こちら、終末停滞委員会。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/29 06:24 UTC 版)
こちら、終末停滞委員会。 | |
---|---|
ジャンル | 学園[1]、SF[2]、アクション[2] |
小説 | |
著者 | 逢縁奇演 |
イラスト | 荻pote |
出版社 | KADOKAWA |
レーベル | 電撃文庫 |
刊行期間 | 2024年7月10日 - |
巻数 | 既刊3巻(2025年1月10日現在) |
小説:こちら、終末停滞委員会。です! ――例えばこんな、普通の日々の物語。 | |
著者 | 逢縁奇演 |
イラスト |
|
出版社 | KADOKAWA |
掲載サイト | 電撃ノベコミ+ |
連載期間 | 2025年3月14日 - |
漫画 | |
原作・原案など |
|
作画 | 桜井寛 |
出版社 | KADOKAWA |
掲載サイト | 少年エースplus |
発表期間 | 2025年4月29日 - |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | ライトノベル・漫画 |
ポータル | ライトノベル・漫画 |
『こちら、終末停滞委員会。』(こちら しゅうまつていたいいいんかい)は、逢縁奇演による日本のライトノベル。イラストは荻poteが担当している。電撃文庫 (KADOKAWA) より2024年7月から刊行されている。略称は「こちまつ」[3]。2025年3月時点でシリーズ累計発行部数は5万部を突破している[4]。
いずれ宇宙を滅ぼすとされる事象・終末と戦いながら学園生活を送る少年少女の物語[1]。
2025年1月には水瀬いのりがナレーションを務めるPVとCMが公開された[5]。外伝小説『こちら、終末停滞委員会。です! ――例えばこんな、普通の日々の物語。』が『電撃ノベコミ+』(KADOKAWA) にて2025年3月から連載中[6]。イラストはあさなやが担当している[6]。
メディアミックスとして、桜井寛によるコミカライズが『少年エースplus』(KADOKAWA) にて2025年4月から連載中[7]。
あらすじ
- 第1巻
- 人の心を読む能力・囁き屋をもつ言万心葉は、中学卒業前にメキシカンマフィアのサングレ・オクルタに拉致され、3年間奴隷のように利用されてきたが、用済みとみなされて遠い国へ売られることになった。しかし、同じく囚われていたところを偶然助けた少女・黒の魔王の力で輸送船は沈没し、心葉はサングレ・オクルタでの唯一の友人を助けようとして沈溺する。
- 心葉は女神の姿をした終末・霊魂アキュムレータ™に回収され、異世界転生と騙されて取り込まれかけるが、終末と戦う組織・終末停滞委員会に所属する蒼の学園の恋兎ひかりたちによって救出される。心葉は自らも人型の終末であることを教えられ、霊魂アキュムレータ™に協力させられていたメイド姿の終末・Lunaともども蒼の学園によって処分されかけるが、蒼の学園の生徒会長であるエリフ・アナトリアから心の声による助言を受け、Lunaとともに蒼の学園への協力を申し出る。
- 心葉とLunaは恋兎が率いるチームのもとで、蒼の学園への入学前に終末解決の見学をすることになる。心葉は小柴ニャオに同行し、カウス・インスティトゥート所属のレア・クール・ドゥ・リュミエール、マギナ・アヴラムとともに、カルト宗教の永遠なる沈黙の熱狂者が発生させた終末・臓物マンションに臨み、その解決に貢献する。
- 心葉とLunaはテルミベック・ジェーンベコワのラボで保管されている終末を調査することになり、その中のひとつである泥の仮面に注目する。恋兎のチームとテルミベックは、泥の仮面が心の声で示した座標であるフィリピン海に何かあると考え、心葉とメフリーザ・ジェーンべコワの2人が深海探索に向かい、蒼の学園から逃亡するつもりだったLunaも心葉を案じて密かに同行する。深海に形成されていた異界で、泥の仮面の黒幕である機械の終末・守護者の群れと交戦し窮地に陥るが、心葉がLunaと契約して同化した終末・黄金の獅子の力で形成逆転する。守護者は全てを滅ぼすために死体仕掛けの神となって地上へ出現するが、待機していた恋兎がこれを討伐する。
- 第2巻
- 6月、心葉とLunaは正式に蒼の学園に入学する。転入当初の心葉はクラスメートの多くから人型終末として警戒されていたが、気にせず話しかけてきたアーラヴ、PMと親しくなり、終末・深穴を利用した授業での活躍によりクラスメートから認められる。
- 三大学園合同の天空競技祭が間近に迫る中、エリフは恋兎に、恋兎と心葉の暗殺計画が進行していることを教え、心葉を守りつつ鍛えるよう頼む。恋兎はこれを承諾し、あわせて天空競技祭の種目の一つである、各学園から5人ずつ生徒を選抜して決闘する代表戦を引き受け、メンバーを恋兎班で固める。代表戦出場者が一堂に会する場で、心葉の囁き屋によって、暗殺計画の首謀者がCorporationsの企業警備隊隊長、ケイトリン・アン・オースティンであることを突き止める。
- Corporationsとの代表戦に向けて、心葉たちは恋兎班の最古参であるウー・シーハンの銃痕・四つの凶を利用した特訓を受ける。心葉は自身の銃痕・noapusaの使い方すら把握していなかったが、代表戦本番で対戦相手のフィドラ・レイノルズに感化されて自分の本質を認め、noapusaを使用して勝利する。
- 蒼の学園とCorporationsの対決は恋兎とケイトリンの大将戦までもつれ込むが、永遠なる沈黙の熱狂者と黒の魔王の乱入によって会場は混乱に陥る。ケイトリンは、事前に協力を取り付けていた反現実団体のメンバーを伴い、さらに計画を知らせていなかった代表戦の仲間たちも味方につけ、恋兎の暗殺を実行に移す。恋兎班の仲間がいる会場から引き離されながらも奮闘する恋兎によって味方が倒される中で、ケイトリンは到達点・終わりの炎炎を発動して恋兎に迫るが、恋兎は桜の残影がもつ、自身を弱体化させる能力を解除してケイトリンを撃破する。
登場キャラクター
蒼の学園
恋兎班
言万 心葉 ()- 顔をはじめ全身に傷がある少年。17歳[8]。
- 人の心を読む終末
囁き屋 ()を持つ。終末ポテンシャルはStage4「活性化」[9]。エリフからの助言で、周囲には未来予知の能力と偽っている[10]。 - ライトノベルの主人公に憧れ、普通の高校生のような青春がしたいと望んでいる[11]。育ての親である老住職からボクシングを習っていたほか、「いいヤツ」でいなければいけないという教えを胸に刻んでおり[12]、優先して他者を助けることができる[13]。
- Luna
- 水色のジャージにエプロンとカチューシャをつけたメイド[16]。境界領域商会によって製作された、全身が金属糸で織られている機械人形[17]。
鋼鉄の花嫁 ()と呼称される終末で[18]、終末ポテンシャルはStage3「成長」[19]。 - 心葉の境遇に心を痛め、報われることを願っている[20]。
恋兎 ひかり ()- スーパー美少女を自称する[23]、桜色の髪の少女[24]。心葉たちの1つ上の先輩で、チームのリーダー[25]。
- 能天気な振る舞いを見せる一方で[24]、人類最強と評される実力者[26]。桜色のエネルギーを司り、ビームを射出したりバリアを展開したり分身を生成したりする[27]。
小柴 ニャオ ()- 藤紫色の髪をツーサイドアップにした、小動物のような少女[29]。中等部1年生[30]。
- 負けず嫌いであり、心葉との些細なやりとりを勝敗として数えている[31]。
- メフリーザ・ジェーンべコワ
- 長身で褐色の少女[35]。17歳で[36]、心葉の同級生[26]。
- 反現実災害を発生させた神秘学者の父が逮捕された後、兄とともに保護されて蒼の学園にきた経緯を持つ[37]。
- 真面目な性格。男性を苦手としているが、傷だらけの心葉を気にかけている[38]。
- ウー・シーハン
- 恋兎の先輩で、チームの元隊長[40]。万年留年生[40]。長袍を着た眠たげな少女[41]。「皆が日々を平穏に過ごすこと」を自身の願いとしており、とある任務で無理をした結果、銃痕の副作用で四重人格になり、常に睡眠をとらなければならなくなった[42]。
四つの凶 ()- ウーの「四つの凶を操る」銃痕[43]。中型のバズーカ[44]。4種類の獣のうち、1日に1匹だけ召喚できる[43]。
渾沌 ()- 「無い」を「在る」にする獣[43]。ハンペンの塊のような首のない生き物で、ウーによると一番素直に言うことを聞くとされる[45]。渾沌を受け入れるかというウーの問いに同意した者を呑み込む[46]。渾沌の内部ではウーの意思で存在しないものを存在させることが可能であり[46]、命を落とした者は蘇生できるほか[47]、時間を生み出すことによって渾沌の外部よりも長い時間を確保できる[48]。
窮奇 ()- 「正しい」を「間違い」にする獣[43]。筋肉質で巨大な腕をもつ怪物[49]。人間を非人間(異形の怪物)に変貌させたり、試合の勝敗を逆転させたりと、あらゆるものをあべこべにする能力を持ち、ウーでも制御できないとされる[50]。
檮杌 ()- 「分かる」を「分からない」にする獣[43]。
饕餮 ()- 「魔」を「聖」にする獣[43]。左半身は笑顔、右半身は怒り顔を浮かべた巨大な青銅の生き物[51]。
その他の蒼の学園の関係者
- エリフ・アナトリア
- 蒼の学園の生徒会長[52]。色鮮やかな帽子を被り、宝石を纏った小柄な少女[53]。
- 真の正体を知る者は蒼の学園にいないとされるほどの秘密主義者[54]。一方で、人間の自由意志を信じており、囁き屋をもつ心葉に「猟犬」になることを要求した際には、強制することなく対価として彼の要望を尋ねた[55]。
- 心葉のことを愛しているらしく、仲良くなるために何かと理由をつけて彼に会おうとする[56]。また、恋兎にのみ「心葉のために生徒会長になった」と自身の素性を断片的に明かしている[57]。
- フォン・シモン
- イルミナティの管理人[58]。気が弱そうな長身の青年[53]。彼が5日休むだけで蒼の学園が崩壊すると評されるほど事務処理能力が高いが、一方で他人の心が理解できない[59]。
- テルミベック・ジェーンベコワ
- メフリーザの兄[60]。
- 偉そうな言動をするが面倒見は良い[61]。妹に頭が上がらず、女性を苦手としている[62]。
- ファム・ティ・ラン
- 1年F組の委員長で[65]、樹木騎士団の見習い[66]。終末をもつ人間に対して敵意を抱いており、心葉にも厳しい態度をとる[67]。正義感が強く、間違いがあれば正そうと努めているが、幼いころから何かを間違えている気がするという妄想に囚われており[68]、天空競技祭ではそれを巨匠に利用されることになった[69]。
- アーラヴ
- 1年F組の男子生徒。嫌いな者は貧乏人だと語り、所得の格差による悲劇を生まないよう、財は平等に与えられるべきだという信念にもとづき行動する[71]。
- ピアクディ・メン
- 1年F組の男子生徒。通称はPM。自身を番長と称し、喧嘩上等を座右の銘にしているが、その実、人を傷つけることを嫌っており、拳を振るうのは本当に大切なものを護る時にだけと決めている[73]。
田中 英夫 ()- 1年F組の教師[74]。
カウス・インスティトゥート
- レア・クール・ドゥ・リュミエール
- お嬢様然とした銀髪の少女[76]。16歳[77]。追放部隊所属[77]。心葉と意気投合する[78]。
- マギナ・アヴラム
- 半笑いを浮かべた小柄な黒髪の少女[80]。追放部隊所属で、レアの先輩。
- イシス・ハリード
- カウス・インスティトゥートの賑やかし担当を自称し、天空競技祭の代表戦で実況を務めた少女[82]。
Corporations
- アメリア・マクビール
- Corporationsの生徒会長[84]。第6地区の街を深く愛しており、死後も君を見てるの能力によってあらゆる仕事に無償で従事し続けている[85]。無限に近い数の思考を並行処理しながら平然と振る舞う姿は、心葉に出会った中で最も恐ろしい化け物と思わせた[86]。
- ケイトリン・アン・オースティン
- 企業警備隊の隊長[88]。背の高い緋色の髪の少女[89]。
- 幼少期は引っ込み思案な性格だったが、9歳の時に30年後の未来と時空がつながるタイムパラドックス事変に巻き込まれ、生き残るために39歳の自分を殺した過去をもち、それ以来、強さを求めるようになった[90]。強さは義務を果たすためのものだと信じており[91]、大義をもたぬまま強大な力を振るう恋兎を危険視する[92]。
- メルビン・グレー
- 文学少女を彷彿とさせる、眼鏡をかけた灰色の髪の少女[95]。その外見に反して武闘派で、能力の使用が許可された無差別格闘技の大会で何度も優勝した実績をもつ[96]。
mALEEa ()- フルクトゥス内でもトップの人気を誇るアーティスト[98]。歌手として類まれな才能をもつ一方で[99]、校内の模擬戦ランキングで常に上位に入るなど、高い戦闘能力も併せ持つ[100]。
- アレックス・ケイブ
- 金髪をオールバックにした偉丈夫[102]。8年前、未来の記憶をもつケイトリンと出会い、42歳の自分が39歳のケイトリンと仲良くなった実の娘を虐待の末に殺すことを知り絶望するが、未来を変えるためにケイトリンの誘いに応じて彼女に付き従うようになった[103]。
- フィドラ・レイノルズ
- Corporationsの生徒で、次期生徒会長候補[105]。常に柔和な笑みを絶やさない好青年。誰も戦わずに済むよう、自分が代わりになんでもできたらいいと願う、自己犠牲的な精神の持ち主[106]。
終末
人型終末
- 囁き屋
- →「§ 言万心葉」を参照
- 鋼鉄の花嫁
- →「§ Luna」を参照
- 黒の魔王
- 黒いコートを着た黒髪の少女[110]。終末ポテンシャルはStage5「混乱」[111]。かつてはCorporationsの生徒だったが、終末の発現に伴い脱学した[111]。
- 強力な情報ジャミングの性質をもっており、彼女に関する情報は本名等も含めて残っていない[112]。影の巨人を使役する[113]。
- 魔王を自称し[114]、宇宙の滅亡を標榜する一方で[115]、ハッピーエンドがあることを信じると語る[116]。心葉のことを同類とみなしてアプローチをかけており、心葉からも強い関心を抱かれている[117]。
巨匠 ()- 永遠なる沈黙の熱狂者の首領[118]。終末ポテンシャルはStage7「破壊」[119]。
- 柔和な雰囲気をもつ背の高い糸目の男だが[68]、心葉が読もうとしたその心は悪意に満ちている[120]。言葉で命令するだけで相手を石のように動けなくするほか[119]、肉体を傷つけられてもすぐに再生する[121]。
- 熱狂者・ゴール
- 臓物マンションの儀礼によって不死になった永遠なる沈黙の熱狂者[122]。口にした言葉を現実に反映させる能力を持つ[123]。口を封じられても言葉を発することができる[124]。対象を取らなければ能力は発動しない[124]。
三大学園の終末
銃痕の天使 ()- 蒼の学園の生徒に銃痕を与える天使[125]。終末ポテンシャルはStage6「動揺」[125]。
- 斬撃の天使
- カウス・インスティトゥートの生徒に斬撃を与える天使[81]。
- 片翼の天使
- Corporationsの生徒に片羽を与える天使[126]。三大学園が有する天使像の中で最も古いとされており、「はじまりの天使像」とも呼称される[126]。
深穴 ()- とある修行僧の渇望によって反現実と化した洞窟[127]。終末ポテンシャルはStage2「種まき」[127]。深穴から出た対象は入った時点の状態に巻き戻るため、深穴内部で死亡した者も遺体を外へ出せば蘇生する[127]。各階層で反現実生命体が生成されており、蒼の学園では新人生徒の訓練のために利用されている[128]。
反現実組織の終末
- 霊魂アキュムレータ™
- 境界領域商会によって制作・販売されている終末[129]。終末ポテンシャルはStage3「成長」[130]。
- 「女神」が人間を言葉巧みに「門」へ誘導し、その中で人間の魂魄流動体を保全する[129]。捕まった人間たちは溶かされて一つの肉塊にされ[131]、魂魄流動体の鮮度を保つために異世界で冒険する夢を見せられ続ける[129]。
- 臓物マンション
- バルセロナ郊外のマンションで発生した終末[132]。永遠なる沈黙の熱狂者による儀礼であり、屋上に互いの頸椎を折った12対の遺体を配置してマンションを魔術の影響下に置き[133]、住人の頭部を羊の子宮に変えて魂を加工し[134]、育てた羊の胎児を黒曜石に捧げる[135]。
二級天使・黒曜石 ()- 永遠なる沈黙の熱狂者によって信仰される天使の一柱[136]。穢された魂魄流動体を消費して信者を不死の存在に成長させる[137]。
二級天使・百の翼 ()- 永遠なる沈黙の熱狂者によって信仰される天使の一柱[138]。終末ポテンシャルはStage5「混乱」[139]。観測した者の背後に現れ、赤い糸でその口を縫うことで言語機能を失わせる[138]。
その他の終末
- 泥の仮面
- 東アジアからアメリカ大陸にかけての海岸で大量に発見された仮面[140]。終末ポテンシャルはStage2「種まき」[140]。
- その正体は、旧人類が現代の環境に適応できるよう守護者によって加工された存在[141]。現人類の顔面に張り付いて肉体を簒奪する[141]。しかし心葉からは、すでに長期間延命させられた旧人類は存在すること自体を苦痛と感じていて、現人類を乗っ取ったとしてもその瞬間に壊れる可能性を指摘されている[142]。
- 守護者
- 旧人類によって造られた機械生命体[143]。とある守護者が開発したとされる終末「灰色の霧」によって旧人類が滅ぼされた後、生き残った旧人類を深海に形成した異界で保護し、再び地上で繁栄させるために旧人類を泥の仮面に作り変える[144]。旧人類を愛し尊ぶ反面、現人類を見下して憚らない[145]。
死体仕掛けの神 ()- 守護者が自ら展開した異界や旧人類の遺骸、他の守護者を喰らうことで変化した姿[146]。
作中設定
世界観
終末 ()- 宇宙の寿命が近いことによって生じた小さな綻びから始まり、存在を維持するために進化し続け、いずれ宇宙の法則を喰らうほどの脅威になるとされる事象[147]。成長段階によって、始まり・種まき・成長・活性化・混乱・動揺・破壊・大火災・大洪水・終焉の10段階で終末ポテンシャルが設定される[26]。確認される終末の件数は年々増加しており、第1巻時点の年に確認されたのが12897件で、解決済みが2180件だとされ、根絶が困難となっている[148]。
- 天空都市・フルクトゥス
- 地球の上空にある亜空間の都市。面積は地球の5倍以上で、人間の居住可能域はその1%程度だとされる[149]。いつから存在しているかも不明で、誰も詳細を知らない[150]。
魂魄流動体 ()- 魂[151]、あらゆる物質が有する指向性[152]。
銃痕 ()- 銃痕の天使が蒼の学園の生徒に与える銃[125]。所有者の渇望を具現化したものであり[153]、渇望に伴って強くなる反面、代償も大きくなる[154]。
- 斬撃
- 斬撃の天使がカウス・インスティトゥートの生徒に与える、特殊能力を有する剣[81]。
片羽 ()- 片翼の天使がCorporationsの生徒に与える翼[126]。能力は銃痕や斬撃と比較すると、広範囲に影響をおよぼすものが多く、武器形態をもたない代わりに所有者の身体能力を向上させる[126]。
到達点 ()- 銃痕・斬撃・片羽がもつ、所有者が自身の絶望に立ち向かう時にのみ発現する最奥の力[28]。発現には大きな代償を伴うとされる[28]。
組織
終末停滞委員会 ()- 世界を守るために終末と戦う組織。主に蒼の学園、Corporations、カウス・インスティトゥートの三大学園からなる[26]。
蒼の学園 ()- フルクトゥスの第12地区にある、三大学園のひとつ[155]。最多の終末無力化件数という実績はあるが、倫理的な問題も挙がっており、他の学園から非難されることがある[26]。下部組織のイルミナティは情報操作や反現実に関する研究を行っている[26]。
- カウス・インスティトゥート
- フルクトゥスの第9地区にある、三大学園のひとつ[156]。規律を重視する反面[157]、融通が利かない面があるとされる[152]。
Corporations ()- フルクトゥスの第6地区にある、三大学園のひとつ[126]。多くの学園企業によって運営されている連合組織[126]。拝金主義的な価値観が強く[158]、三大学園で最も栄えている反面、貧富の格差が大きい[126]。
- 境界領域商会
- 終末を流通させている反現実組織[159]。
- 永遠なる沈黙の熱狂者
- 沈黙を信仰し、言語を敵視する反現実性のカルト宗教[152]。
- サングレ・オクルタ
- 心葉の囁き屋を利用して規模を拡大させたメキシカンマフィア[160]。
作風
本作は、SF・伝奇・異能バトル・セカイ系など多様な要素を基盤とし、そこに多くの属性を盛り込んだヒロインが次々登場するのが特徴であり[161]、ゼロ年代のライトノベルを想起させるような、今の主流と少し異なる作風となっている[162]。
評価
岬鷺宮は第1巻の解説にて、現在の小説がコスト意識を求められていることについて言及しながら、本作が自分なら2、3冊かける量の情報をひとつひとつ作り込んだ上で提示していることについて、作家側のコストパフォーマンスを無視して読者側が贅沢に情報を摂取できるような構造になっている、「『商業作品』として『原価割れ』を恐れていない」と評し、その理由は逢縁奇演が純粋に好きでやっているからだろうと考え、作家として羨ましいと述べている[163]。
『このライトノベルがすごい!2025』では文庫部門で4位、総合新作部門で2位になった[164]。
ラノベニュースオンラインアワードでは、第3巻が2025年1月刊の投票アンケートで「熱かった部門」に選出された[165]。
既刊一覧
- 逢縁奇演(著)・荻pote(イラスト) 『こちら、終末停滞委員会。』 KADOKAWA〈電撃文庫〉、既刊3巻(2025年1月10日現在)
- 2024年7月10日発売[166]、ISBN 978-4-04-915800-7
- 2024年9月10日発売[167]、ISBN 978-4-04-915906-6
- 2025年1月10日発売[168]、ISBN 978-4-04-916094-9
脚注
注釈
出典
- ^ a b このラノ2025 (2024), pp. 8, 38.
- ^ a b このラノ2025 (2024), p. 38.
- ^ このラノ2025 (2024), p. 8.
- ^ bunko_dengekiの2025年3月27日のツイート、2025年3月27日閲覧。
- ^ “『こちら、終末停滞委員会。』水瀬いのりさんが出演するスペシャルPV&CM映像が公開”. ラノベニュースオンライン. Days (2025年1月14日). 2025年3月8日閲覧。
- ^ a b bunko_dengekiの2025年3月12日のツイート、2025年3月14日閲覧。
- ^ bunko_dengekiの2025年4月25日のツイート、2025年4月25日閲覧。
- ^ 小説1巻 (2024), p. 118.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 75.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 81.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 17.
- ^ 小説1巻 (2024), pp. 29–33.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 27.
- ^ a b c 小説2巻 (2024), p. 263.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 45.
- ^ 小説1巻 (2024), pp. 33–34.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 87.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 323.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 70.
- ^ 小説1巻 (2024), pp. 112–113.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 327.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 326.
- ^ a b 小説1巻 (2024), p. 337.
- ^ a b 小説1巻 (2024), p. 66.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 149.
- ^ a b c d e f 小説1巻 (2024), 口絵.
- ^ 小説2巻 (2024), pp. 305–306, 316.
- ^ a b c d 小説2巻 (2024), p. 338.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 53.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 109.
- ^ 小説1巻 (2024), pp. 133–134.
- ^ a b 小説1巻 (2024), p. 156.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 168.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 245.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 108.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 287.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 262.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 135.
- ^ a b c 小説1巻 (2024), p. 233.
- ^ a b 小説2巻 (2024), p. 157.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 156.
- ^ 小説2巻 (2024), pp. 164, 176–177.
- ^ a b c d e f 小説2巻 (2024), p. 160.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 158.
- ^ 小説2巻 (2024), pp. 158, 160.
- ^ a b 小説2巻 (2024), p. 161.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 166.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 173.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 202.
- ^ 小説2巻 (2024), pp. 216, 218–220.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 288.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 98.
- ^ a b 小説1巻 (2024), p. 67.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 74.
- ^ 小説1巻 (2024), pp. 118–127.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 73.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 72.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 95.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 110.
- ^ 小説1巻, p. 232.
- ^ 小説1巻, pp. 209, 215.
- ^ 小説1巻, pp. 213, 232–233.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 210.
- ^ 小説1巻 (2024), pp. 209–211.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 51.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 16.
- ^ 小説2巻 (2024), pp. 69, 169.
- ^ a b 小説2巻 (2024), p. 169.
- ^ 小説2巻 (2024), pp. 171–172.
- ^ a b c 小説2巻 (2024), p. 170.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 24.
- ^ a b c d e f 小説2巻 (2024), p. 32.
- ^ 小説2巻 (2024), pp. 24–25.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 17.
- ^ a b c 小説2巻 (2024), p. 64.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 157.
- ^ a b 小説1巻 (2024), p. 158.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 161.
- ^ a b 小説1巻 (2024), p. 174.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 162.
- ^ a b c d 小説1巻 (2024), p. 163.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 182.
- ^ a b c 小説2巻 (2024), p. 217.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 47.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 350.
- ^ 小説2巻 (2024), pp. 101–102.
- ^ a b 小説2巻 (2024), p. 48.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 49.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 89.
- ^ 小説2巻 (2024), pp. 114–122, 225.
- ^ a b 小説2巻 (2024), p. 287.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 124.
- ^ a b 小説2巻 (2024), p. 286.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 223.
- ^ 小説2巻 (2024), pp. 148, 184.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 184.
- ^ a b c 小説2巻 (2024), p. 187.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 134.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 200.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 201.
- ^ a b c d 小説2巻 (2024), p. 304.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 150.
- ^ 小説2巻 (2024), pp. 222–227.
- ^ a b c 小説2巻 (2024), p. 231.
- ^ 小説2巻 (2024), pp. 98, 246.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 258.
- ^ a b c 小説2巻 (2024), p. 251.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 267.
- ^ 小説2巻 (2024), pp. 254–256.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 13.
- ^ a b 小説2巻 (2024), p. 127.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 280.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 351.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 15.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 19.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 352.
- ^ 小説2巻 (2024), pp. 289–292.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 295.
- ^ a b 小説2巻 (2024), p. 211.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 294.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 298.
- ^ 小説1巻 (2024), pp. 186, 189.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 189.
- ^ a b 小説1巻 (2024), p. 194.
- ^ a b c 小説1巻 (2024), p. 114.
- ^ a b c d e f g 小説2巻 (2024), p. 133.
- ^ a b c 小説2巻 (2024), p. 54.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 55.
- ^ a b c 小説1巻 (2024), pp. 56–57.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 52.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 49.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 154.
- ^ 小説1巻 (2024), pp. 154, 164.
- ^ 小説1巻 (2024), pp. 172, 177–178.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 180.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 184.
- ^ 小説1巻 (2024), pp. 180, 184.
- ^ a b 小説2巻 (2024), p. 278.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 277.
- ^ a b 小説1巻 (2024), p. 221.
- ^ a b 小説1巻 (2024), p. 286.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 274.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 271.
- ^ 小説1巻 (2024), pp. 271–272, 286.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 276.
- ^ 小説1巻 (2024), pp. 332, 334.
- ^ 小説1巻 (2024), pp. 98–99.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 101.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 105.
- ^ 小説1巻 (2024), pp. 105–106.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 57.
- ^ a b c 小説1巻 (2024), p. 202.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 115.
- ^ 小説2巻 (2024), pp. 176, 254.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 63.
- ^ 小説2巻 (2024), pp. 25–26.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 199.
- ^ 小説2巻 (2024), p. 271.
- ^ 小説1巻 (2024), p. 106.
- ^ 小説1巻 (2024), pp. 11, 118.
- ^ このラノ2025 (2024), p. 87.
- ^ このラノ2025 (2024), p. 93.
- ^ 小説1巻 (2024), pp. 354–357, 解説.
- ^ このラノ2025 (2024), pp. 8, 88.
- ^ “ラノベニュースオンラインアワード2025年1月刊の投票アンケート結果を発表”. ラノベニュースオンライン. Days (2025年3月6日). 2025年3月8日閲覧。
- ^ “「こちら、終末停滞委員会。」逢縁奇演 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2025年3月8日閲覧。
- ^ “「こちら、終末停滞委員会。2」逢縁奇演 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2025年3月8日閲覧。
- ^ “「こちら、終末停滞委員会。3」逢縁奇演 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2025年3月8日閲覧。
参考文献
- 逢縁奇演『こちら、終末停滞委員会。』KADOKAWA〈電撃文庫〉、2024年7月10日。ISBN 978-4-04-915800-7。
- 逢縁奇演『こちら、終末停滞委員会。2』KADOKAWA〈電撃文庫〉、2024年9月10日。ISBN 978-4-04-915906-6。
- 『このライトノベルがすごい!』編集部 編『このライトノベルがすごい!2025』宝島社、2024年12月10日。ISBN 978-4-299-06183-6。
外部リンク
- こちら、終末停滞委員会。 - 電撃ノベコミ+
- こちら、終末停滞委員会。 - 少年エースplus公式サイト
- こちら、終末停滞委員会。のページへのリンク