ギバード=サタースウェイトの定理
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ギバード=サタースウェイトの定理とは、3つ以上の候補から投票により社会の選好を決める場合において、特定候補を排除せず、耐戦略性を満たすような社会選択ルールは独裁制だけであるという定理である[1][2]。アラン・ギバードとマーク・サタースウェイトがこの定理を与えた。ここで、
- 特定候補の排除とは、いかなる投票結果であっても当選しない候補者がいる場合を指す。
- 耐戦略性とは、参加者が誰も戦略的操作(投票に参加する個人が自らの選好を偽って表明することで自らにとってより望ましい結果を実現すること)を起こす動機を持たないこと
- 独裁制とは、ある特定の個人(独裁者)が存在して、他の参加者がどのような選好を持っていようが独裁者にとって一位の選択肢が社会の決定となるようなルールである。
この定理によれば、3人以上が選ばれ得る投票では、独裁制でない限り参加者が自分の票が死票とならないように次善の(ある意味で虚偽の)案に投票することを避けられない。
脚注
- ^ 坂井豊貴『社会的選択理論への招待』日本評論社、2013年、79頁。ISBN 978-4-535-55754-3。
- ^ 田中靖人『社会的選択理論の基礎 – アローの定理,多数決,ギバード・サタースウェイトの定理を中心として–』
関連項目
ギバード・サタースウェイトの定理
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「戦略投票」の記事における「ギバード・サタースウェイトの定理」の解説
詳細は「en:Gibbard-Satterthwaite theorem」を参照 3人以上の候補者からどの候補者を一つ選ぶかを、有権者の表示する選好順序のみで決める際、以下の三つのうちどれかが成り立つ定理である。ただし、くじ引きのような外部からのノイズはこれを除く。 この選挙方法は、ある一人の有権者の投票によってのみ結果が決まる(独裁的)。 いかなる有権者の結託にもかかわらず、この選挙方法の下では当選出来ない候補者が存在する(特定候補の排除)。 自分のより望む候補が当選するよう、自分にとっての選好順序を、それ以外の有権者の投票行動に合わせて変える事で、選挙結果を変えられる有権者が現れる場合がある(戦略投票が可能)。 1と2は正当な選挙方法ではない。したがって、選好投票に帰着できる条件と合致する3の方法のみ、戦略投票が可能である。
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