サクラ・ツツジとは? わかりやすく解説

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桜躑躅

読み方:サクラツツジ(sakuratsutsuji)

ツツジ科常緑低木


桜躑躅

読み方:サクラツツジ(sakuratsutsuji)

ツツジ科常緑低木

学名 Rhododendron tashiroi


サクラツツジ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/07 13:19 UTC 版)

サクラツツジ
サクラツツジの花(2025年2月 沖縄県東村)
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : キク類 asterids
: ツツジ目 Ericales
: ツツジ科 Ericaceae
: ツツジ属 Rhododendron
: サクラツツジ
R. tashiroi
学名
Rhododendron tashiroi Maxim.

[1]

和名
サクラツツジ[1]
3枚の葉が輪生する
(2025年2月 沖縄県東村)
サクラツツジ
(2025年2月 沖縄県東村)
樹姿(2025年2月 沖縄県国頭村)

サクラツツジ(桜躑躅、学名:Rhododendron tashiroi[1]ツツジ科ツツジ属の常緑低木。沖縄方言名はヤマザクラ、ヤマジャックヮ[2]またはヤマザックヮ[3]。沖縄県国頭村の村花[4]。種小名はホロタイプの採集者で、明治時代に南西諸島で広く動植物の調査を行い、熱帯農業(特に林業)の発展に貢献した植物学者および民俗学者の田代安定への献名[5]。高知県絶滅危惧IA類[6]、佐賀県絶滅危惧I類[7]

特徴

高さ2–5 m。樹幹は凹凸が激しく複雑な形状を呈する。葉は長さ3–8 cmの楕円形または長楕円形で葉先は尖り、枝先に3枚が輪生、または2枚が対生する。葉表は初め褐色の粗い毛があるが、後にほぼ無毛となる。葉柄や若枝は長い毛が多い。花は径4–5 cmの淡桃色~白色で枝先に2–3個つき、花冠は漏斗型で5枚に裂ける。上向き3裂片の内面に濃紅色の斑点があるが、下向き2裂片は斑点が無い。花期は冬~春。実は円筒形の蒴果で夏~秋にみられる[3][2][8][9][10]。常緑の高耐陰性樹種だが、種子の重さは0.07 mgとごく小さい[11]

分布と生育環境

高知県、佐賀県、鹿児島県および沖縄県内の久米島と沖縄島(読谷村以北)に分布。沖縄島では林縁や山地の岩場、尾根、渓流沿いに点在し、ときに群生する[3][8][2][9]。国外では台湾に分布[12][13]

分類

枝先に3枚の葉が輪生するミツバツツジ節の中で、本種のみが常緑で革質の葉をもつ[5][9]ミツバツツジの仲間で琉球に唯一分布する[2]

花が白いものは品種シロバナサクラツツジ f. leucanthum Masam.[14]とされる[3][12][2]。このほか、葉が倒卵状楕円形で幅が広く、葉の両面に粗い毛が多い変種アラゲサクラツツジ(ケサクラツツジ)var. lasiophyllum Hatus.[15]が鹿児島県薩摩半島とトカラ列島に分布[9][16]。最近の研究では、徳之島産はすべて変種アラゲサクラツツジに該当するとされる[2]

利用

庭木、盆栽。複雑な樹の形状を活かした床柱材のほか、器具材、薪炭材などに用いられた。辺材・心材ともに帯淡紅白色で、堅く強靭[3][12]。ピンク色の美しい花だが植栽は少なく、知名度は高くない[10]

脚注

  1. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Rhododendron tashiroi Maxim.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年2月10日閲覧。
  2. ^ a b c d e f (大川 & 林 2016, p. 334)
  3. ^ a b c d e (池原 1979, pp. 146–147)
  4. ^ 村の花木 | 国頭村”. www.vill.kunigami.okinawa.jp. 2025年2月11日閲覧。
  5. ^ a b (大場 1997, p. 114)
  6. ^ 高知県レッドリスト(植物編)2020年改訂版”. 高知県. 2025年2月11日閲覧。
  7. ^ 佐賀県レッドリスト2020(植物編)”. 佐賀県. 2025年2月11日閲覧。
  8. ^ a b (片野田 2019, p. 77)
  9. ^ a b c d (倉重 2021, p. 273)
  10. ^ a b (林 & 名嘉 2023, p. 241)
  11. ^ (甲山 1997, p. 141)
  12. ^ a b c (天野 1982, p. 136)
  13. ^ Rhododendron tashiroi Maxim.” (英語). Plants of the World Online. Kew Science. 2025年2月11日閲覧。
  14. ^ Rhododendron tashiroi f. leucanthum Masam.”. YList 植物和名-学名インデックス. ylist.info. 2025年2月11日閲覧。
  15. ^ Rhododendron tashiroi var. lasiophyllum Hatus.”. YList 植物和名-学名インデックス. ylist.info. 2025年2月11日閲覧。
  16. ^ (鈴木ほか 2022, p. 363)

参考文献

  • 池原直樹「サクラツツジ、シロバナサクラツツジ」『沖縄植物野外活用図鑑 第6巻 山地の植物』新星図書出版、1979年。 
  • 天野鉄夫「サクラツツジ」『琉球列島有用樹木誌』琉球列島有用樹木誌刊行会、1982年。 
  • 大場秀章 著「サクラツツジ」、岩槻邦男ら監修 編『朝日百科 植物の世界』 6巻、朝日新聞社、東京、1997年、114頁。ISBN 9784023800106 
  • 甲山隆司 著「暗い森のなかで生き延びる」、岩槻邦男ら監修 編『朝日百科 植物の世界』 13巻、朝日新聞社、東京、1997年、141頁。 ISBN 9784023800106 
  • 大川智史; 林将之「サクラツツジ」『ネイチャーガイド 琉球の樹木 奄美・沖縄~八重山の亜熱帯植物図鑑』文一総合出版、東京都新宿区、2016年。 ISBN 9784829984024 
  • 片野田逸郎「サクラツツジ」『琉球弧・植物図鑑 from AMAMI』南方新社、2019年。 ISBN 9784861244056 
  • 倉重祐二 著「サクラツツジ」、大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司 編『フィールド版改訂新版 日本の野生植物』 2巻、平凡社、2021年、273頁。 ISBN 9784582535396 
  • 鈴木英治; 丸野勝敏; 田金秀一郎; 寺田竜太; 久保紘史郎; 平城達哉; 大西亘サクラツツジ「鹿児島県の維管束植物分布図集-全県版-」『鹿児島大学総合研究博物館研究報告』第17巻、鹿児島大学総合研究博物館、363頁、2022年。 ISSN 2188-9074https://www.museum.kagoshima-u.ac.jp/publications/plants/map_Kagoshima_all.pdf 
  • 林将之; 名嘉初美「サクラツツジ」『沖縄の身近な植物図鑑』(第2版)ボーダーインク、2023年。 ISBN 9784899824350 

外部リンク



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