グルクロニダーゼと腸肝循環
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 10:18 UTC 版)
「グルクロン酸」の記事における「グルクロニダーゼと腸肝循環」の解説
グルクロニダーゼは、グルクロン酸と他の化合物との間のグリコシド結合を加水分解する酵素であり、グルクロン酸抱合と直接は関係が無い。しばしば、腸内細菌が発現しているβ-グルクロニダーゼは、グルクロニドからグルクロン酸を加水分解して取り除く酵素であり、これを腸内細菌による脱抱合と呼ぶ。脱抱合が原因でグルクロニドは、腸から吸収され易い脂溶性の高い物質に戻るため、脂溶性の高い物質が腸から再吸収され、門脈を通じて肝臓へと戻る腸肝循環が発生し得る。 例えば、ヒトに吸収されたクロラムフェニコールは、肝臓でグルクロン酸抱合を受けるか、または、分子内の第2級アミンの部分が壊されて2,2-ジクロロ酢酸が取り外されるかが、主な代謝経路であり、これによって抗菌活性は失われる。この中で、クロラムフェニコールのグルクロニドは、胆汁中に排泄されるものの、腸内細菌によってグルクロン酸が取り外され、腸管内でクロラムフェニコールに戻されたために、腸から再吸収されて肝臓に戻るという、腸肝循環が起こる事が知られている。 ただし、例えばリファンピシンなどは、肝臓でアミンからメチル基が取り外されて、それが胆汁中に排泄されるものの、この状態でも腸肝循環が起こる。このように、腸肝循環が起こる理由は、腸内細菌のグルクロニダーゼだけが原因ではない点を付記しておく。
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