イーノーの神化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 08:37 UTC 版)
かつてイーノーは、姉妹のセメレーとゼウスの子ディオニューソスを娘として匿ったことがあり、アタマースはこれを黙認していた。ヘーラーは、このことを憎んでアタマースに狂気を吹き込んだ。アタマースが白い鹿を見つけて矢を射たところ、殺したのはイーノーとの息子レアルコスだった。その光景を見たイーノーも狂気に駆られ、沸騰したお湯の入った鍋にメリケルテースを入れて殺し、その遺体を抱いて海に飛び込んだ。別の説では狂気に駆られたアタマースはレアルコスの体を八つ裂きにした。イーノーはもう一人の息子メリケルテースを抱いて逃げたが、アタマースに追いつめられ、母子ともに海に身を投げたともいう。ゼウスはディオニューソスを育てた恩義に報いてイーノーを女神レウコテアーとし、メリケルテースは海神パライモーンとなった。 女神レウコテアーは、ホメーロスの叙事詩『オデュッセイアー』第5巻に登場する。レウコテアーは、難破したオデュッセウスにカモメの姿をとって近づき、身につければ決して溺れることのない力を持つヴェールを貸し与えて彼を救った。パライモーンは水夫の守護神として信仰された。また、メリケルテースの遺骸はイルカによってコリントスに運ばれ、これを記念してイストミア競技祭が設けられたという。
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