細胞性免疫 1型免疫

細胞性免疫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/17 09:27 UTC 版)

1型免疫

1型免疫は、次のような細胞型の1型サブセットを使用する。TH1、TC1、およびグループ1 ILCは、インターフェロンガンマ腫瘍壊死因子(TNF)を分泌することによりマクロファージを活性化し、強力なエフェクター細胞へと変化させる。これは、細胞内細菌原生動物ウイルスに対する防御を行う。また、炎症自己免疫にも関与しており、関節リウマチ多発性硬化症炎症性腸疾患などの疾患はすべて1型免疫が関与していると考えられている。1型免疫は次の細胞で構成されている[4]

  • CD4+ TH1細胞
  • CD8+ 細胞傷害性T細胞(TC1)
  • T-Bet+インターフェロンガンマ産生 グループ1 ILC(ILC1およびナチュラルキラー細胞)

CD4+ TH1細胞

これらの細胞の特徴的なサイトカインは、インターフェロンガンマリンホトキシンアルファ英語版であることが、マウスヒトの両方で明らかになっている。TH1細胞への分化を促す主なサイトカインは、パターン認識受容体の活性化に応反して樹状細胞が産生するIL-12である。T-bet英語版は、TH1細胞の特徴的な転写因子である。また、TH1細胞はケモカイン受容体英語版を発現して、炎症部位へ移動できることも特徴である。これらの細胞の主なケモカイン受容体はCXCR3A英語版CCR5である。上皮細胞ケラチノサイトは、インターフェロンガンマに応反してケモカインCXCL9英語版CXCL10英語版CXCL11英語版を放出することで、TH1細胞を感染部位に動員することができる。さらに、これらの細胞によって分泌されるインターフェロンガンマは、上皮性関門の密着結合ダウンレギュレートするのに重要な役割を果たしていると考えられる[4]

CD8+ TC1細胞

これらの細胞は一般的にインターフェロンガンマを産生する。インターフェロンガンマとIL-12は、TC1細胞への分化を促進する。T-bet英語版の活性化は、インターフェロンガンマと細胞溶解能の両方に必要である。CCR5CXCR3は、この細胞の主なケモカイン受容体である[4]

グループ1 ILC

グループ1 ILCは、転写因子T-bet英語版を発現している自然リンパ球(ILC)を含むと定義されており、当初はナチュラルキラー細胞のみを含むと考えられていた。その後、特定のマスター転写因子を発現するNKp46+細胞が多数発見され、ILC1と呼ばれるナチュラルキラー細胞の別系統として命名されるようになった。ILC1は、サイトカインの刺激に応答してインターフェロンガンマ、TNF、GM-CSF、およびIL-2を産生する能力を持っており、細胞障害能は低いか、まったくない特徴がある[4]


  1. ^ a b Janeway, Charles; Travers, Paul; Walport, Mark; Shlomchik, Mark (2001). Immunobiology (5th ed.). New York: Garland Science. ISBN 978-0-8153-3642-6. https://archive.org/details/immunobiology00char 
  2. ^ a b Natural Killer Cells”. British Society for Immunology. British Society for Immunology. 2018年11月8日閲覧。
  3. ^ a b Macrophages”. British Society for Immunology. British Society for Immunology. 2018年11月8日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j Annunziato, F; Romagnani, C; Romagnani, S (March 2015). “The 3 major types of innate and adaptive cell-mediated effector immunity.”. The Journal of Allergy and Clinical Immunology 135 (3): 626–35. doi:10.1016/j.jaci.2014.11.001. PMID 25528359. 
  5. ^ a b c Kansler, Emily R.; Li, Ming O. (July 2019). “Innate lymphocytes—lineage, localization and timing of differentiation”. Cellular & Molecular Immunology 16 (7): 627–633. doi:10.1038/s41423-019-0211-7. PMC 6804950. PMID 30804475. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6804950/. 


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