き裂の応力集中
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/03 06:19 UTC 版)
き裂の応力集中は楕円孔の短長をb → 0とした極限として考えることができる。遠方からき裂に垂直な一様引張応力を受ける無限板に存在する貫通直線き裂について、き裂延長線上での応力分布は次式で与えられる。 σ y = σ 0 x x 2 − a 2 {\displaystyle \sigma _{y}={\frac {\sigma _{0}x}{\sqrt {x^{2}-a^{2}}}}} ここで σy:き裂延長線(x軸)上の垂直応力 σ0:遠方引張応力 a:き裂半長 x:き裂延長線(x軸)上のき裂中心からの距離 き裂先端の応力に注目すると、x → aではσy→∞となり、応力集中係数も∞となる。よってき裂の問題では、材料中の最大応力のみで材料強度を論じることができない。 さらに、上式をき裂先端を原点にx座標を取り直し、き裂先端近傍(x/a ≪ 1)に絞って考えると応力分布は次式となる。 σ y ≅ σ 0 a 2 x {\displaystyle \sigma _{y}\cong {\frac {\sigma _{0}{\sqrt {a}}}{\sqrt {2x}}}} ここで x:き裂延長線(x軸)上のき裂先端からの距離 上式から、き裂先端近傍部分の応力は x {\displaystyle {\sqrt {x}}} に反比例すること、応力分布はパラメータ σ 0 a {\displaystyle \sigma _{0}{\sqrt {a}}} により決定されることが分かる。 σ 0 a {\displaystyle \sigma _{0}{\sqrt {a}}} に π {\displaystyle {\sqrt {\pi }}} に乗じれば、破壊力学でき裂先端の応力状態を表すパラメータである応力拡大係数となる。 詳細は「破壊力学」、「応力拡大係数」、および「グリフィス理論」を参照
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