名古屋ガイドウェイバス
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路線
名古屋ガイドウェイバスの運行区間(高架区間)と名古屋市営バスの運行区間(平面区間)を合わせて、交通渋滞の影響を受けずに快適に移動ができる特徴を反映して「ゆとり」と「ストリート」を掛け合わせた「ゆとりーとライン」という愛称がつけられている[34]。
車両
営業用車両
共通事項
ゆとりーとラインで使用される車両は全て名古屋ガイドウェイバスが保有しているが、管理は平面区間の運行事業者(高架区間の運行受託者)が行っており、2009年10月1日以降は全車が名古屋市営バス大森営業所に集約されている。
軌道線車両(動力から見れば気動車)扱いであるので、形式称号が存在し、全車両に通し番号がある。車内には軌道線車両としての「全般検査」の時期が記入されているほか、前面ガラスには自動車としての車検期限のステッカーも貼られている。
名古屋ガイドウェイバスの車両には、前輪及び後輪の付近において車両を誘導する案内装置が設置されており、一般道走行時に適用される道路運送車両法の保安基準に抵触しないよう、一般道を走行中は前輪の案内輪アームを車輪内側に格納できるよう設計されている[23]。直線部における走行安定性と曲線部における案内軌条への追従性を高めるため、直進性を加える安定化装置を搭載している[35]。
車両故障時に後続車による推進運転を行うため、連結棒と連結棒受が用意されている[35]。
総務省無線局免許状等情報によると、名古屋ガイドウェイバスは2019年7月現在、300MHz帯の公共業務用無線(いわゆる列車無線)の基地局1、陸上移動局29を有する。この無線は平面区間では作動しない[23]。
2012 - 2014年度導入分
2010年5月24日の名古屋市会都市消防委員会において、名古屋ガイドウェイバスの次期車両の開発に着手したことが明らかになった。開発費用として2010年度から2012年度までの3年間で5億8100万円の市予算が投入された[36]。2011年度にはこの予算内で試作車(後述)が製造されていることが2013年10月2日の同委員会で明らかになっている。
2012年3月8日の同委員会では、2000年度導入分について走行距離が80万kmを超えるものが出てきたことから、2012年度から2014年度までの3年間で市予算により最大30台の新車を導入してこれを置き換えることとされた。2013年2月26日の同委員会では、2000年度導入分において25台中7台にしか装備されていなかった身障者用ステップリフトが全車両に装備されること、走行用ランフラットタイヤの製造メーカーであるミシュランによる耐久試験に時間を要したことから実際の納入は2013年4月以降となること、車両の置き換えに合わせて緊急無線システムと運行監視システムの更新が行われることが明らかになった。最終的に28台が導入され、車両購入に15億7100万円、システム更新に2億4400万円の市予算が投入された[36]。
形式は「GB-2110型」としている[37]。日野自動車製のハイブリッドバス(ブルーリボンシティハイブリッド)で、床下に案内装置を搭載するスペースを確保するため、ノンステップから試作車扱いでツーステップとしている[38]。GB-2100型と比較するとベース車のオーバーハングが大きいため、ホイールベースおよび車体長を若干縮小している[38]。同じくベース車の都合で、トランスミッションはマニュアルとなっている[38]。案内装置は三菱重工業製である[38]。
2000年度導入分(廃車)
2000年度の開業時には、以下の4形式が導入された[35]。
GB-1000型 | GB-1100型 | GB-2000型 | GB-2100型 | |
---|---|---|---|---|
車体本体 | 三菱自動車工業 KL-MP35JM |
日野自動車 KL-HU2PMEA | ||
案内装置 | 三菱重工業 神戸製鋼所 |
日本車輌製造 新潟鐵工所 | ||
リフト | なし | 極東開発工業 | なし | 日本リフト |
エンジン | 6M70(直列6気筒) | P11C(直列6気筒) | ||
トランスミッション | アリソン 4速オートマチック |
ZF 4速オートマチック |
4形式合計で25台が製造され、開業時における平面区間の運行事業者(高架区間の運行受託者)に下記の通り割り当てられた[35]。
GB-1000型 | GB-1100型 | GB-2000型 | GB-2100型 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
名古屋市営バス 大森営業所 |
G-11 G-12 G-13 G-14 G-15 |
G-16 G-17 G-18 |
8台 | ||
名古屋鉄道 春日井自動車営業所 (2004年10月1日から 名鉄バス春日井営業所) |
G-51 G-52 G-53 G-54 G-55 G-56 G-57 |
G-58 G-59 |
9台 | ||
ジェイアール東海バス 瀬戸営業所 |
G-81 G-82 G-83 G-84 |
G-91 G-92 |
G-93 G-94 |
8台 | |
合計 | 11台 | 2台 | 7台 | 5台 | 25台 |
割当事業者ごとに仕様に細かな差異があり、例えば名鉄車には平面区間用の音声無線機が搭載されている一方で、バンパーデッキと後部の清掃用握手がない[39]。
名古屋市は2000年度予算で、名古屋ガイドウェイバスがリフト付きバスを導入するための改造費用に対する補助金として3000万円を計上していたが、2000年12月22日、名古屋市内の障害者団体などが市監査委員に対し、「リフト付きバスを25台のうち3台とする計画は交通バリアフリー法の精神に反している」「交通弱者の利用に目を向けない事業への補助金支出は不当だ」として、支出の停止を求める住民監査請求を行った[40]。これに対し名古屋ガイドウェイバスは「市の補助金は3台分だが、リフト付きバス自体は7台の導入を予定している」とした[40]。市監査委員は2001年2月19日、交通バリアフリー法の車両の基準適合義務を定めた規定は2001年4月1日以降に運行を開始する車両について適用されるものであること、実際には25台中7台がリフト付きバスとなることから、「交通弱者への配慮を欠いた事業とは言えず、補助金支出の不当性は認められない」として上記請求を退ける監査結果を通知した[41]。
これらの4形式では、前輪に中子式ランフラットタイヤを採用しているが、2001年3月下旬から4月上旬にかけて(つまり開業直後の1ヶ月間に)右前輪の異常破損が5件発生した[35]。調査の結果、平面区間の運行中にチャッターバーを踏んだことにより中子(アルミ製)が破損し、その破片が走行を続けるうちに内側からタイヤを破壊したものと結論付けられた[35]。これを受けて、暫定措置として前輪タイヤの空気圧を高くするとともに、チャッターバーを踏まないように運転することとされた[35]。問題のタイヤについてはその後構造の改良が行われており、同様の故障は発生していない[35]。
事業用車両
開業時に、建設省土木研究所(現在の国土交通省国土技術政策総合研究所)において走行試験に使用されていたガイドウェイバスを譲り受け、凍結防止剤散布作業車として使用した[42]。降雪の予報で事前散布の必要がある場合や、路面が湿潤し凍結の恐れがある場合に、営業時間外に10 - 20km/hの低速で走行しながら散布を行う[42]。公式刊行物では、本社1階に留置されている様子や、社会見学に来た児童にガイドウェイバスの仕組みを説明するための教材として使用されている様子が紹介されている[43]。
2012年4月9日、真っ白な塗装の日野自動車製のリフト付きツーステップハイブリッドバス(HU8J)が納車され、同日中に軌道内での試運転が行われた。こちらものちに融雪剤散布装置を設置し初代作業車を置き換えた。
運賃
以下では高架区間内および高架区間と平面区間に跨る区間の運賃について言及する。平面区間のみを利用する場合については「名古屋市営バス#乗降方式・料金」を参照。
区間 | 大人 | 小児 |
---|---|---|
1区 | 200円 | 100円 |
2区 | 230円 | 110円 |
3区 | 250円 | 120円 |
高架区間と平面区間をまたいで乗車する場合には、名古屋ガイドウェイバスと名古屋市営バスの運賃を合算した金額から区間に応じて20円 - 140円(小児の場合10円 - 70円)の併算割引を適用した額となる。
高架区間の初乗り運賃は2019年10月に値上げとなった名古屋市営バスや名古屋市営地下鉄とは異なり、10円安い200円に据え置かれている(平面区間のみ利用の場合は名古屋市営バスに合わせて210円となる)。
障害者割引
身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳(名古屋市では愛護手帳)を提示した場合は運賃が半額になる[45]。
乗継割引
manacaを利用して高架区間と名古屋市営地下鉄・名古屋市営バス(ゆとりーとライン平面区間を除く)とを90分以内に乗り継ぐことで、2回目の乗車について運賃が80円引きとなる[46]。高架区間と名鉄電車や名鉄バスとの間には乗継割引は適用されない。
- ^ 企業情報 - 名古屋ガイドウェイバス
- ^ a b c d e 第25期決算公告
- ^ 出資団体監査 - 名古屋市
- ^ 国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』令和元年度版、電気車研究会・鉄道図書刊行会
- ^ 浅井建爾『道と路がわかる辞典』(初版)日本実業出版社、2001年11月10日、252-253頁。ISBN 4-534-03315-X。
- ^ 浅井建爾『日本の道路がわかる辞典』(初版)日本実業出版社、2015年10月10日、164頁。ISBN 978-4-534-05318-3。
- ^ a b “ゆとりーとライン:企業情報”. 名古屋ガイドウェイバス. 2013年4月2日閲覧。
- ^ a b c 国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』平成十八年度版、電気車研究会・鉄道図書刊行会
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- ^ 中日新聞 2000年11月23日
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- ^ 朝日新聞 2001年3月6日
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- ^ 中日新聞 2001年3月13日
- ^ 朝日新聞 2001年3月23日
- ^ 「学生さんに特報!特別割引通学定期「ゆとりーと『学・遊』パス」8月25日新発売!」名古屋ガイドウェイバス、2004年8月18日
- ^ 「ゆとりーとライン乗客1000万人突破について」名古屋ガイドウェイバス、2005年4月13日
- ^ a b c d 「RA2008-01 鉄道事故調査報告書 名古屋ガイドウェイバス株式会社ガイドウェイバス志段味線 ナゴヤドーム前矢田停留場〜大曽根停留場間車両脱線事故 (PDF) 」2008年10月31日、運輸安全委員会
- ^ 「輸送の安全確保の徹底に関する警告について (PDF) 」中部運輸局鉄道部、2007年11月16日[リンク切れ]
- ^ 「ガイドウェイバス志段味線車両脱線事故 文書警告に対する報告書 (PDF) 」2009年6月15日、名古屋ガイドウェイバス[リンク切れ]
- ^ ICカード乗車券の名称とデザインを決定しました 名古屋鉄道ニュースリリース 2010年4月16日
- ^ ICカード乗車券「マナカ」の導入及びそれに伴うゆとりーとカード・紙定期券の取り扱いについて ゆとりーとライントピックス 2010年12月14日
- ^ ゆとりーとライン10周年記念企画の実施について ゆとりーとライントピックス 2011年4月5日
- ^ 方向幕装置の売り上げを東北関東大震災義援金として寄付いたしました ゆとりーとライントピックス 2011年4月21日
- ^ ゆとりーとライントピックス:守山市民病院駅の駅名変更について(お知らせ) - 名古屋ガイドウェイバス、2013年2月27日。
- ^ ゆとりーとライントピックス:ゆとりーとライン料金改定のお知らせ - 名古屋ガイドウェイバス、2014年7月3日。
- ^ a b ガイドウェイバス(ゆとりーとライン)におけるICカード全国相互サービスの拡充について - 名古屋ガイドウェイバス、2016年1月29日
- ^ ゆとりーとライン:ゆとりーとライントピックス:「精神障害者への割引運賃の適用」について - 名古屋ガイドウェイバス、2016年3月2日
- ^ “専用軌道で渋滞回避 名古屋ガイドウェイバス 新システムの車両公開”. 毎日新聞. (2000年11月15日夕刊)
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- ^ a b 経営健全化方針【名古屋ガイドウェイバス株式会社】 (PDF) - 名古屋市 2019年2月
- ^ オリジナルグッズ - 名古屋ガイドウェイバス
- ^ a b c d バスラマ・インターナショナル 138号
- ^ 名古屋ガイドウェイバス『ガイドウェイバス志段味線建設の記録』 - 2004年3月、車両詳細仕様一覧表(380頁 - 391頁)
- ^ a b 中日新聞、2000年12月23日
- ^ 中日新聞、2001年2月20日
- ^ a b 名古屋ガイドウェイバス『ガイドウェイバス志段味線建設の記録』 - 2004年3月、駅舎建築及び軌道工事章(73 - 89頁)
- ^ 名古屋ガイドウェイバス『ガイドウェイバス志段味線建設の記録』 - 2004年3月、冒頭カラー頁
- ^ 運賃 - 名古屋ガイドウェイバス
- ^ 「ゆとりーとライン:Q&A(よくある質問) の「Q06.身体障害者手帳、療育手帳、愛護手帳を提示すると割引が受けられますか?」」名古屋ガイドウェイバス
- ^ 乗継割引 - 名古屋市交通局
- ^ a b c d e f g h 運賃 - 名古屋ガイドウェイバス
- ^ 定期券の購入方法 - 名古屋市交通局
- ^ 名古屋市交通局が発行する場合は「市バス全線」となる。
- ^ a b 他社との連絡定期券 - 名古屋市交通局
- ^ 名古屋ガイドウェイバスおよび名古屋市交通局は通学定期券の購入区間を自宅 - 学校に限定しておらず、名古屋臨海高速鉄道および名鉄は名古屋ガイドウェイバスとの連絡定期券を発行していないため、結果として事業者ごとに分割して購入することが可能となっている。
- ^ この場合、ゆとりーとラインを小幡緑地を挟んで乗り通すときは、毎回降車時に運転手に申し出てmanacaの入場記録を消去することになる。
- ^ 名古屋市外郭団体改革プラン【名古屋ガイドウェイバス株式会社】 (PDF) -名古屋市住宅都市局
- ^ 名古屋市外郭団体経営検討委員会議事のまとめ (PDF) -外郭団体経営検討委員・名古屋市 2010年2月
固有名詞の分類
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