CardWirth
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歴史
CardWirthはシリーズ化されていない単一の同人ゲームとしては非常に息が長いため、登場してから今日に至るまでの歴史を把握している者は今では非常に少なくなっている。
以下はCardWirth全体を取り巻く大まかな流れをまとめたものであるが、個々の出来事をより詳細に記録した文献としてファンサイトの一つである「拾穂文庫 “CardWirth史年表 総目次” (2019年3月27日). 2022年1月29日閲覧。 [5]」に「CardWirth史年表」というコンテンツが存在する。
黎明期(1998年頃)
CardWirthが公開されて間もないこの頃は当然ユーザー数も少なく、それに比例してシナリオやリソースもほとんど存在しなかった。 裏を返せば、この当時からCardWirthの持つ魅力に気付き、盛り上げていくことに尽力してきたユーザーが多く存在した時期と言える。 「ないものは作るしかない」、この発想からかこの頃のユーザーは一人のプレイヤーであると同時に自身が優秀なクリエイターでもあった。
「Adventurer's GUILD」への投稿数がまだそれほど多くなかったこの頃は、groupAskによって投稿シナリオ一つ一つに対しコメントが付けられていた。 また、極めて短期間ではあるがシナリオへの人気投票システムが稼動したこともあった。 しかし人気投票についてはフリーソフトのゲームに評価で優劣をつけるということに対し疑念を抱くシナリオ作者も多く、騒動の元となった。 その後、投票対象となるシナリオを登録制へと改められるなどの改良も行われたが、最終的には評価することの意義そのものが問われることになり、このシステムは廃止された。 この議論以降、「Adventurer's GUILD」でのシナリオの取り扱いは「シナリオの登録」のみとなり、評価に関する一切は無くなる。
最盛期(1999年~2000年頃)
メディアでCardWirthが取り上げられる機会が多くなったこの頃、当時のインターネット事情とも相まってユーザーの総数が一気に増加し、それに伴いユーザーが作成したシナリオの登録数も急速に増加した。 「Adventurer's GUILD」には大量のシナリオが登録されるようになり、実力派と呼ばれるようになるシナリオ作者達も多く現れた。 その一方で、「Adventurer's GUILD」に投稿されるシナリオの完成度には大きな開きができ、まさに玉石混交といった様となり混迷を極めた。 また、あまりの投稿数の増加にgroupAskによる手作業での登録作業では追いつかなくなり、一時は「Adventurer's GUILD」が機能しなくなるなどの弊害も見られた。 (その後、公式サイトの移転と同時に「Adventurer's GUILD」をはじめとするユーザー情報の登録作業はすべて半自動化された)
この頃はCardWirthを取り扱うユーザーズサイトも次々に開設され、オフ会などの動きも含めユーザー間による交流が最も多く見られた時期でもあった。
減少期(2000年~2001年頃)
シナリオの投稿数が増えたことはユーザーにとっては歓迎すべき事態であると同時に、氾濫するシナリオを持て余し、自己にとってより良質のシナリオだけを求めるユーザー層(悪く言えばDOMユーザー)も増やす結果となっていった。 その流れを象徴するかのように、それまで何度かに渡って物議を醸してきた「シナリオ作者としてのユーザーの視点」と「プレイヤーとしてのユーザーの視点」のずれ、すなわちシナリオの評価についての是非が再び持ち上がる。 評価を是とするこの時の動きはそれまで以上に大きなものとなった為、シナリオ作者を中心とした多くのユーザー層からの不満や不信、反発といったものを招き、CardWirthコミュニティを二分するほどの勢いで意見の衝突を引き起こした。 当時コミュニティの中核をなしていたユーザーの多くがこれらの騒動に大なり小なり関わってきたことから、議論が平行線のまま収束する頃にはそういったユーザーも様々な理由で次第にコミュニティから遠のいていった。 急騰した人気が一段落したこともあり、ここからそれまでの賑わいが急速に収縮していくこととなる。
低迷期(2001年~2003年頃)
ユーザー数の減少はそのままCardWirthコミュニティ全体に響き、その後しばらくは低調が続くこととなる。中でも初期の頃から活躍し、それまでコミュニティの牽引役となっていたユーザーの多くが一線を退いたこと、そして開発元であるgroupAskにこの頃大きな動きが見られなかった事などが大きかった。
もっとも、これはユーザー層が大きく入れ替わる、いわば転換期としての側面もあった。特にこの当時コミュニティにデビューしたユーザーには実力派のクリエイターが多くそろっていたことから、低迷が続くもののCardWirthの人気は持続することとなった。
また、公式サイトを離れた旧来からのユーザーの一部は、他方で個々のユーザーズサイトに分散して小規模なコミュニティを形成していく。 こういった新たなコミュニティは以降も地道に活動を続け、こちらもCardWirthコミュニティ全体を支えた。
上昇期(2003年~2005年頃)
2003年、ここにきてそれまで長らく動きがなく、公式サイトの運営も滞りがちとなっていたgroupAskにようやく動きが見られる。 一部ユーザーからの提言を受け、これまでgroupAskのみで行ってきた公式サイトの運営を有志のユーザーに任せることを決断。これにより同年6月、「Adventurer's GUILD」などのサポートが公式サイトから“公式ファンサイト”の「groupAsk official fansite」へ委譲された。
これ以降、ファン有志のコミュニティが共同でCardWirth全体を支えていくことになる。その後groupAsk official fansiteから最新バージョンのCardWirthが登場したこともあり、コミュニティ全体の動きが活発化した。 また新規ユーザーも引き続き増え続け(ただし、同じくらいには古くからのユーザーが減少してもいた)、良質のシナリオやリソースが安定して提供されていくようになる。
安定期(2005年頃~2011年頃)
この時期になると、エンジンのバージョンが固定された状況が長く続いたこともあって、CardWirthを取り巻く状況はほぼ横ばいとなり大きな変動は見られなくなった。 ユーザーの動きとしては中心となるべき開かれたコミュニティの場が存在していなかったこともあり、多くのユーザーは個人単位で細々とした活動を行うか、自身が身を置く閉塞的コミュニティから出ずに活動するようになっていた。こうした動きからユーザーの入れ替わりが最も緩やかな時期だったと見る事ができる。 また、システム面での変遷が無かったことからユーザー単位での技術的成熟が図られた時期でもある。 この頃にクローンプロジェクトの一つであるCardWirthPyの開発が開始されている。
再開期(2011年頃~現在)
2012年、LynaによってCardWirthエンジンVer.1.28の機能拡張およびバグ修正ツールである「CardWirth Extender」が開発された。 これは長らく困難とされてきたCardWirthエンジン本体のリバースエンジニアリング(逆コンパイラによるソースコードの解析)の結果、実現されたものである。 このツールは同年3月にはgroupAsk official fansiteへ持ち込まれ、CardWirthエンジンへと組み込まれた。 この数日後には、多くのCardWirthユーザーにとって念願だった新バージョンであるVer.1.29として登場し、これをさらに改良したVer.1.30が同年10月にリリースされた。 2013年4月には、ソースコードを刷新して開発されたクローンエンジンであるVer.1.50が後継バージョンとして発表された。 その後、いわゆる私家版エンジンとしてCardWirthNextとCardWirthPyが相次いで公開されることとなる。 こうしたCardWirthエンジンの新バージョンを巡る動きに伴い、コミュニティの動きも再び活発化。 「Adventurer's GUILD」にも、引き続き新作シナリオが投稿されている。
- ^ a b (参考資料:ファンサイト「CardWirth Anthology」のコンテンツ「CWエッセイ」第8回・第43回・第44回)
- ^ (出典:CWエッセイ第8回「~カードワースの夜明け~」)
- ^ (出展:「CardWirth Users'Network」1999年7月24日7時48分のアムリタの発言)
- ^ (出典:「CardWirthUsers'Network」2001年3月9日7時17分のmishikaの発言)
- ^ 2013年までの文献に留められていることに留意
- ^ (210本中131本・・・出展:「CardWirthUsers'Network」2000年4月26日18時57分のTELぅぇぃの発言)
- ^ (参考資料:「CardWirthUsers'Network」2000年5月12日 19時25分「6132」番)
- ^ (参考資料:「CardWirth Users'Network」2000年9月2日 1時12分「7854」番)
固有名詞の分類
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