キャスリーン・ケネディ (映画プロデューサー)とは? わかりやすく解説

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キャスリーン・ケネディ (映画プロデューサー)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/21 03:03 UTC 版)

キャスリーン・ケネディ
Kathleen Kennedy
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』ジャパンプレミアにて(2017年12月)
生年月日 (1953-06-05) 1953年6月5日(72歳)
出生地 アメリカ合衆国
カリフォルニア州バークレー
職業 映画プロデューサー
配偶者 フランク・マーシャル(1987年 - )
主な作品
E.T.
インディ・ジョーンズ』シリーズ
バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ
ジュラシック・パーク』シリーズ
シンドラーのリスト
シックス・センス
ベンジャミン・バトン 数奇な人生
スターウォーズ』シリーズ
受賞
アカデミー賞
アービング・G・タルバーグ賞[1]
2018年
英国アカデミー賞
フェローシップ賞
2019年
ゴールデンラズベリー賞
最低作品賞
2010年エアベンダー
最低前日譚・リメイク・盗作・続編賞
2008年インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
その他の賞
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キャスリーン・ケネディ(Kathleen Kennedy、1953年6月5日 - )は、アメリカ合衆国カリフォルニア州バークレー出身の映画プロデューサー

特にスティーヴン・スピルバーグロバート・ゼメキス監督映画の製作に携わることが多い。夫は同じくプロデューサーのフランク・マーシャルで、アンブリン・エンターテインメントの共同設立者でもある。

2012年10月30日からは、ウォルト・ディズニー・カンパニーに買収されたルーカスフィルムの社長を務めている[2]。また、映画芸術科学アカデミーの理事も務めている[3]。製作総指揮として約60作品に参加しており、アカデミー賞に8回ノミネートされていて[4]、2018年にはアカデミーから夫妻で同時にアービング・G・タルバーグ賞が贈られ、女性では初の受賞になった[1][5][6]

生い立ち

カリフォルニア州バークレーの出身で、父ドナルド・R・ケネディは裁判官・弁護士、母ディオーネ・マリーは舞台女優だった[7]。彼女には姉妹が2人おり、双子の姉コニーはカナダブリティッシュコロンビア州のロケーション・マネージャーを務めた後、ヴィジュアル・プロダクション会社プロフィール・スタジオのエグゼクティブ・プロデューサーを務めている[8]。もう1人の姉妹であるダナ・ミドルトン=シルバーシュタインはテレビ番組の司会者をしており、商務長官ゲイリー・フェイ・ロックの報道官を務めた経験を持つ[7]

1971年にレディングシャスタ高校英語版を卒業する。サンディエゴ州立大学で映画製作などを学び、卒業年にサンディエゴのテレビ局KCSTでカメラオペレーター、フロアディレクター、編集などの業務を行う契約を結び雇用される。KCSTとの契約終了からロサンゼルスに移住するまでの4年間、ローカル・トーク番組「You're On」をプロデュースした。移住後はジョン・ミリアスのアシスタントを務めた後、1979年にスティーヴン・スピルバーグの作品『1941』にスタッフとして参加し、プロデューサーとして活躍するようになる。

キャリア

2015年サンディエゴ・コミコンに出席するキャスリーン・ケネディ、J・J・エイブラムスローレンス・カスダン
第69回カンヌ国際映画祭に出席するキャスリーン・ケネディ(左から3人目)とスティーヴン・スピルバーグ(左から5人目)

『1941』で、ケネディはスピルバーグの助手として製作に参加し、彼に注目されている[9]。その後、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』の製作に参加してスピルバーグの信頼を得て、彼がプロデュースした『ポルターガイスト』の製作にも参加している。1981年にスピルバーグ、フランク・マーシャルと共に映画製作会社アンブリン・エンターテインメントを設立する。1982年公開の『E.T.』で初めてプロデューサーとしてクレジットされ、これ以後30年以上に渡りスピルバーグ作品に携わるようになり、ハリウッドにおける著名なプロデューサーの地位を確立した。

1980年代から1990年代にかけて国立学生映画研究所英語版の諮問委員を務め、1991年には映画製作支援の功績を認められグリミー賞を受賞した。また、諮問委員の他に研究所の名誉会長も務めていた[10][11]。1992年にはサンタモニカを拠点とする映画製作会社ザ・ケネディ/マーシャル・カンパニーを設立し、ドリームワークスと提携した。また、スピルバーグとのビジネス関係も継続し、『ジュラシック・パーク』『シンドラーのリスト』に製作・製作総指揮として参加している。1995年には映画業界における女性の地位向上に貢献したことを認められ、クリスタル・アンド・ルーシー賞英語版のクリスタル賞を受賞した[12]

2001年から2002年にかけて、ティム・ギボンズと共に全米製作者組合の共同組合長を務めた[13]。2005年に『宇宙戦争』『ミュンヘン』の製作に参加し、アカデミー賞にノミネートされた。2007年には次世代フィルムメーカーの指導と支援に貢献したことを認められ、ウーマン・イン・フィルムのパルトロウ・メンターシップ賞を受賞した[14]。2009年に夫マーシャルと共にスタジオジブリの映画『崖の上のポニョ』英語版の製作総指揮を務め[15]、引き続きジブリの『借りぐらしのアリエッティ』(2012年)と『コクリコ坂から』の英語版も夫妻で製作総指揮を担当した[16][17][18]

2012年5月にザ・ケネディ/マーシャル・カンパニーの共同経営者を辞任してマーシャルが単独で経営を引き継ぎ[19][20]、6月にジョージ・ルーカスと共にルーカスフィルムの共同経営者に就任した[21][22]。ルーカスフィルムがウォルト・ディズニー・カンパニーに買収された後は社長に就任している[23]。2019年には英国映画テレビ芸術アカデミー(BAFTA)からフェローシップ賞を授与された[24]

ポリティカル・コレクトネス

キャスリーン・ケネディは、「スター・ウォーズ」の世界には男女格差があると主張している。

ケネディは自身の手がける作品や事業について「強い女性像を作っていきたい」「シリーズすべてを通して強い女性を作ると共に、映画業界全体で女性が活躍できるような先駆者になってほしい」「ルーカス・フィルムのストーリー担当者6名のうち、5名は女性」と、女性に関する話題を強調している[25]

2015年から2019年にかけて公開されたスター・ウォーズ3部作は女性や有色人種が主演となったが、一部で反発を招いた[26]ニューヨーク・タイムズのインタビューでケネディは、「『スター・ウォーズ』に飛び込む女性たちの多くは、さらに苦労していると思います。なぜなら、ファンベースが非常に男性支配的だからです。彼女たちは時々、極めて個人的なことで攻撃されてしまいます」と主張した[27]

ジョージ・ルーカスの元妻でスター・ウォーズのオリジナル3部作を編集したマーシア・ルーカスは、ケネディについて「『スター・ウォーズ』を全くわかっていない」「女性の観客にアピールするのが大切だと思ったから、主人公は女性。ジェダイの力を持っていることになっているものの、なぜ彼女がジェダイの力を得たのかは不明。何者なのかも不明」「最悪。ストーリーラインが酷い。ただただ酷い。最低」と評した[28]

2023年の「サウスパーク」ではケネディの風刺が登場し、「Put a chick in it! Make her lame and gay!」(女を登場させろ!彼女をダサいにゲイにしろ!)と発言する様子が描かれた[29][30]

プロデュース作品

脚注

  1. ^ a b 外部リンクに映像
  2. ^ Deadline Hollywood Daily” (2012年10月). 2018年2月20日閲覧。
  3. ^ "Board of Governors | History and Organization of the Academy of Motion Picture Arts & Sciences", oscars.org; retrieved 2012-10-02.
  4. ^ Kathleen Kennedy: Awards, imdb.com; accessed February 20, 2018.
  5. ^ “米アカデミー名誉賞、「スター・ウォーズ」プロデューサーらに”. ロイター. トムソン・ロイター. (2018年9月6日). https://jp.reuters.com/article/starwars-idJPKCN1LM08L 2018年9月23日閲覧。 
  6. ^ “米アカデミー特別賞、「スター・ウォーズ」プロデューサーに「この賞を受ける最初の女性となって非常に名誉…」”. ロイター. トムソン・ロイター. (2018年11月21日). https://jp.reuters.com/article/kennedy-idJPKCN1NQ0D4 2018年11月22日閲覧。 
  7. ^ a b Dione Marie (Dousseau) “Dede” Kennedy (1931-2005) obituary”. 2011年7月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年2月4日閲覧。
  8. ^ Connie Kennedy profile, imdb.com; accessed February 20, 2018.
  9. ^ Ellison, Sarah. “Meet the Most Powerful Woman in Hollywood” (英語). HWD. https://www.vanityfair.com/hollywood/2016/02/kathleen-kennedy-hollywood-producer 2018年4月30日閲覧。 
  10. ^ Editor (June 10, 1994). National Student Film Institute/L.A: The Sixteenth Annual Los Angeles Student Film Festival. The Directors Guild Theatre. pp. 10-11 
  11. ^ Editor (June 7, 1991). Los Angeles Student Film Institute: 13th Annual Student Film Festival. The Directors Guild Theatre. p. 3 
  12. ^ Past Recipients”. Wif.org. 2011年6月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年6月21日閲覧。
  13. ^ "History", Producers Guild of America; retrieved 2012-10-02.
  14. ^ "Awards Retrospective" Archived 2014-08-06 at the Wayback Machine., wif.org; retrieved 2012-10-02.
  15. ^ "Ponyo" US Release Semi-Detailed”. Nausicaa.net GhibliWiki (2008年6月5日). 2008年6月10日閲覧。
  16. ^ The Secret World of Arrietty”. Disney.go.com. 2014年6月21日閲覧。
  17. ^ 『コクリコ坂から』の北米配給決定!2013年のアカデミー賞も視野…キャスリーン・ケネディとフランク・マーシャルが引き続き英語版を製作”. シネマトゥデイ. 株式会社シネマトゥデイ (2012年6月6日). 2019年2月25日閲覧。
  18. ^ 『コクリコ坂から』が3月からアメリカの主要都市で公開!…昨年(2012年)11月にロサンゼルスでオスカー対象作品となるために短期上映”. シネマトゥデイ. 株式会社シネマトゥデイ (2013年1月27日). 2019年2月25日閲覧。
  19. ^ "The Kennedy/Marshall Company – About", The Kennedy/Marshall Company. Retrieved 2012-10-02.
  20. ^ Susan King, "'E.T.': Kathleen Kennedy on Spielberg, Lucas and making of a classic", Los Angeles Times, October 8, 2012; retrieved October 16, 2012.
  21. ^ Lussier, Germaine. “Kathleen Kennedy Named as Co-Chair and Successor to George Lucas at Lucasfilm”. /Film. 2012年6月2日閲覧。
  22. ^ Lucasfilm Names Kathleen Kennedy Co-Chair As Successor To George Lucas”. Deadline. 2012年6月2日閲覧。
  23. ^ “Disney to Acquire Lucasfilm Ltd.”. Yahoo!. (2012年10月30日). https://news.yahoo.com/disney-acquire-lucasfilm-ltd-195100740.html 2012年10月30日閲覧。 
  24. ^ キャスリーン・ケネディ、英国アカデミー最高の栄誉であるフェローシップ賞受賞へ 映画.com 2019年12月11日
  25. ^ 『スター・ウォーズ』最新作、ヒロイン主役の背景に「女性が活躍できる先駆者に」”. クランクイン!!. 2024年6月4日閲覧。
  26. ^ Lucasfilm head Kathleen Kennedy says women in ‘Star Wars’ ‘struggle’ due to ‘male-dominated’ fandom”. ロサンゼルス・タイムズ (2024年5月30日). 2024年5月30日閲覧。
  27. ^ キャスリーン・ケネディ、過激ファンによる誹謗中傷を危惧”. THE RIVER. 2024年6月2日閲覧。
  28. ^ 『スター・ウォーズ』旧3部作エディターが続3部作を批判「スター・ウォーズをわかってない」”. THE RIVER. 2024年6月4日閲覧。
  29. ^ Lucasfilm head Kathleen Kennedy says women in ‘Star Wars’ ‘struggle’ due to ‘male-dominated’ fandom”. ロサンゼルス・タイムズ (2024年5月30日). 2024年5月30日閲覧。
  30. ^ ‘South Park’ Mocks Kathleen Kennedy, Disney Diversity Efforts; Gina Carano Reacts”. ハリウッド・リポーター (2023年10月30日). 2024年6月5日閲覧。

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