母の初恋 登場人物

母の初恋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/29 11:45 UTC 版)

登場人物

佐山
41、2歳。映画のシナリオ作家。元来は戯曲の作家で、舞台台本書きへの転身を考えている。妻と子供が2人(女の子と男の子)いる。真面目な性格。田舎出身。嫁いだ姉が2人いる。昔の恋人の娘・雪子を3年前に引き取った。
時枝
30歳くらい。佐山の妻。佐山より11歳若いが、家庭の中にでんと尻を据えて落ち着いている。人がよく人情脆い。一切の望みを子供達の上に置いて、自分の若さを大方忘れている。
雪子
19歳。色白。死んだ母親よりも美人。はにかみがちな内気な娘。14歳の時に母が死亡し、女学校を辞め、しばらく百貨店の寄宿舎に住み込みで食堂の給仕の仕事をしていた。16歳で佐山家に引き取られた。女学校を去年卒業。料理好きで女学校3年の時から養母・時枝の家事手伝いをする。婚礼の時に手荒れだといけないから水仕事はしなくていいと言われても、婚礼の日の朝食の支度や佐山の子供たちの弁当も作る。佐山を「おじさん」と呼ぶ。佐山と居ても、知らず知らずに溝の縁を歩く悲しい癖がある。
民子
雪子の母。佐山の元恋人。33、4歳で病死。佐山に結婚を申し込まれ婚約していたが、肉体関係はなかった。17、8歳で最初に結婚した男(映画新聞の記者)は結核となり、男の田舎で看病したが死亡し、一人娘の雪子を連れて根岸と再婚するが貧乏で苦労が重なり、心臓腎臓を患う。雪子が13歳の時に根岸と離婚し、麻布十番の裏町で母子2人暮らしていたが、翌年に死亡。死ぬ前に娘に、「佐山さんによろしく」と言う。
根岸
民子と再婚した男。雪子の継父朝鮮を浮浪して来た鉱山技師内地へ帰っても山気が抜けず、運よく鉱山に務めても、すぐ自分の野心を出しては追われ、居所も分からない時が多かった。民子は方々の山へ夫を追っかけ歩き、東京に落ち着いたと思いきや、酒場などで働かされ、その金が貯まると、夫はまた飛び出して行くという有様だった。雪子に嫌われている。
若杉
大学を3年ほど前に出た銀行員係累は少ない。佐山の働いている撮影所に出入りしている洋服屋が縁談の仲立ちの内職をしていて、その男が雪子を見て、若杉の縁談を持って来た。
雪子の親友
雪子の女学校時代の友達。佐山が雪子の新婚旅行の宿屋を探しに熱海へ旅立つ時に、バス停まで見送った雪子が、そばのポストにためらいがちに投函した手紙の送り主。

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 三島由紀夫「解説」(『夜のさいころ』浪漫新書・トッパン、1949年1月)。「『夜のさいころ』などについて」(『狩と獲物』要書房、1951年6月)。三島27巻 2003, pp. 129–133に所収
  2. ^ a b 「あとがき」(『正月三ヶ日』新声閣、1940年12月)。評論5 1982, p. 595に所収
  3. ^ a b c 「解題」(小説7 1981, pp. 591-)
  4. ^ 「あとがき」(『川端康成選集第9巻 高原』(改造社、1939年12月)。評論5 1982, pp. 567–662
  5. ^ a b c d e f g 高見順「解説」(愛する 2006, pp. 223–230)
  6. ^ a b c 「後姿」(「父母への手紙」第二信)(文藝時代 1932年4月号)。小説5 1980, pp. 181–232、作家の自伝 & 1994-09に所収
  7. ^ a b 「第三章 千客万来の日々――満州行」(秀子 1983, pp. 75–156)
  8. ^ a b 川嶋至「『伊豆の踊子』を彩る女性」(上・下)(北海道大学国文学会 国語国文 第18・19号、20号、1961年3月、12月)。「第三章 精神の傷あと―『みち子もの』と『伊豆の踊子』―」(川嶋 1969, pp. 65–111)
  9. ^ 川嶋至「『母の初恋』論のための序章」(苫小牧駒澤短期大学研究紀要 第2号、1966年11月)。「『母の初恋』をめぐる一つの推論」(北海道大学国文学会 国語国文研究 第36号、1967年2月)。「第五章 ひとつの断層―みち子像の変貌と『禽獣』の周辺―」(川嶋 1969, pp. 158–199。森本・上 2014, pp. 399–340
  10. ^ a b 福田淳子「母の初恋」(事典 1998, pp. 297–298)
  11. ^ 「カバー解説」(愛する 2006
  12. ^ a b c d 「第三章 恋の墓標と〈美神〉の蘇生――自己確立へ 第五節 〈美神〉の蘇生『母の初恋』」(森本・上 2014, pp. 398–414)
  13. ^ a b 「第三章 恋の墓標と〈美神〉の蘇生――自己確立へ 第七節 新しい〈美神〉『故園』と『天授の子』」(森本・上 2014, pp. 450–472)
  14. ^ 田中保隆「故園」(作品研究 1969, pp. 189–204)






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