすべて地下で[注釈 2]、単一のトンネルとみなす場合これがタイ国内で最長となる。

のちに両端部とも延長され、タオプーン - タープラ間(東回り)、25 km以上の連続地下区間となった。

山岳トンネルとしては2024年に開通したパーサデットトンネル(5409 m)が最長で、1世紀ぶりに記録が更新されたことになる。

一覧

  • 名称
    • メトロの地下区間(地下鉄)は路線名を記載[注釈 3]
    • 日本語名称は、既に立項されている記事、関連する地名などを基にしている。表記ゆらぎが存在する可能性もある。
    • メトロの路線名は、儀礼的な正式名でなく俗称(ラインカラ―)を用いる。
    • 建設中のものについては仮称を含む。
    • 名称語尾の「トンネル」「Tunnel」は省略。タイ語では語頭にอุโมงค์が付与されるが同様である。
  • 路線
    • 便宜上、メトロ路線については事業者名を示す。
  • 延長
    • メートル(m)単位の資料と、キロメートル(km)単位の資料が混在している。後者の場合は概数となる。
    • 2つの単線トンネルが併設された箇所は、上下ごとの延長が不明な場合、共通とみなす。
  • 用途は以下の2種類に定める。
  • 貫通/供用
    • 完成前、供用前のトンネルについては予定年。
名称 路線 位置 延長/m 用途 着工 貫通 供用 備考
起点方 終点方
1 ブルーライン
Blue Line
สายสีน้ำเงิน
バンコク都 11バンコク・メトロ タオプーン駅 - バーンスー駅 非公表 MRT 2011年 [3] 2017年 上下別
延長は公表値(20 km + 5.4 km)[注釈 4]
バーンスー駅 - フアランポーン駅 020,000 1998年 [4] 2002年 [5][6] 2004年 [3]
フアランポーン駅 - タープラ駅
05,400 [3] 2011年 [3] 2019年
2 パーサデット
Pha Sadet
ผาเสด็จ
サラブリー県 02東北本線 マップカバオ駅
- ムワックレック駅
05,409 国鉄 2018年 2022年 2024年 上下別
ヒンラップトンネルより起点側
3 クンターン
Khun Tan
ขุนตาน
04ラムパーン県 04ラムプーン県 01北本線 メータンノーイ駅英語版[注釈 5]
- クンターン駅
01,362[1] 国鉄 1907年 1918年 1918年 単線
タイの代表的鉄道トンネル
4 プラプッタチャイ
Phra Putthachai
พระพุทธฉาย
ウッタラディット県 04東本線 ウィハーンデーン駅 - ブヤイ駅 01,222[7] 国鉄 2016年[8] 2017年[9] 2020年 上下別、開通時は単線(西側のみ)
増設トンネルはPhra Putthachai 2とも呼ぶ
01,197[1] 国鉄 1993年 1994年 1995年
6 カーオプルーン
Khao Phlueng
เขาพลึง
ウッタラディット県 プレー県 01北本線 パントンプン駅
- カーオプルーン停車場
0362[1] 国鉄 1910年 1911年 単線
壁面コンクリート仕上げ
7 ヒンラップ
Hin Lap
หินลับ
サラブリー県 02東北本線 マップカバオ駅
- ムワックレック駅
0260[10] 国鉄 2024年 鉄道用としてタイ唯一の複線トンネル
8 ボーファイ
Bo Fai
บ่อฝ้าย
プラチュワップキーリーカン県 03南本線 フアイサイタイ駅 - フワヒン駅 0250 ※ 国鉄 上下別
フワヒン空港直下のカルバート
※ 全長は地図からの推測
9 チョンケーオ
Chong Khao
ช่องเขา
ナコーンシータンマラート県 03南本線 チョンケーオ駅 - ロンピブーン駅 0235.9[1] 国鉄 1914年 単線
10 カオファンホーイ
Khao Phang Hoei
เขาพังเหย
ロッブリー県 02東北本線支線 ヨークカリー駅 - チョンサラーン駅 0235.6[1] 国鉄 1967年 単線
ブアヤイ支線
11 フアイメーラン
Huai Mae Lan
ห้วยแม่ลาน
プレー県 01北本線 バーンピン駅
- パーカーン駅英語版
[注釈 6]
0130[1] 国鉄 1915年 単線
12 パントゥムコップ
Pang Tub Khob
ปางตูบขอบ
ウッタラディット県 01北本線 パントンプン駅
- カーオプルーン停車場
0120[1] 国鉄 1909年 1911年 単線
鉄道用でタイ最古
壁面レンガ仕上げ
990 パープルライン
Purple Line
สายสีม่วง
バンコク都 11バンコク・メトロ タオプーン駅 - ダオカノン駅 014,390[11] MRT 2022年 建設中 上下別
延長は地下区間延長の公表値
991 オレンジライン
Orange Line
สายสีส้ม
バンコク都 11バンコク・メトロ タイ文化センター駅
- クローンバーンマー駅
013,300[12] MRT 2017年[13] 2021年[12] 2028年 上下別
延長は地下区間延長の公表値
9990 ソーン
สอง
プレー県 02北本線支線 ソーン駅 - メーティープ停車場 01,175[14] 国鉄 建設中 ガーオトンネルより起点側
9991 ガーオ
งาว
プレー県 ラムパーン県 02北本線支線 ソーン駅 - メーティープ停車場 06,240[14] 国鉄 建設中 6,375 mとする説あり
9992 メーカー
แม่กา
パヤオ県 02北本線支線 ポンタオ停車場 - パヤオ大学駅 02,700[14] 国鉄 2023年[15] 建設中
9993 ドイルアン
ดอยหลวง
チェンライ県 02北本線支線 バーンパーサーン分岐駅
- バーンキイアン停車場
03,400[14] 国鉄 建設中
9999 ラムタコーン
Lam Takhong
ลำตะคอง
ナコーンラーチャシーマー県 02東北本線 クローンカーナンチィッ駅
- クローンパイ駅
01,170[10] 国鉄 建設中 上下別 全長は概算


注釈

  1. ^ 当時の工事は発破と人力による土砂搬出の繰り返しで、また所在地が山奥であったことが災いした。なお掘削延長は1,352 m であるが、トンネルの延長は 1,362 m である[1]
  2. ^ 車両基地は地上に存在する。
  3. ^ 単一路線に不連続な地下区間が含まれる例はない(2025年時点)
  4. ^ 貫通年に示した出典によれば北工区 11.8 km 、南工区 11.5 kmとあり、計算があわないためMRTAの公表値を示す。
  5. ^ パンヤン停車場が起点側の最寄り駅だったが廃止された
  6. ^ フアイメーラン停車場が北側出口近くに存在したが廃止された

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i アーカイブ 2014年8月8日 - ウェイバックマシン - ข้อมูลโดย การรถไฟแห่งประเทศไทย (クンターントンネルの歴史と建設)
  2. ^ 『王国の鉄路』, p. 79.
  3. ^ a b c d รถไฟฟ้ามหานคร สายเฉลิมรัชมงคล (สายสีน้ําเงิน)” (タイ語). MRTA. 2025年4月13日閲覧。
  4. ^ Messe München (1 January 1998). Tunnel Construction. CRC Press. p. 82. ISBN 978-90-5410-951-8. https://books.google.com/books?id=GmrGZOjeSwIC&pg=PA73 
  5. ^ 東急建設実績紹介 南工区(11.5 km)
  6. ^ 大林組工事実績 北工区(11.8 km)
  7. ^ “อุโมงค์พระพุทธฉาย 2” อุโมงค์รถไฟที่ก่อสร้างแล้วเสร็จล่าสุดของไทย” (タイ語). タイ鉄道運輸省(DRT) (2021年12月9日). 2025年4月13日閲覧。
  8. ^ คนรักรถไฟค้านแหลก รีวิวถ่ายรูปอุโมงค์พระพุทธฉาย ชี้พื้นที่อันตรายไม่ควรลงไปทุกกรณี” (タイ語). MGR online (2024年4月15日). 2025年4月19日閲覧。
  9. ^ รฟท.เจาะอุโมงค์พระพุทธฉายสัญญาที่2เสร็จแล้ว” (タイ語). Sanook (2017年5月22日). 2025年4月13日閲覧。
  10. ^ a b เปิดข้อมูล"อุโมงค์หินลับ" อุโมงค์ที่ยาวที่สุดในประเทศไทย แห่งใหม่ล่าสุด กว่า 5 กิโลเมตร เสร็จสมบูรณ์แล้ว” (タイ語). コム・チャット・ルック (2021年6月18日). 2025年4月13日閲覧。
  11. ^ โครงการรถไฟฟ้าสายสีม่วง ช่วงเตาปูน - ราษฎร์บูรณะ (วงแหวนกาญจนาภิเษก)” (PDF) (タイ語). MRTA. 2025年4月13日閲覧。
  12. ^ a b รฟม. ฉลองความสำเร็จงานขุดเจาะอุโมงค์รถไฟฟ้าใต้ดินสายสีส้ม(ตะวันออก) สร้างสถิติดีที่สุดในการก่อสร้างอุโมงค์รถไฟฟ้าใต้ดินของประเทศไทย” (タイ語). MRTA (2021年3月9日). 2022年1月10日閲覧。
  13. ^ Lane closures for Orange line start in Ramkhamhaeng” (2017年2月9日). 2025年4月14日閲覧。
  14. ^ a b c d กรมรางอัปเดตเส้นทางรถไฟเด่นชัย – เชียงราย – เชียงของ พร้อมสร้างมาตรฐานงานโครงสร้างระบบระบายน้ำและมาตรการป้องกันความเสี่ยงจากภัยธรรมชาติในระบบราง” (タイ語). タイ鉄道運輸省(DRT) (2024年12月2日). 2025年4月16日閲覧。
  15. ^ แผ่นพับประชาสัมพันธ์ และนิทรรศการ” (タイ語). 2025年4月19日閲覧。

参考文献

関連項目




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