水着 使用目的による分類

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水着

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/19 02:20 UTC 版)

使用目的による分類

運動用

競技やフィットネスに用いられる水着。体を動かす支障にならないこと、脱げにくいこと、(特に競泳において)水の抵抗を減らすことが求められる。競泳用水着、スクール水着、フィットネス水着など。過去、競泳選手は水着自体による水の抵抗を減らすために肌の露出度を高める傾向があり、男子ブリーフ型、女子ハイレグ型が一般的であった。2000年代頃から水着の素材や表面の模様を工夫することによって、水着表面の抵抗が肌の抵抗を下回るようになると、首、手首または腕、足首を除き、全身を包み込む様な物等が普及し始め、長尺の水着を使用する事が多くなった。オリンピック競技などの水着は新素材・ハイテク素材が積極的に投入されている。ライフセーバーにおいても同様の全身を包み込む様な物等が普及し始めているが、これらは危険回避や体温の維持などを重視した物が多い。

  • 競泳用 - 基本的に「競泳用」と呼ばれるものは水泳連盟(世界水泳連盟〈WA〉←国際水泳連盟〈FINA〉)の公認を受けている。密着度・圧迫度が非常に高くフィットネス用途に比べると伸縮性が低い。抵抗が少なく身体の無駄なブレを防ぐが、耐久性は重要ではないため劣化が激しい[注釈 1]。また、男子水着は女子と同じワンピース型を除き腰で履くことを想定されている。これは、腹にあわせてしまうと、水の流入方向、臀部と腹部の径の違い、動作による腹部の径の変化から密着性が損なわれ抵抗が増大するためである。このため臀部(臀裂)が若干露出状態になるが、着用する水着が既製品であるため避けられない。しかし、臀部(臀裂)が大きく露出する状態は臀裂と水着との隙間に入り込む水が多く、結果抵抗となる。また、競技用のハイグレードの水着は極端に小さいサイズを着用すると大腿部や臀部の動作に制限が起きやすい。このような状態は競技には向かず、水着のサイズが合っていないと言える。男女ともに、適切なサイズより小さいサイズを選択することは、この2つのデメリット以外にも、素材が伸びすぎてしまい設計意図どおりの性能を発揮できな可能性があり、サイズ選びは注意が必要である。
  • フィットネス用 - 競泳用に比べタイトではなく水中運動を楽しむためのもので、素材の自由度が高いためデザイン性が高い。ほとんどの製品が柔らかく伸縮性の高い生地を(部位・製品によっては二枚重ねで)使い、動きやすさ、着心地への工夫がなされている。形状としては競泳用に準ずるものが多いが女子用はセパレーツタイプもある。
水球用水着 男性(左)、女性 (右)
  • 水球 - 競技特性上、滑りやすい素材を二枚重ねにしたり、表面処理を施しつかみにくく、破れにくくなっている。二枚重ねを施すことなどにより全体的に生地が厚めに仕上げられているものが多い。水球の稼動範囲の大きな動きに対応した、臀部の生地にゆとりがあるものもある。

遊泳用

ファッション性を重視し、男性はサーフ形、女性はワンピースタイプや、胸部と下腹部にそれぞれ着用するビキニタイプといわれるものが一般的である。海岸での海水浴やプールなどでの水遊びのために用いられる水着。専ら見た目の華やかさ、スタイルを美しく見せることが重視される。特に女性用は各メーカーのファッションデザイナーが毎年、新作を発表し水着キャンペーンガールと呼ばれる女性達が広告宣伝を行っている。デザイン・色・模様などはまさしく千差万別ではあるが、白のように薄い色合いの布地は水に濡れると透けてしまうことから(後述するような「見せるためのもの」を除いては)使われることは少ない。しかし2000年代頃より「透けない白」などと呼ばれる新素材を用いたものが登場している。

潜水用

シュノーケリングなど、主として水面で行われるレジャーとしての簡易な潜水の場合は、多くの場合遊泳用水着が用いられる。潜行を伴うスキンダイビングスクーバダイビングでは、ウェットスーツドライスーツが用いられる場合が多い。水温が30℃を超えるような場合には、ダイブスキン(あるいはスキンスーツ)と呼ばれる、全身を覆う形状の水着が着用される場合もある。

ラッシュガード

低温、紫外線、擦過傷、あるいはクラゲ等の有害生物から身体を保護することや肌の露出を少なくすることを目的としたトップス用水着である。シャインガードと呼ばれる場合もある。他の水着と併用され、サーフフィンの場合ウエットスーツの内側に着用されることが多い。また有害生物が内部に侵入することを防ぐため、伸縮性のある生地を用い、身体に密着させる。形態は男性用、女性用ともほぼ同じで、着丈の比較的長い長袖あるいは半袖である。素材としては身体の保護性能を高めるため、他の水着よりは厚く、目の詰まった素材が用いられることが多い。形態・素材の点で従来の水着と若干異なるため、商品としては水着とは区別して販売される傾向にあるが、用途や基本的な構造等の点では実質的に水着そのものである。ボトムス向けには「スイムトレンカ」や「スイムレギンス」などがあり、目的はラッシュガードと同じである。特に保温性能を高めた商品は「ウェットインナー」の名称で販売されていることがある。また、全身を覆うワンピース型の商品は、特にダイブスキンと呼ばれ、ラッシュガードとは呼ばれない。

見せるためのもの

水着を着用して、水着を含む体全体を第三者に見せる事自体を目的とする時に用いられる水着。

水着をファッションとして使用するため、デザインや肌の露出度の高さが水着本来の機能よりも優先されることが多い。水着キャンペーンガールレースクイーンミス・コンテスト、またはアイドルの水着撮影会の時に着用される。他にボディビルダーが極端に布地の面積の小さいビキニタイプの水着を着用する場合もある。

余談だが、ダンス、体操競技などで着用するレオタードもあるが、中にはデザイン的に水着と大差ないものもある。水着との相違点は、レオタードは腰や腹、胸だけでなく、肩や背中、首、両腕まで全身にフィットする作りであること。水着でお馴染みのスパンデックス素材を使用したローレグタイプの長袖レオタードは、体操、新体操選手など多くの女子、女性に練習、競技をはじめ、写真撮影で健康で魅力的な身体を見せるのに着用され、水泳等で水着として着用されてもおかしくなかったが、水中での透け対策の裏地が付いていなかった為に使われなかった。 後に中国にある青島アンダーウォーターワールド[1]のアトラクションのひとつとして「水中オリンピック」が行われ、その中の演目の一つとして女子新体操選手に扮装する女性ダイバーが披露する「水中ダンス」がある。巨大水槽に潜りながら演技を見せるのに見た目と様式をきちっとしたい理由で、女性スキューバダイバーには体操・新体操等で使用するローレグタイプの長袖レオタードを着用し、足ヒレを付け、水中ゴーグルを装着したら巨大水槽に飛び込むこととなる。水中では着衣水泳を行う感覚で潜り、全身びしょ濡れになりながら演技を披露するなど、レオタードが水着として使用された一例である[2] [3] [4]

女子プロレスラー用

女子プロレスラーの試合用コスチュームも、通例『水着』と呼称する。これはかつて、水着を改修して試合用のコスチュームとしていたことにより言い習わされたもので、1990年代後半以降も新人は水着を改修したものを使用することが多かった。しかし、後にコスチュームの多様化もあり「リング・コスチューム(リンコス)」との呼称が定着している。


注釈

  1. ^ 競泳用を含め水着素材に多用されているスパンデックス(ポリウレタン)はプールや海中に含まれる塩素に特に弱く、着用後のメンテナンスを十分に行わなければ劣化の進行がより速くなる(大気中の水分だけでもポリウレタンの加水分解による劣化が進むため、回避できない)。
  2. ^ ブリーフ型の競泳水着については、ミズノでは「Vパンツ」、arenaデサント)では「リミック」、SPEEDOゴールドウイン)では「ショートブーン」とそれぞれ呼んでいる。
  3. ^ 日本では2006年以降、各都道府県等水泳連盟への選手登録・出場登録は全て「SWMSYS」と呼ばれる電算システムにより行われており、その登録データを利用する。後にインターネット経由に統一。
  4. ^ 一例がストッキングの伝線現象である。
  5. ^ アシックスの公式サイト上にあるASICS CATALOG JP(電子カタログ)でも22SS(2022年版)を最後に水着関連カテゴリが消えている。

出典

  1. ^ 青岛海底世界 - 旅游
  2. ^ 青岛海底世界 - 青岛海底世界门票60元/人
  3. ^ 青岛海底世界 - “美人鱼”表演艺术体操
  4. ^ 青岛海底世界 - 潜水员在水下表演
  5. ^ 「男女同形の水着 欲しかった/体形隠し 日焼け防ぎ 着替えは楽/100校が導入検討/学校現場の要望 きっかけに」朝日新聞』夕刊2022年8月16日1面(2022年8月28日閲覧)
  6. ^ a b 国際水連理事会広報58号”. 国際水泳連盟 (2009年7月28日). 2009年8月30日閲覧。
  7. ^ 水着ならびに記録の取り扱いについて』(PDF)(プレスリリース)日本水泳連盟、2011年6月5日http://www.swim.or.jp/11_committee/06_project/pdf/1106071.pdf2011年7月28日閲覧 
  8. ^ 日本水連、五輪代表選手にスピード製水着の着用認める”. AFPBB News (2008年6月11日). 2024年2月24日閲覧。
  9. ^ 競泳代表水着“自由化”3社外からも公募”. 日刊スポーツ (2010年5月7日). 2024年2月24日閲覧。
  10. ^ アシックス、日本水連とのサプライヤー契約解除へ 水着など提供”. 産経新聞 (2022年4月28日). 2024年2月27日閲覧。
  11. ^ 水着用のインナーって必要?インナーショーツの必要性とおすすめのインナーショーツをご紹介!”. エンドレスサマーライフ (2022年10月20日). 2023年12月31日閲覧。
  12. ^ 【コレで解決】水着のアンダーショーツ(インナー)って必要なの?” (2015年6月15日). 2023年12月31日閲覧。
  13. ^ スイムウェア(水着)のインナーショーツとは?必要性や男女別の種類などを紹介”. ULLR MAG. (2020年8月13日). 2023年12月31日閲覧。
  14. ^ ベビー用スイムウェア(水着)を選ぶときに注意したいポイントは?”. ULLR MAG. (2020年7月30日). 2023年12月31日閲覧。
  15. ^ a b c d 透けの有無は水着を着用して入浴するかシャワーを浴びてたっぷり水着に水分を吸収させた上でなどを使って確認する水着にインナーは必要?”. Life Adviser Queen (2017年6月17日). 2024年1月1日閲覧。
  16. ^ 男児用水着のインナー生地を確認しましょう -陰茎部の皮膚が挟まり、取れなくなることも-”. 独立行政法人国民生活センター (2021年7月15日). 2024年1月1日閲覧。
  17. ^ 小学生の水着おすすめ10選【男の子&女の子】セパレートや丈長めなど種類が豊富!”. マイナビおすすめナビ (2023年5月8日). 2024年1月1日閲覧。
  18. ^ もう悩まない!小学生の女の子の水着を選ぶ3つのポイント【サイズ・デザイン・価格】”. JS-CUTE (2023年5月28日). 2023年12月31日閲覧。
  19. ^ 小学生女子の水着のパットはいつから?種類別の付け方と選び方”. 転妻ハック (2020年4月11日). 2023年12月31日閲覧。
  20. ^ 女子だけの秘密…水着を着る時の必須アイテム「ヌーブラ」「パッド」の違いは?バストメイク術もご紹介!”. PEAK&PINE (2023年6月15日). 2023年12月31日閲覧。
  21. ^ 北京市、「非文明的」行為を禁止 公衆衛生の向上目指す AFPBB News(2020年4月27日)
  22. ^ 男性が腹を出す「北京ビキニ」、中国済南市で禁止に 「非文明的」CNN(2019年7月5日)2022年8月28日閲覧






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