カテナの位置づけ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/30 05:54 UTC 版)
「カテナ (言語学)」の記事における「カテナの位置づけ」の解説
カテナは依存で定義されているので、語順に触らない。語順にかかわる用語はストリング(string)である。ストリングとは、語および連続隣接関係にある語の集合のこと。ABCがあれば、A、B、C、AB、BC、ABCはストリングとなっている。しかし、ACは隣接関係がないから、ストリングとならない。上記の例文には、以下のストリングがある: 一つの語から成り立つ:門の、前に、黒い、猫が、いる(計:5) 二つの語から成り立つ:門の前に、前に黒い、黒い猫が、猫がいる(計:4) 三つの語から成り立つ:門の前に黒い、前に黒い猫が、黒い猫がいる(計:3) 四つの語から成り立つ:門の前に黒い猫が、前に黒い猫がいる(計:2) 全文:門の前に黒い猫がいる(計:1) 合計15本のストリングがある。 ストリングとカテナを併せれば、成分(またはチャンク)が得られる。成分とは、同時にストリングでもカテナでもあるもの。上記の例文には、以下の成分がある: 一つの語から成り立つ:門の、前に、黒い、猫が、いる(計:5) 二つの語から成り立つ:門の前に、黒い猫が、猫がいる(計:3) 三つの語から成り立つ:黒い猫がいる(計:1) 四つの語から成り立つ:前に黒い猫がいる(計:1) 全文:門の前に黒い猫がいる(計:1) 合計11本の成分がある。 二つの定義を併せもつため、当てはまる語の集合の数が減る。 ある成分がすべてその根(カテナの一番上の語)に依存している語を含めば、完全にする。完全な成分を構成素と呼ぶ。上記の例文には、以下の構成素がある: 門の、黒い、門の前に、黒い猫が、門の前に黒い猫がいる(計:5) 合計5個の構成素がある。 構成素という概念は、ストリング・カテナ・完全という定義に基づいているので、最も制約されている概念である。そのため、ある例文には、構成素の数は、ストリング・カテナ・成分の数より少ない。この特徴を排他(反対語:包含)と呼ぶ。構成素は、成分より排他的単位で、さらに、成分はストリングとカテナより排他的単位である。逆に、ストリングとカテナは成分より包含的単位で、成分は構成素より包含的単位である。その関係は以下の図が示す: 構成素(完全な成分)は成分に含まれ、成分はストリングとカテナの部分集合である。ストリングとカテナは基礎的概念で、異なる次元を取り上げる。ストリングが第一次元(語順)の概念で、カテナは第二次元(優勢)の概念である。
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