イカロスの墜落のある風景 (デ・モンペル)とは? わかりやすく解説

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イカロスの墜落のある風景 (デ・モンペル)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/16 00:56 UTC 版)

 

『イカロスの墜落のある風景』
スウェーデン語: Landskap med Ikaros fall
英語: Landscape with the fall of Icarus
作者 ヨース・デ・モンペル
製作年 1620年代
種類 キャンバス上に油彩
寸法 154 cm × 173 cm (61 in × 68 in)
所蔵 スウェーデン国立美術館ストックホルム

イカロスの墜落のある風景』(イカロスのついらくのあるふうけい、: Landskap med Ikaros: Landscape with the Fallo of Icarus)は、17世紀フランドルバロック期の画家ヨース・デ・モンペルキャンバス上に油彩で制作した絵画である。おそらく1620年代に描かれた。作品は1648年の略奪によってストックホルムに持ち去られ[1]、現在、ストックホルムのスウェーデン国立美術館に所蔵されている[1][2][3]

主題

ギリシア神話イカロスクレタ島から逃げ出す際、父のダイダロスハチで固めて作った羽で父とともに飛翔することに成功した。飛び立つ前に、ダイダロスはイカロスにヒュブリス (驕慢) の戒めをし、あまり高く飛ぶことも、あまり低く飛ぶこともせず、空の中ほどを進むように求めた。しかし、イカロスは父の警告を無視し、太陽の近くを飛んだために蝋が溶けてしまうこととなった。結果として彼は海に落下し、溺死する[2][4][5]

作品

画面左側では、何隻かの船が断崖沿いに航行している。画面右側は、高く葉の生い茂った木々によって枠どられている。中景には海沿いの町が広がっており、デ・モンペルとフランドルの風景画家たちに典型的な壮大な断崖が町の上に聳え立っている[1][6]

ピーテル・ブリューゲルのオリジナル作品の模写『イカロスの墜落のある風景』 (1560年代)、ベルギー王立美術館ブリュッセル

木々の木陰には羊飼いがおり、羊の群れの世話をしている[1]。左側には釣り人が、その右側には畑の耕作者がいる。これら3人の人物 (耕作者、羊飼い、釣り人) は、伝説にもとづくオウィディウスの物語に言及されている。オウィディウスによれば、彼らは「驚愕し、アイテールを通して神々たちがやってくるのを見た」。これに対し、フランドルのには「そして、農民は耕作し続けた...(En de boer ... hij ploegde voort) 」というのがあり、人々がほかの人の災難に無関心であることを指摘している[7]

本作は、ピーテル・ブリューゲルのオリジナル作品の模写『イカロスの墜落のある風景』 (ベルギー王立美術館ブリュッセル) に触発されている。デ・モンペルの本作でも、3人の人物は、神に間違えられそうな飛翔をしている男たちに無関心である。1938年の詩の中で、W・H・オーデンは、ブリューゲルの絵画がイカロスの気づかれない死に際しても行われる日常の出来事を強調しており、災難に対する人間の無関心を描いていると提唱している。

脚注

  1. ^ a b c d Sture Linnér (2013). Europas ungtid: Nedslag i Europas kulturhistoria. Stockholm: Wahlström & Widstrand. p. 257. ISBN 9789146222453. https://books.google.com/books?id=GNhHBgAAQBAJ&q=Landskap+med+Ikaros+fall+joos+de+momper&pg=PT172 
  2. ^ a b Landskap med Ikaros”. スウェーデン国立美術館公式サイト (スウェーデン語の英訳). 2024年10月13日閲覧。
  3. ^ Art Bulletin of Nationalmuseum, Stockholm, Volume 9. Stockholm: Nationalmuseum. (2002). pp. 50–51; 106. https://books.google.com/books?id=58aarF2y5Z8C&q=Landskap+med+Ikaros+fall+joos+de+momper 
  4. ^ Daedalus”. Britannica. 2020年9月23日閲覧。
  5. ^ 吉田敦彦 2013年、170頁。
  6. ^ Landscape Painting in the Netherlands”. Metropolitan Museum of Art. 2020年9月22日閲覧。
  7. ^ Hunt. “Ekphrasis or Not? Ovid (Met. 8.183-235 ) in Pieter Bruegel the Elder's Landscape with the Fall of Icarus”. 2009年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年10月13日閲覧。

参考文献

外部リンク




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