グルクロン酸抱合の能力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 10:18 UTC 版)
「グルクロン酸」の記事における「グルクロン酸抱合の能力」の解説
新生児はグルクロン酸抱合を行う能力が、成人と比べると低く、新生児に投与されたクロラムフェニコールは充分にグルクロン酸抱合が行われないため、クロラムフェニコールの毒性を増し、いわゆるグレイ症候群(英語版)を発症する事が知られている。他にも、イリノテカンのヒトに対する毒性は、遺伝子多型によるグルクロン酸抱合能の差によって、大きな個体差が出る事は有名である。これらの例のように、グルクロン酸抱合の能力の差は、薬物の毒性が発揮されるかどうかに大きな影響を及ぼす事が判っている。 なお、アセトアミノフェンの肝毒性にもグルクロン酸抱合の能力が関わっている。アセトアミノフェンは、肝臓でグルクロン酸抱合か硫酸抱合を受けて水溶性を高めてから、腎臓から尿中へと排泄する経路が主要な代謝・排泄経路である。しかし、多量のアセトアミノフェンが体内に入ると、肝臓での抱合処理であるグルクロン酸抱合と硫酸抱合の速度が限界に達して、アセトアミノフェンを強い肝毒性を有する物質へと変換してしまうCYP2E1による代謝が増加する。その毒性を消すために消費されるグルタチオンが枯渇し、グルタチオン抱合が行えず、アセトアミノフェンの代謝物による肝毒性が顕在化する事が知られている。この例のように、グルクロン酸抱合を始めとした抱合反応に支障を来たすと、薬物の解毒に支障が出る事が判っている。
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