サーラ・カバナとは？わかりやすく解説

サーラ・カバナ（Sarah Kavanagh、1973年 6月3日 - ）は、アイルランドのレーシングドライバー。「カヴァナ」、「カバノフ」と表記されることもあった。

略歴

1992年に4輪レースデビュー。1995年にはフォーミュラ・ボクスホールのチャンピオン。翌年、イギリスF2選手権で4位入賞を2回。

1997年に来日しセルモよりフォーミュラ・ニッポンに参戦。フォーミュラ・ニッポン初の女性ドライバーとして話題になった。しかし、開幕戦鈴鹿での予選タイムはトップの14秒落ち、決勝は最下位で完走。第2戦美祢では、再び嘆願書を提出して決勝出走が許可されたものの、リタイアに終わっている。

「参戦継続の環境が整うまで以後の参戦を見合わせたい」とチーム側に第3戦以後のエントリー休止を申し出チーム側も了承するものの、結局そのまま復帰することなく姿を消した。

カバナは、F1を目指すための最適の場としてフォーミュラ・ニッポンへ参戦したが、日本の慣れないコースにスピンや他車と交錯したり、あわや接触というシーンも見受けられ、ドライビングが未熟で危険だとする指摘もあった。また、本人が思っていた以上にフォーミュラ・ニッポンのレベルが高すぎ、本人も能力不足を痛感していた。さらに、日本とイギリスをエンジニアやメカニック数人と毎レースごとに往復しながら参戦していたため活動資金の負担が大きすぎた^[1]^[2]。これらの事から実力も経歴にも疑問な点が多かったカヴァナを起用したことについて疑問を呈する声やバッシングも巻き起こることとなった(後述参照)。

本人のホームページも既に閉鎖されており、現在はフランス南部で夫と子供と共にモータースポーツとは無縁の生活を営んでいる模様。

レース戦績

フォーミュラ・ニッポン

年	チーム	1	2	3	4	5	6	7	8	9	10	順位	ポイント
1997年	TEAM CERUMO	SUZ 14	MIN Ret	FSW	SUZ	SUG	FSW	MIN	TRM	FSW	SUZ	NC	0

付記

日本に活動の舞台を移す際、セルモに彼女を紹介し、推薦したのがF1ドライバーであるエディー・アーバインだと言われている。アーバインがかつてセルモから全日本F3000に参戦していたキャリアがあった為、このようなコネクションが生まれたといわれる。しかし実際はフォーミュラ・ニッポンを運営する日本レースプロモーション（JRP）の所謂「客寄せパンダ」としての興行面に対する意向が大きかったものとも伝えられる。
「フォーミュラ・ニッポン初の女性ドライバー」として期待されていたが、結果が前述のような惨憺たる状態だったため、「そんなカヴァナ！」と揶揄するような発言が当時雑誌の記事やメディア等に見られた。またイギリスF2のキャリアも、完走6台中最下位でのポイント獲得や出走5台のみ等、出走したレースそのもののエントリー台数が極端に少なかった為の結果だった事が後に発覚したことも災いした。自身が持ち込んだマシンのエンジンも、当時フォーミュラ・ニッポンで主流だった無限・MF308ではなく、当時国際F3000選手権で主流のエンジンとされていたコスワースAC(ニコルソンチューン)で、同じF3000規格のエンジンとはいえ、性能面から見ても無限エンジンからは劣る、到底太刀打ちできないものだった。また、日本に在住してレースに集中できる環境を整えるべきという周囲からの進言をホームシック等を理由に拒んでいたとも伝えられている。

脚注

^ 『Racing On』No.245　ニューズ出版、1997年、p.23。
^ 『Racing On』No.246　ニューズ出版、1997年、p.61。

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[1] 『Racing On』No.245　ニューズ出版、1997年、p.23。

[2] 『Racing On』No.246　ニューズ出版、1997年、p.61。

[1]

[2]

表・話・編・歴 1997年のフォーミュラ・ニッポンを戦うチームと出走ドライバー
	Team Le Mans		ASAHI KIKO SPORTS		TEAM 5ZIGEN		TEAM ANABUKI 童夢 with 無限		SHIONOGI TEAM NOVA		TEAM CERUMO		TEAM TMS
1	ノルベルト・フォンタナ	3	川本篤	5	マルク・ホーセンス	8	脇阪寿一	9	ペドロ・デ・ラ・ロサ	11	光貞秀俊ミハエル・クルム（第10戦）	17	近藤真彦
2	エスティバン・トゥエロ（第1 - 6戦）ミハエル・クルム（第8戦）立川祐路（第9 - 10戦）			6	リスト・ヴィルタネン田嶋栄一（第4 - 10戦）			10	飯田章	12	サーラ・カバナ（第1・2戦）柴原眞介（第8 - 10戦）	18	ラルフ・ファーマン
	TEAM IMPUL		BE BRIDES ARP アスカ		NAVI CONNECTION RACING TEAM		SUPER NOVA with MIRAI		かもめサービス with MIRAI		オートテック STELLAR		STP STELLAR
19	黒澤琢弥	21	田中哲也（第1・5 - 10戦）	27	影山正美	32	ヴィンセンツォ・ソスピリ（第9・10戦）	33	鈴木利男	34	マウロ・マルティニ（第3戦）	34	アンドリュー・ギルバート＝スコット（第4・6・9戦）アンドレア・ボルドリーニ（第7・8・10戦）
20	影山正彦			28	山本勝巳					35	ミハエル・クルムマルコ・アピチェラ（第4 - 10戦）
	タカギ B-1 RACING TEAM		FUNAI SUPER AGURI		TEAM LEYJUN		SRI LANKA with TEAM LEYJUN		PIAA NAKAJIMA RACING
36	玉中哲二	55	金石勝智	62	戸田哲史（第4 - 8戦）	63	ディランタ・マラガムワ（第1 - 5戦）	64	高木虎之介
37	山田政夫（第1 - 5・7 - 10戦）	56	本山哲道上龍（第10戦）	63	OSAMU（第6 - 10戦）			65	山西康司

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