1号型魚雷艇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 01:10 UTC 版)
装備
28年度計画魚雷艇は、計画名を「丙型駆潜艇」と称したとおり、主任務である対水上邀撃に加えて、副次任務として対潜戦も考慮されていた。このため、船底中部にソナードームを配置して、ここにサーチライト・ソナーである試製55式SS探信儀1型OQS-1を装備した。ただし上記の通り、特に高速航行時の造波抵抗が大きく最大速力を制約したほか、これに伴うキャビテーション・ノイズのためにソナーの実用性も低かったとされている[3]。またマスト上部にはXバンドのOPS-4C対水上捜索レーダーが搭載されたがこれは7号型魚雷艇に至るまでの標準装備品となった[4]。
主兵装となる魚雷発射管としては、試製54式53センチ単装水上発射管HO-101が採用され、船体中部両舷に1門ずつが搭載された[4]。ここから運用される魚雷は国産の試製54式魚雷であり、直進式の1型(実用試験で問題が多発し、短期間で中止)のほか、パッシブ音響ホーミング方式の誘導魚雷である3型もあり、対潜兵器としても期待しうるものであった[9]。さらに対潜迫撃砲として、マウストラップ Mk.20を艦首甲板に2基搭載した。高角機銃としてはボフォース 40mm機関砲を単装のMk.3砲架に配して搭載した。砲身は空冷式で、操縦方式もアンプリダインとされていた[4]。
諸元表
1号型 | 3号型 | 5号型 | |
---|---|---|---|
基準排水量 | 75 t | 70 t | 75 t |
満載排水量 | 97 t | 92 t | 98 t |
全長 | 25.0 m | 26.0 m | 25.0 m |
最大幅 | 6.5 m | 6.8 m | 6.5 m |
深さ | 3.2 m | ||
吃水 | 1.2 m | 1.1 m | 1.2 m |
主機 | 三菱YV20ZC15/20 ディーゼルエンジン×2基 スクリュープロペラ×2軸 | ||
機関出力 | 4,000馬力 | ||
速力 | 30ノット ※公試では27ノット |
31ノット ※公試では28ノット |
30ノット |
兵装 | Mk.3 40mm単装機銃×1基 | ||
マウストラップ対潜ロケット砲×2基 | |||
HO-101 533mm魚雷発射管×2門 | |||
レーダー | OPS-4C 対水上捜索用 | ||
ソナー | OQS-1 船底装備式 |
同型艇
# | 艦名 | 建造所 | 起工 | 竣工 | 配属 | 区分変更 | 除籍 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
PT-801 → YAS-48 |
魚雷艇1号 | 日立造船 神奈川工場 |
1955年 (昭和30年) 5月18日 |
1956年 (昭和31年) 10月10日 |
第1魚雷艇隊 (横須賀地方隊) |
1970年 (昭和45年) 3月2日 |
1974年 (昭和49年) 9月30日 |
PT-802 → YAS-49 |
魚雷艇2号 | 1956年 (昭和31年) 11月15日 |
1970年 (昭和45年) 3月2日 |
1973年 (昭和48年) 3月31日 | |||
PT-803 → YAS-52 |
魚雷艇3号 | 三菱造船 下関造船所 |
1955年 (昭和30年) 5月11日 |
1956年 (昭和31年) 12月15日 |
第2魚雷艇隊 (横須賀地方隊 →呉地方隊) |
1972年 (昭和47年) 3月31日 | |
PT-804 → YAS-53 |
魚雷艇4号 | 1956年 (昭和31年) 12月18日 | |||||
PT-805 → YAS-54 |
魚雷艇5号 | 東造船 | 1955年 (昭和30年) 6月23日 |
1956年 (昭和31年) 10月12日 |
第1魚雷艇隊 (横須賀地方隊) |
1974年 (昭和49年) 3月30日 | |
PT-806 → YAS-55 |
魚雷艇6号 | 1956年 (昭和31年) 11月6日 |
- ^ 増田弘『自衛隊の誕生 日本の再軍備とアメリカ』中公新書、2004年、130-136頁。ISBN 978-4121017758。
- ^ a b 中名生正己「海上自衛隊哨戒艦艇の戸籍簿」『世界の艦船』第466号、海人社、1993年6月、 74-81頁。
- ^ a b 中山一富「海上自衛隊哨戒艦艇の任務」『世界の艦船』第466号、海人社、1993年6月、 70-73頁。
- ^ a b c d e 「写真特集・海上自衛隊哨戒艦艇の全容」『世界の艦船』第466号、海人社、1993年6月、 21-41頁。
- ^ a b c d 「海上自衛隊哨戒艦艇のテクニカル・リポート」『世界の艦船』第466号、海人社、1993年6月、 82-91頁。
- ^ 「海上保安庁全船艇史」『世界の艦船』第613号、海人社、2003年7月、 1-216頁、 NAID 40005855317。
- ^ a b 「海上自衛隊哨戒艦艇用主機の系譜」『世界の艦船』第466号、海人社、1993年6月、 92-97頁。
- ^ 「海上自衛隊全艦艇史」『世界の艦船』第630号、海人社、2004年8月、 1-261頁、 NAID 40006330308。
- ^ 香田洋二「国産護衛艦建造の歩み(第5回) 第1次防衛力整備計画以前 昭和29-32年度」『世界の艦船』第778号、海人社、2013年5月、 146-153頁、 NAID 40019640953。
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