技術士 概要

技術士

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/27 14:49 UTC 版)

概要

技術士は、専門的な知識、高等の応用能力、豊富な実務経験、高い倫理観を持った技術者とされる[4]。技術士法第2条は、技術士および技術士補を次のように定義している。

  • 「技術士」とは、第32条第1項の登録を受け、技術士の名称を用いて、科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価またはこれらに関する指導の業務を行う者(他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務を除く。)をいう。
  • 「技術士補」とは、技術士となるのに必要な技能を修習するため、第32条第2項の登録を受け、技術士補の名称を用いて、前項に規定する業務について技術士を補助する者をいう。

技術士法で述べられている「高等の専門的応用能力」とは、受験対策書では「これまで習得した知識や経験等に基づき、対処すべき課題に合わせて正しく問題を認識し、必要な分析を行い、判断し、対応策の企画立案等を実施できる能力」[5]と説明されている。

技術士(補)登録

技術士(補)は、登録技術者(レジスタード・エンジニア)制であり、試験に合格しただけでは技術士(補)ではない[6]。技術士(補)になるためには、登録免許税と登録手数料を納付した上で、日本技術士会に申請書類を提出する必要がある[6]

名称独占

技術士は業務独占資格ではないため、技術士でなくても、技術士法で述べられているような業務を行うことができる[7]。しかし、名称独占の国家資格であるため[8]、技術士でない者が技術士を名乗って業務を行うことができない[7]。技術士は、国家によって一定レベルの問題解決能力を認められている上、技術士法第45条および59条により、罰則付きの秘密保持義務を課されているため、無資格の技術者と比較して、顧客の信用を得やすいと考えられる。

技術士法第57条は、技術士(補)の名称独占を定め、以下の行為を禁じている。

  • 技術士(補)登録をしていない者や登録を取り消された者が技術士(補)を名乗ること
  • 技術士(補)登録をした者が、登録したものとは異なる技術部門について技術士(補)を名乗ること

ただし、1950年(昭和25年)に電波法に基づき制定された無線技術士(1990年(平成2年)より陸上無線技術士)は、技術士とは異なる国家資格であるが、技術士に先行する国家資格であるため、名称独占の例外であるとみなされている。

なお、技術士の英文名称は「Professional Engineer」、技術士補の英文名称は「Associate Professional Engineer」とされているが、技術コンサルタントを職業とする者が広告、名刺などにおいて、コンサルティングエンジニア(「Consulting Engineer」, 「CE」)を名乗ることに問題はないものとされる[9]。他国における同様の資格制度と混同を避ける趣旨で「Professional Engineer, Japan (P.E.Jp)」が使われることがある[10]


  1. ^ "技術士". 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2022年2月5日閲覧
  2. ^ a b 技術士 Professional Engineer とは”. 日本技術士会. 2023年12月21日閲覧。
  3. ^ a b 修習技術者支援実行委員会 2015, p. 1.
  4. ^ a b 岩熊 2009, p. 121.
  5. ^ 佐藤国仁、岡孝夫、小林彰、近藤光夫、杉内正弘、矢田美恵子、山本弘明『技術士第二次試験合格ライン突破ガイド』(第3版)日刊工業新聞社、2008年、95頁。ISBN 9784526060052 
  6. ^ a b 「技術士」の新規登録手続き”. 日本技術士会. 2024年1月1日閲覧。
  7. ^ a b 修習技術者支援実行委員会 2015, p. 44.
  8. ^ 日本技術士会 2014, p. 888.
  9. ^ 英文表記について”. 日本技術士会. 2023年12月21日閲覧。
  10. ^ 技術士に関連する英文表記”. 日本技術士会国際委員会 (2022年10月26日). 2024年2月27日閲覧。
  11. ^ a b c 小坂谷 2015, p. 234.
  12. ^ a b c 日本技術士会 2014, p. 954.
  13. ^ 政府情報システムの整備及び管理に関する標準ガイドライン実務手引書第6章
  14. ^ 認定情報技術者(CITP)2021 年度 技術士(情報工学)向け申請案内” (PDF). 情報処理学会. 2021年7月18日閲覧。
  15. ^ a b 『技術士』 516巻、2010年2月号、日本技術士会、2010年、64頁。ISSN 0389-1488国立国会図書館書誌ID:000000033895 
  16. ^ 建設コンサルタント登録の要件
  17. ^ 『技術士』 516巻、2010年2月号、日本技術士会、2010年、66頁。ISSN 0389-1488国立国会図書館書誌ID:000000033895 
  18. ^ 賃金構造基本統計調査”. 総務省. 2017年7月16日閲覧。
  19. ^ 技術士の年収&給料”. 年収ラボ. 2024年1月5日閲覧。
  20. ^ 「労働基準法第14条第1号及び第2号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準を定める件の一部を改正する告示」及び「労働基準法施行規則第24条の2の2第2項第6号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する業務を定める件の一部を改正する告示」について”. 厚生労働省 (2002年2月13日). 2023年12月30日閲覧。
  21. ^ 労働基準法第十四条第一項第一号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準(平成15年厚生労働省告示第356号)”. 厚生労働大臣 (2003年10月22日). 2023年12月30日閲覧。
  22. ^ 国家資格試験の受験・免除規定(技術士の特典)”. 日本技術士会. 2024年1月1日閲覧。
  23. ^ a b 技術士制度について” (PDF). 日本技術士会. p. 22 (2023年4月). 2024年1月1日閲覧。
  24. ^ 日本技術士会 2014, p. 875.
  25. ^ 水野勝成 (2003年11月18日). “【IT業界の資格指南】第3回 技術士試験(上)”. 日経クロステック. 日経BP. 2024年1月3日閲覧。
  26. ^ 日本技術士会 2014, pp. 886–887, 962.
  27. ^ a b 日本技術士会 2014, p. 962.
  28. ^ 日本技術士会 2014, pp. 887, 962.






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