諜報 歴史

諜報

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/12 04:08 UTC 版)

歴史

紀元前1世紀の兵法書『孫子』に「彼を知り己を知れば百戦殆からず」とあるように、古来から敵の情報を得ようとする試みが行われてきた。旧約聖書民数記13章には、12人の斥候英語版をカナンの地に送り情報を得ていたことが描かれている。古代インドの帝王学の教科書『実利論(アルタシャーストラ)』には身分を偽装するなどで諜報ネットワークを構築して情報を得て、暗号化して送る仕組み等についての教えが掲載されている。

世界最古の諜報報告書は西アフリカのマリ王国へ送られたもので、外交使節を装ったスパイによって作成された紀元前1750年頃の都市国家バビロン第6代王ハンムラビの死を伝える情報に機密のマークが押された粘土板である[12]

イギリスでは、18世紀にイングランド王国スコットランド王国が合併しグレートブリテン王国が設立される際に、アン女王の諜報の幹部としてダニエル・デフォーが活動している。

アメリカでは第一次世界大戦中、ウッドロウ・ウィルソン大統領顧問の情報将校ウォルター・リップマンが、ハプスブルク帝国の存続を大統領に進言したが帝国は崩壊した。

日本では、江戸時代オランダ商館にいた神聖ローマ帝国のドイツ人医師が日本地図を不法に持ちだそうとして露見したシーボルト事件があり、また、満州事変後から第二次世界大戦にかけてのソビエト連邦ゾルゲ諜報団の活動が露見したゾルゲ事件があった。

近代以降

近代以降、諜報機関(espionage agencies)は国家を対象とするだけでなく、違法な麻薬取引英語版テロリストをもターゲットにしている。2008年以来、米国は中国からのスパイ少なくとも57人を起訴している(中国の対外諜報活動英語版[13]

情報機関(intelligence services)は、特定のインテリジェンス(情報収集)手法英語版をより重視する傾向がある。 例えば、旧ソビエト連邦は、公開情報収集分析(オープン・ソース・インテリジェンス)よりも人的情報収集(ヒューミント)を好む一方、米国は電波情報分析(シギント)や衛星画像収集分析(IMINT)のような技術的方法を重視する傾向がある。 ソビエト連邦では、軍事諜報機関(GRU)の将校は、彼らがリクルートしたスパイ(諜報エージェント)の数によって判断された[14]


  1. ^ "諜報活動とは、秘匿されている情報を入手するために行われる活動を意味する" 小泉純一郎. (2006). 衆議院議員鈴木宗男君提出諜報活動の定義に関する質問に対する答弁書. 内閣衆質一六四第三四号.
  2. ^ "「スパイ活動」とは、一般に、相手や敵の様子をひそかに探る活動" 安倍晋三. (2020). 衆議院議員丸山穂高君提出スパイ活動に対抗し得る体制の確立に関する質問に対する答弁書. 内閣衆質二〇一第六六号.
  3. ^ Espionage”. MI5. 2019年6月7日閲覧。
  4. ^ Fischbacher-Smith, D., 2015. The enemy has passed through the gate: Insider threats, the dark triad, and the challenges around security. Journal of Organizational Effectiveness: People and Performance, 2(2), pp.134-156.
  5. ^ US Department of Defense (2007年7月12日). “Joint Publication 1-02 Department of Defense Dictionary of Military and Associated Terms” (PDF). 2009年11月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年10月1日閲覧。
  6. ^ treason Archived December 3, 2012, at the Wayback Machine.
  7. ^ espionage
  8. ^ spying Archived December 3, 2012, at the Wayback Machine.
  9. ^ Double Agent”. cia.gov. 2019年6月7日閲覧。
  10. ^ "Defectors say China running 1,000 spies in Canada". CBC News. June 15, 2005.
  11. ^ "Beijing's spies cost German firms billions, says espionage expert". The Sydney Morning Herald. July 25, 2009.
  12. ^ Foreman, Amanda (2015年11月4日). “Secret Agents, From Babylonian Tablets to James Bond” (英語). Wall Street Journal. 2022年8月18日閲覧。
  13. ^ Arrillaga, Pauline. "China's spying seeks secret US info." Archived May 19, 2011, at the Wayback Machine. AP, 7 May 2011.
  14. ^ Suvorov, Victor (1987). Inside the Aquarium. Berkley. ISBN 978-0-425-09474-7 
  15. ^ [1]


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