エミール・ゾラの『ナナ』
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「パリ大賞典」の記事における「エミール・ゾラの『ナナ』」の解説
この頃のパリ大賞典を描いているのが、フランス自然主義文学者エミール・フランソワ・ゾラの代表作『ナナ』である。 貧困層から出てパリで上流階級の高級娼婦となった主人公のナナは、パトロンに連れられて1869年の第7回パリ大賞典を見に行く。この競走にはパトロンの所有馬が本命になっていた。パトロンの所有するもう1頭の牝馬には、彼女と同じ名前のナナという名前がつけられていたが、ナナは最低人気だった。ナナはパトロンの助言に従って本命馬の馬券を買う。しかしこの大競走にはある裏があった。 多くの登場人物は愛国的な気持ちからフランス馬の馬券を買うが、ある登場人物は「事情通」で、フランス産馬は英国馬にかなわないと説く。10章では、パリ大賞典当日の朝からレースの後までが描かれる。 まさにどよめきが満潮のように沸き上がってきた。(中略)その叫びは嵐のような激しさで大きくなり、次第に地平線に充ちわたり、ブーローニュの森の奥からヴァレリアンの丘へ、ロンシャンの草原からブーローニュの平野へと伝わっていった。芝生の上はとんでもない熱狂状態にあった。(中略)フランス万歳!英国はくたばれ!ある者たちはヒステリックに笑いながら帽子を投げていた。またトラックの向こう側の重量測定場の中からも呼応があり、観覧席を揺るがす騒ぎになっていた。 — 『ナナ』第10章より)
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