独立自動車化狙撃旅団 (ロシア陸軍) 独立自動車化狙撃旅団 (ロシア陸軍)の概要

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独立自動車化狙撃旅団 (ロシア陸軍)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/08 22:23 UTC 版)

概要

ソビエト連邦の崩壊後のロシア陸軍も基本的にソ連陸軍の編制を踏襲していたが、2007年アナトーリー・セルジュコフが国防相に就任すると、即応性の改善と組織・人員の合理化などを主眼とする大規模な改編が行われた[1]。この一環として基本作戦単位が師団から旅団に変更されることになり、2009年中に、千島列島に駐屯する第18機関銃・砲兵師団を除く全ての師団が解体された[1][2]

従来の師団編制では連隊戦闘団や大隊戦闘団などを編成して戦闘に臨むことが想定されていたが、南オセチア紛争チェチェン紛争の経験から、当時のロシア陸軍師団では、実際には各連隊で1個の大隊戦闘団を編成するのがせいぜいであることが判明していた[2]。このことから、規模は連隊並みだが完結した戦闘団として機能する旅団を基本作戦単位とすることで、実質的な戦闘能力は維持しつつ組織の合理化を図るものであった[2]。定数約4,000名の新型旅団84個が編成されたが、このうち装甲部隊を中心とする戦車旅団(重旅団)は4個のみで、装輪装甲車で移動する自動車化狙撃旅団(中旅団)や軽装備の山岳旅団(軽旅団)が主体となっており、大規模戦争型から小規模紛争対処型へのシフトが鮮明となった[2]

ただし師団から旅団への改編によって大きく兵力を減じたにもかかわらず、担当すべき戦線の幅は師団時代と変わらず20キロメートルとされており、戦力不足が指摘されていた[2]。また旅団化による戦略機動力の向上が期待されていたが、実際には重装備は鉄道で輸送しなければならないため師団時代と大差がなく、またアメリカ陸軍の旅団戦闘団の高い機動力の背景にあるような強力な兵站支援能力も欠いていることも指摘されるなど、旅団化改編には多くの問題が指摘されていた[2]。このため、2012年にセルジュコフ国防相が更迭されると、2013年に第2親衛自動車化狙撃師団ロシア語版および第4親衛戦車師団が復活したのを端緒として、一部で師団編制も復活した[2]

編制

2008年12月にロシア連邦軍参謀総長により承認された定員表では、輸送手段に応じて、以下の3タイプの自動車化狙撃旅団が規定された。

  1. 定員表第5/50号:BMP装備
  2. 定員表第5/55号:BTR装備
  3. 定員表第5/60号:MT-LBV装備

組織構成

  • 旅団司令部
  • 統制・電波探知偵察小隊
  • 統制小隊
  • 修理・復旧大隊
  • 物資保障大隊
  • 警備中隊
  • 衛生中隊
  • 新聞編集部
  • 印刷所
  • 軍楽隊
  • クラブ
  • 教官小隊
  • トレーナー小隊
  • 演習場

人員

  • 少将: 1名
  • 大佐: 5名
  • 中佐: 29名
  • 少佐: 43名
  • 大尉: 68名
  • 上級中尉: 181名
  • 下士官: 1,005名
  • 兵: 3,061名
  • 被教育者: 10名
  • 計: 4,394名

装備

以下は、MT-LBV型大隊の装備。

主要装備

指揮統制
  • 統制所PU-12M(9S482M) x1
  • 偵察・統制所PPRU-1M x1
  • 指揮所9S912 x8
  • 指揮・幕僚車R-142TO x2
  • 指揮・幕僚車R-142NMR x6
  • 指揮・幕僚車R-149BMRG x10
  • 指揮・幕僚車R-149BMR x9
  • 指揮・幕僚車R-142T x1
高射砲兵
野戦砲兵
歩兵
戦車・装甲車
工兵
電子戦・通信
  • 電波探知局35N6 x2
  • 無線局R-166 x1
  • 無線局R-166-0 x5
  • 衛星通信局R-441-О x1
  • R-381T2 x3
  • 局R-381Т3 x1
  • 電波妨害局R-378B x2
  • 電波妨害局R-330B x4
  • RKhM-6 電波探知車両 x3
その他

自動車装備

  • 自動車 x752
    • 軽自動車 x2
    • 貨物車 x315
    • 特殊車両(汎用) x12
    • 特殊車両(兵科・兵種) x423
  • 兵器牽引、兵員・貨物輸送、兵器・機材組み立て用の装軌式輸送・牽引車 x204
  • 兵器・機材牽引、兵器・機材組み立て用の装軌式輸送・牽引車 x33
  • 機材牽引、組み立て用のトラクター x1
  • 輸送連結車 x143

動物

  • 警備犬 x16
  • 地雷捜索犬 x12

部隊一覧

以下は、実際に編成されているロシア軍の独立自動車化狙撃旅団


  1. ^ a b 小泉 2016, pp. 211–216.
  2. ^ a b c d e f g 小泉 2016, pp. 241–246.
  3. ^ Ponomarenko, Illia (2022年3月2日). “EXCLUSIVE: Voice message reveals Russian military unit's catastrophic losses in Ukraine”. The Kyiv Independent. 2023年1月1日閲覧。
  4. ^ Суд в Чернигове приговорил танкиста из РФ к 10 годам – DW – 08.08.2022” (ロシア語). dw.com (2022年8月8日). 2023年1月1日閲覧。
  5. ^ Российского танкиста осудили на 10 лет за обстрел многоэтажки” (ロシア語). Радио Свобода (2022年8月8日). 2023年1月1日閲覧。


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