油臭(あぶらしゅう)
焼酎に含まれる油成分が酸化されて生じる不快なにおいをいう。焼酎の中には原料の脂肪に由来する油成分が含まれ、その本体は主として脂肪酸のエチルエステルである。この成分は焼酎の温度を10℃以下に冷却すると凝固して白色の固形状となるので、ろ過することによりほぼ完全に取り除くことができるが、このエチルエステルを構成する脂肪酸のうちリノール酸のように酸化されやすい成分は貯蔵過程で酸化されて油臭物質に変化するため、焼酎の品質が劣化する。かつては冷凍設備や高性能のろ過機がなかったためこのエチルエステルを充分に取り除くことができず、焼酎の貯蔵過程や市場での流通過程で油臭が発生して品質を著しく低下させていたが、昭和五〇年代に入り油臭対策が確立され、広域市場での流通を容易にした。
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