クオラムセンシングの意義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 02:08 UTC 版)
「クオラムセンシング」の記事における「クオラムセンシングの意義」の解説
クオラムセンシングの機構によって、細菌はある程度以上の菌数(密度)に増殖するまで特定の物質産生を抑え、その後、十分な菌数が確保された時点からその物質産生を行うことで、環境中での生存や増殖が有利になるよう利用していると考えられている。一個一個の細菌は弱いため、菌数が少ない段階では敢て目立った行動を起こさずに増殖を続け、それが多数に増えて安定した増殖が見込める状態になったら、クオラムセンシングを行って、機を逃さずに一気に繁殖するという戦略をとっていると考えられている。 緑膿菌やセラチアなどの病原細菌は、感染した宿主が健康なときには病原因子を作らず、免疫の低下などによって宿主の抵抗性が低下して菌数が増加したときに、クオラムセンシングによってさまざまな病原因子を産生するようになる。このことが、これらの病原細菌が日和見感染を起こしやすい理由の一つだと考えられている。このため、クオラムセンシングを阻害する物質によって、これらの感染症の予防や治療に役立てようとする研究も始められている。
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