MSN
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/21 01:01 UTC 版)
歴史
当初
MSNは1995年のWindows 95の発売と共にサービスを開始した。当時の名称は "The Microsoft Network" であった。当初はいわゆるパソコン通信サービスとして提供されていたが、インターネットの急成長にともにインターネット接続サービスに転換した。
1995年当時はまだ一般家庭からのインターネットサービスプロバイダの利用は一般的ではなかったが、大手パソコン通信業者の一部はインターネットと相互接続しており、パソコン通信のメニューを通じてe-mailやFTPを利用することができた。MSNもこれらと同様、e-mailをはじめとするインターネットとの相互接続を当初から提供していた。あくまでパソコン通信でありIP接続ではないため、インターネットの利用はログイン後の専用メニューから間接的に操作する必要があった。
最大の特徴は、非公開の専用プロトコルを使用していたため、Microsoft Windows 95以外からはアクセスできないようになっていたことである。このため、米国では独占禁止法上の違法性が話題となった。また、Windows 95 のデスクトップにMSNへのオンラインサインアップを促すアイコンが常時表示され、簡単には削除できない点も非難の対象となった(削除するにはレジストリを手動で操作する必要があった)。
技術的にはWindows Explorerに専用のコンポーネントをインストールすることでGUI端末として機能させていた。掲示板などの表示フォーマットはHTMLではなくリッチテキストであり、電子メールクライアントはMicrosoft Exchange用の受信トレイ(後のMicrosoft Outlook)を使用していた。マイクロソフト側のサーバーにはWindows NTマシンが使われていた。
1995年から1998年までのMSN.comは現在と大きく異なり、ただMSNを宣伝する目的のサイトだった。カスタムスタートページ、およびチュートリアルページも存在はしていたが、マイクロソフトの主要なポータルサイトはhome.microsoft.com、当時のMicrosoft Internet Startとして知られていた。
Internet StartはInternet Explorerの規定ホームページとして機能し、ニュース、他のウェブサイトへのリンク、マイクロソフトスタッフのブログ、更新プログラムなどの、基本情報を提供していた。1996年に立ち上げられたMSNBCも、Internet Startとの密接な関わりがあった。
MSN.com
1998年、使用用途において十分な活動を行えていないMSN.comはInternet Startと合併。ウェブサイト、並びにブランド化として再開発された。これにより、当時の最上位の巨大サイトYahoo!、エキサイト、Go.comなどとの競合を実現した。この形式ではサービスの無償提供を行ったため、それまでの定額制のプロパイダなどはMSNインターネットアクセスに改名。これが後にMSNダイヤルアップと呼ばれるものである[2]。日本ではNTTPCコミュニケーションズとの提携で事業を開始している。
再開発されたMSN.comは独自のコンテンツ、実験段階だったMSN2.0より引き継がれたWeb shows、急速に追加された新機能などの一連のサイトが追加された。Internet Start時代のすべてがMSN.comに集約されており、これが結果的にInternet Explorerのスタートページの後継になった[2]。
この時代に立ち上げたサイトのいくつかは、今も形は違うが健在なものもある。例えばMicrosoft Investorは、CNBCがマイクロソフトと共同で開発したビジネス報道、投資サービスであり、現在のMSN Moneyとほぼ同じものである[6][7][8][注釈 1]。また、自動車比較・ショッピングサイトのCarpointは現在のMSNオートスで、カジュアルゲームを提供していたInternet Gaming Zoneは後のMSNゲームである。売却したものには、エクスペディア、Slate、Sidewalk.comがある。
- ^ Microsoft Moneyとは異なる。
- ^ “Operating System (OS) Definition & Examples” (英語). Lifewire (2022年1月24日). 2022年10月8日閲覧。
- ^ a b c “Microsoft Network (MSN) - Msn Works To Find Its Focus”. 2007年6月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月8日閲覧。
- ^ 『MSNネット接続事業をぷららに移管、コンテンツはMSNに併合』日経BP、2000年7月6日。 オリジナルの2014年7月22日時点におけるアーカイブ 。
- ^ Bishop, Todd (2014年9月30日). “MSN’s rebirth brings Microsoft’s new approach into focus” (英語). GeekWire. 2022年10月8日閲覧。
- ^ “MSN Worldwide” (英語). MSN. 2022年10月8日閲覧。
- ^ “CNBC on MSN Money's StockScouter Celebrates Two-Year Track Record Of Outperforming Standard & Poor's 500”. PRnewspire (2003年7月8日). 2016年12月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月9日閲覧。
- ^ “Cheapest Way to Build a Website” (英語). Your Business. 2022年10月8日閲覧。
- ^ “An epic bear market is coming”. MSN Money. (2013年1月2日). オリジナルの2014年9月13日時点におけるアーカイブ。 2022年10月9日閲覧。
- ^ “Microsoft、HotmailからOutlook.comへの移行を完了”. ITmedia News (2013年5月3日). 2023年6月27日閲覧。
- ^ a b “「MSNオークション」4月に終了”. ITmedia NEWS (2011年1月5日). 2023年3月5日閲覧。
- ^ “「毎日新聞とマイクロソフト協業の真相から考察する新聞社サイトの将来”. HUFFPOST (2016年8月3日). 2022年5月4日閲覧。
- ^ “Microsoft、HotmailからOutlook.comへの移行を完了”. IT media NEWS (2013年5月3日). 2023年1月29日閲覧。
- ^ “マイクロソフトのポータルサイト「MSN」を刷新”. Microsoft (2014年9月8日). 2022年5月4日閲覧。
- ^ “「MSN」リニューアル、マルチデバイス対応強化、ニュースは複数社からの提供に -INTERNET Watch”. 株式会社インプレス (2014年9月8日). 2017年12月25日閲覧。
- ^ “ポータルサイト“MSN”がリニューアル、“Bing”ブランドアプリも“MSN”ブランドに - 窓の杜”. 株式会社インプレス (2014年10月1日). 2017年12月25日閲覧。
- ^ “MSNが「20年で最大」のリニューアル 全世界でデザイン統一、マルチデバイス対応 パーソナライズ機能も強化”. IT media NEWS (2014年9月8日). 2023年1月29日閲覧。
- ^ “Microsoft、iOSおよびAndroid向け「Microsoftニュース」アプリ AIと人間がキュレーション”. ITmedia Inc. (2018年6月21日). 2023年10月17日閲覧。
固有名詞の分類
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