イブンハズムとは? わかりやすく解説

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イブン‐ハズム【Ibn Ḥazm】

読み方:いぶんはずむ

[994〜1064]スペインイスラム法学者神学者文学者コルドバ生まれイスラム法解釈において類推認めないザーヒリー派の立場から、諸学派を批判著作に「諸宗派についての書」や、恋愛論先駆鳩の頸飾り」などがある。


イブン・ハズム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/28 17:22 UTC 版)

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イブン・ハズムأبو محمد علي بن احمد بن سعيد بن حزم, Ibn Hazm, 994年11月7日 - 1064年8月15日)は、中世イスラーム世界のアンダルスのウマイヤ朝の人物。神学者、法学者、詩人。本名はアリー。通り名は、アブー・ムハンマド。

生涯

コルドバの名家に生まれる。父アフマドは、ウマイヤ朝のカリフであるヒシャーム2世に仕える宰相だった。家庭では多くの侍女にかしずかれて育ち、この時の経験がのちの著作『鳩の頚飾り』に影響を与える[1]。後ウマイヤ朝の内紛によりコルドバを逃れ、カリフアブド・アッラフマーン4世英語版アブド・アッラフマーン5世英語版ヒシャーム3世英語版の宰相となるが、動乱のために数度の投獄を受ける[2]

イスラーム法学ではザーヒル派英語版に属し、クルアーンハディースの内容を固守する論客だった。類推(キヤース)、個人的見解(ラーイ)、合意(イジュマー)などによる妥協を認める学説に反対し、当時のアンダルスで支配的だったマーリク派の法学者たちを攻撃したため、迫害を受ける。神学や法学を中心に400篇近い著述をしたとされるが、大半は存命中にセビリアで焼き捨てられ、ニエブラ英語版で死去した[3][2][4]

代表的な著作として、ユダヤ教キリスト教イスラームについて書いた『諸宗派に関する書』(Al Kitab al-Muhallā bi'l Athār)がある。現存する唯一の文芸作品であり、恋愛論でもある『鳩の頸飾り』(Ṭawq al-Ḥamāmah)は、死後8世紀以上たってからライデン大学で写本が発見され、各国語に訳されている[5][6]

著書

黒田壽郎訳・解説、岩波書店<イスラーム古典叢書>、1978年1982年

注釈

出典

  1. ^ イブン・ハズム 1978, pp. 101, 342.
  2. ^ a b 前嶋 1991, p. 330.
  3. ^ イブン・ハズム 1978, pp. 344-350.
  4. ^ メノカル 2005, pp. 107-110.
  5. ^ イブン・ハズム 1978, pp. 338-340.
  6. ^ 関根 1979, pp. 219-220.

参考文献

  • イブン・ハズム、黒田壽郎訳 『鳩の頸飾り 愛と愛する人々に関する論攷』 岩波書店〈イスラーム古典叢書〉、1978年。 
  • 関根謙司 『アラブ文学史 - 西欧との相関』 六興出版、1979年。 
  • 前嶋信次 『生活の世界歴史7 イスラムの蔭に』 河出書房新社〈河出文庫〉、1991年。 
  • マリア・ロサ・メノカル、足立孝訳 『寛容の文化 - ムスリム、ユダヤ人、キリスト教徒の中世スペイン』 名古屋大学出版会、2005年。 (原書 Menocal, María Rosa (2002), The Ornament of the World: How Muslims, Jews, and Christians Created a Culture of Tolerance in Medieval Spain 

関連項目

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