悪臭防止法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/06 09:28 UTC 版)
制定の経緯
1967年に公害対策基本法(昭和42年法律第132号)が制定された。悪臭は、典型公害の一つとして規定されたが、規制基準は定められなかった。これは、悪臭が感覚的公害であり、直接的に健康被害を引きおこすおそれがないと考えられてきたこと、また、悪臭物質の把握及び測定、被害との量的関係の推定等が困難であったこと、悪臭公害防止のための技術開発が遅れていたことが要因であった。
このため、悪臭に関する研究および悪臭防止技術の開発の進展、悪臭の防止に対する国民の世論の高まりを背景に1971年に悪臭防止法が制定され、特定悪臭物質の濃度による規制が始まった。
しかし、物質の濃度による規制では、未規制の物質や複合臭気に対して充分な効果をあげられないため、1996年に法改正が行われ、嗅覚測定法による臭気指数の規制が導入された。
規制基準
評価方法は、「特定悪臭物質」の濃度による規制と、「臭気指数」を用いる規制の2種類ある。都道府県知事(市の区域においては市長)は、物質の濃度又は臭気指数による規制の種類及び規制基準を定めなければならない。規制基準は、(1)敷地境界線における大気の基準、(2)気体排出口における基準、(2)排出水の基準について、それぞれ、政令の範囲内で定めることとなる[1]。
- 特定悪臭物質
- 不快なにおいの原因となり、生活環境を損なうおそれのある物質であって政令で指定するもの。(以下の22物質)
- アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、イソブタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエン、スチレン、キシレン、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸
- 臭気指数
- 人間の嗅覚によってにおいの程度を数値化したもの。この測定には、一般に三点比較式臭袋法を用いる。
規制地域
都道府県知事(市の区域においては市長)は、住民の生活環境を保全するため悪臭を防止する必要があると認める住居が集合している地域を規制地域として指定する。
- ^ “悪臭防止法 | e-Gov法令検索”. elaws.e-gov.go.jp. 2023年8月6日閲覧。
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