き裂進展限界値
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/06 07:12 UTC 版)
応力拡大係数は、脆性破壊が始まる破壊靭性K c と、それ以下ではき裂の成長が停止すると考えられる下限界応力拡大係数を持つ。下限界応力拡大係数は、疲労に対する下限界応力拡大係数 ΔK th と、応力腐食割れの下限界応力拡大係数 K Iscc の2種類が存在する。これらの限界値は材料定数であり、実験的に求まるものである。 もし、応力拡大係数が K c 以上となり脆性破壊によるき裂の進行が始まると、き裂は極めて速い速度で伝播し、瞬間的に破断に至る。脆性破壊による重大事故として知られるものの中に、1943年、アメリカで起きたタンカー、スケネクタディー号の事故が有るが、これは静かな港内で突然真っ二つに割れるという劇的なものであった。こうした経験から、限界応力拡大係数は、破壊力学において重視され、最もよく使われる工業設計パラメータのひとつである。
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