松浦鉄道
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/01 04:26 UTC 版)
経営
1988年の開業以来、会長を長崎県知事、副会長を佐賀県知事、社長を佐世保市長が務め、佐世保の主要財界人が軒並み役員を務める体制で運営されてきた。駅数を32から57に増やし、列車の運転間隔も15 - 20分おきにするなどの工夫により、2000年度まで黒字経営を維持。沿線に高校や病院が多いことも幸いし、「三セクの優等生」と言われていた。
だが、沿線自治体は佐々町を除いて過疎化が進行しており、利用客は1996年の年間442万人をピークに減少。2001年以降はついに赤字経営に陥った。このため、長崎・佐賀両県と沿線市町は2006年度から8年間で23億円を支援することを決定した。なお、この際に「支援する側の自治体と、される側の経営者が同一なのはおかしい」との議論が起きたため、両知事と佐世保市長が役員を退任し、民間出身の社長が就任している。
2006年末時点で、具体的な廃線議論には至っていなかったが、沿線自治体の財政力ではさらなる支援は困難と見られており、支援が切れる2014年以降の経営存続が大きな課題となっていた。2013年10月に、2014年度からの10年間で沿線自治体からの総額約15億8千万円の支援が決定し[14]、運賃の値上げや観光路線の強化、商業施設の誘致により赤字を圧縮できる仕組みを進めていき、地域の交通インフラを整備していくことになった。沿線自治体は連絡協議会を組織しており、拠出金で松浦鉄道を支援する基金を設けている[15]。
自治体から財政支援を受けつつ、駅の新設や改称、サブ駅名(愛称)導入による旅客掘り起こし、レンタル列車の貸切、列車命名権契約の募集などによる増収にも努めている[16][17]。
2009年には、長崎スマートカードを導入したい意向を示し[18]、2011年3月12日から利用が開始された。各車両にカード読取装置を設置の上、各有人駅で長崎スマートカードによる回数券と定期券を発売している。なお、長崎電気軌道と同様に車内でのセルフ積み増しは可能だが、松浦鉄道ではモバイル長崎スマートカードは使えない。長崎スマートカードを利用して伊万里駅で佐世保方面の列車と有田方面の列車を乗り継いでも乗り継ぎ先の運賃は割り引かれないが、上限200円となる日のみ2乗車目が無料になる。なお、2020年3月1日よりnimoca (nagasaki nimoca) が導入され[8][9]、同年5月31日をもって長崎スマートカードの利用を終了し、nimocaに完全移行した[9][10]。nimocaに関しては各駅に簡易改札機などの対応機器を設置せず、専ら各車両のカード読取装置によって対応している。nimocaを利用して60分以内に指定駅(終着駅が設定されている佐々駅・たびら平戸口駅・松浦駅・伊万里駅)で列車を乗り継いだ場合、運賃は通しで計算される(実際は1回目の乗車で降車駅までの運賃を一旦引き去り、2回目の乗車で残りの運賃を引き去る形になる)。
- ^ a b c d e f “決算公告” (PDF). 松浦鉄道株式会社. 2019年7月25日閲覧。
- ^ 国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』令和元年度版、電気車研究会・鉄道図書刊行会
- ^ a b 「列車で宅配便も運びます 三セク松浦鉄道と佐川がタッグ」 - 朝日新聞デジタル2019年11月29日(2019年11月30日閲覧)。
- ^ 一例として、MRに乗ってウォーキング【2019年】松浦鉄道(2019年11月29日閲覧)。
- ^ ホームページを開設いたしました。松浦鉄道(2019年11月30日閲覧)。
- ^ 実際はそれ以前から、ホームページが存在しており、インターネット・アーカイブには最古で2006年7月4日時点の松浦鉄道ホームページが保存されている。
- ^ 松浦鉄道と佐川急便が貨客混載事業を開始しました。 - 松浦鉄道(2019年11月27日)2019年11月29日閲覧。
- ^ a b c (PDF)『nimocaサービス開始のお知らせ』(プレスリリース)松浦鉄道/株式会社ニモカ、2020年1月17日。 オリジナルの2020年1月20日時点におけるアーカイブ 。2020年1月20日閲覧。
- ^ a b c d “「ナガサキニモカ」 松浦鉄道での利用始まる 長崎電気軌道は記念カード販売”. 長崎新聞 (長崎新聞社). (2020年3月2日). オリジナルの2020年3月29日時点におけるアーカイブ。 2020年3月29日閲覧。
- ^ a b “長崎スマートカードの払戻し対応について”. 松浦鉄道. 2020年9月5日閲覧。
- ^ ダイヤモンド・オンライン2019年11月11日配信「上野動物園モノレールとお別れ、その意外な生い立ちを振り返る」(2019年11月29日閲覧)では“沖縄唯一の鉄道「沖縄都市モノレール(ゆいレール)」”と表現されている。
- ^ 会社概要 - 沖縄都市モノレール(2019年11月29日閲覧)。
- ^ 松浦鉄道 ダイヤ改正・JR直通列車廃止(2020年3月14日〜) - 鉄道コム、2020年3月10日
- ^ 「松浦鉄道に15億8千万円 10年で負担」『佐賀新聞』電子版(2013年10月24日)2019年11月29日閲覧。
- ^ 「松浦鉄道、沿線自治体の負担金増額へ」佐賀新聞LiVE(2019年11月6日)2019年11月30日閲覧。
- ^ 堀内重人『チャレンジする地方鉄道』(交通新聞社新書、2013年、ISBN 978-4-330-41813-1)の松浦鉄道編。
- ^ サブ駅名標のご紹介松浦鉄道(2019年11月30日閲覧)。
- ^ 松浦鉄道の最近の取り組み (PDF)
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