研究 目的

研究

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/28 01:42 UTC 版)

目的

研究と称される行為の目的は多種多様であり、自明に求められる成果は目的によって異なる。

学術的研究

学術的な研究の目的は、突き詰めれば新しい事実解釈発見である。それゆえ研究の遂行者は、得られた研究成果が「新しい事実や解釈の発見」であることを証明するために、それが先行研究によってまだ解明されていないこと(新規性)も示す必要がある。また、自身の研究成果が新しい発見であることを他の研究者によって認めてもらうためには、学会査読付き論文などにおいて研究成果を公表しなければならない。もしどんなに優れた研究成果が得られても、それが他の研究者によってすでに明らかにされていたとすれば精度のよしあし、方法/条件、解釈等に差異がない場合には、原則としてその研究は「無価値」に等しいとされる可能性がある。

逆に言えば、これらに違いがあれば素人目には同じに見えるかもしれない研究成果いずれもが、新規な成果として評価される場合もある。例えば原子分解能での物質の測定は、電子顕微鏡でも、走査型トンネル顕微鏡でも、原子間力顕微鏡でも達成されているが、いずれの研究も極めて高い評価を得ている。また、誰にも知られず埋没していた研究と同じ成果が、誰かに「再発見」されることによって、その分野の研究に大きく貢献したり、評価されたりすることはある。代表例としてメンデルの法則ガロア理論などがある。また、ほぼ同時に同じ研究成果を挙げたり、あるいは異なる分野で独立に研究されていたものが、後に同じ研究成果であると判明した場合など、「独立して」研究がなされたと見なされる場合も同様である。

逆に、たとえ先行研究であっても、たとえば研究会のみで発表して論文として発表していなかった場合、あるいは発表が遅れた場合などは、その研究が先行した研究と認知されない場合もある(代表例として内山龍雄ゲージ理論などがある)。

研究史の整理

上記のように誰かの先行研究と自身の研究内容が重複しないようにするためや、また過去にいかなる研究が行われ、いかなる論証・プロセスを経て現在の学説や理論が構築されてきたかを理解するため、先行研究(論文)を次々に読み、時系列的に整理していく作業を「研究史の整理」と言う。これは過去の研究成果を踏まえて新規性のある研究テーマを見出だし、また自身の研究を、今ある研究体系の中に位置付けしていく上で極めて重大な意味をもつ[1][2][3]

その他


  1. ^ Howard 2012, pp. 199–220.
  2. ^ 村上 2019, pp. 31–79.
  3. ^ 村上 2019, pp. 167–182.
  4. ^ What is Original Research? Original research is considered a primary source”. Thomas G. Carpenter Library, University of North Florida. 2011年7月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年8月9日閲覧。
  5. ^ Rozakis, Laurie (2007). Schaum's Quick Guide to Writing Great Research Papers. McGraw Hill Professional. ISBN 978-0071511223. https://books.google.com/books?id=XlIH4R9Z_k8C&pg=PT75 
  6. ^ Singh, Michael (2009年10月6日). “Early career researcher originality: Engaging Richard Florida's international competition for creative workers”. Centre for Educational Research, University of Western Sydney. p. 2. 2011年4月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年1月12日閲覧。
  7. ^ Callaham, Michael; Wears, Robert; Weber, Ellen L. (2002). “Journal Prestige, Publication Bias, and Other Characteristics Associated With Citation of Published Studies in Peer-Reviewed Journals”. JAMA 287 (21): 2847–50. doi:10.1001/jama.287.21.2847. PMID 12038930. 
  8. ^ US Department of Labor (2006). Occupational Outlook Handbook, 2006–2007 edition. Mcgraw-hill. ISBN 978-0071472883. https://books.google.com/books?id=oFFWt5oyA3oC&q=%22original+research%22&pg=PA178 
  9. ^ J. Scott Armstrong & Tad Sperry (1994). “Business School Prestige: Research versus Teaching”. Energy & Environment 18 (2): 13–43. オリジナルの20 June 2010時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100620223714/http://marketing.wharton.upenn.edu/documents/research/Business%20School%20Prestige.pdf 2020-12-218 December 2011閲覧。. 
  10. ^ Roffee, James A; Waling, Andrea (18 August 2016). “Resolving ethical challenges when researching with minority and vulnerable populations: LGBTIQ victims of violence, harassment and bullying” (英語). Research Ethics 13 (1): 4–22. doi:10.1177/1747016116658693. 
  11. ^ Sullivan P (2005年4月13日). “Maurice R. Hilleman dies; created vaccines”. The Washington Post. https://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A48244-2005Apr12.html 
  12. ^ Eyler, Amy A., PhD, CHES. (2020). Research Methods for Public Health. New York: Springer Publishing Company. ISBN 978-0-8261-8206-7. OCLC 1202451096. https://www.worldcat.org/oclc/1202451096 2020年12月21日閲覧。 
  13. ^ Kara H. (2012). Research and Evaluation for Busy Practitioners: A Time-Saving Guide, p. 102. Bristol: The Policy Press.
  14. ^ Kara H (2012). Research and Evaluation for Busy Practitioners: A Time-Saving Guide, p. 114. Bristol: The Policy Press.
  15. ^ Creswell, John W. (2014). Research design : qualitative, quantitative, and mixed methods approaches (4th ed.). Thousand Oaks: Sage. ISBN 978-1-4522-2609-5. https://books.google.com/books?id=PViMtOnJ1LcC 
  16. ^ Liu, Alex (2015). “Structural Equation Modeling and Latent Variable Approaches”. Emerging Trends in the Social and Behavioral Sciences. John Wiley & Sons, Inc.. pp. 1–15. doi:10.1002/9781118900772.etrds0325. ISBN 978-1118900772 
  17. ^ 気付いてないのはPIだけ?”. www.natureasia.com. 2023年7月5日閲覧。
  18. ^ 日経バイオテクONLINE. “研究主宰者(PI)”. 日経バイオテクONLINE. 2023年7月5日閲覧。






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