北硫黄島 地形・地質

北硫黄島

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/20 10:23 UTC 版)

地形・地質

北硫黄島は海底から聳える海底火山体の一部を成すが、島の西側に直径8×12km程度の埋没したカルデラらしき地形があり[6]、島はカルデラ形成以前より存在した山体の可能性がある。また、このカルデラの西側に水深100~160mの平坦面が形成されており、これは最終氷期の島棚と考えられている[7][8]。山体は侵食が著しく[8]。山頂付近に火口は残っていない[7]。島での噴火の記録はない[7]

噴火浅根

北硫黄島を載せる海底火山は噴火浅根とよばれ、カルデラ壁や側火山がいくつかの峰を成す。カルデラ中心は北ノ岬の西方約5kmに位置する中央火口丘で最浅部で-14mの標高がある。北硫黄島に現在火山活動は確認されていないが、噴火浅根は有史に記録が残る活火山[注釈 2]に分類されている[9][10][11]

玄武岩質の成層火山で、山体の体積は3,338km3富士山のおよそ6倍に及び、裾野の面積はおよそ2倍に拡がる。海洋底からの標高は5,500mにも達し、この規模は日本の活火山の中で最大である[12][13]。中期更新世に活動し[14]、約14万年前まで活動した[14]。1780年以降にも活動記録がある[15]

2022年の噴火

2022年3月27日、28日に噴火が確認された。27日午後6時頃、気象衛星ひまわりの観測によって噴煙が確認され、午後11時過ぎに周辺海域に噴火警報が発表された。この噴火による噴煙は高さ約7,000mに上った。その後、28日にも噴火が確認された[16]。なお、翌日以降の上空からの観測では海面に浮遊物や変色水が確認されず、噴煙とされたものは雲だった可能性も指摘されている。

海形海山

海形海山は北硫黄島の北北西約140kmにある海底火山で、南部にある海徳海山(後述)と水深2,200m付近で尾根を接している[17]

海徳海山

海徳海山は北硫黄島の北北西約80kmにある海底火山。最浅部の標高は-95m。活火山に分類されている。[10][18]


注釈

  1. ^ 2島は、2009年に「海洋管理のための離島の保全・管理のあり方に関する基本方針」に基づき名称が決定したもの
  2. ^ 陸上の北硫黄島は活火山ではないが、同一山塊にある噴火浅根は活火山。

出典

  1. ^ a b c d e 北硫黄島”. 小笠原村. 2022年3月31日閲覧。
  2. ^ 日本の主な山岳標高 - 国土地理院、2017年6月閲覧
  3. ^ 日本の火山 北硫黄島(画像ページ16) - 産業技術総合研究所 地質調査総合センター、2017年6月閲覧
  4. ^ 日本のレッドデータ検索システム”. jpnrdb.com. 2021年10月17日閲覧。
  5. ^ https://twitter.com/ibo_sznbnk/status/1249605127733837825”. Twitter. 2021年10月17日閲覧。
  6. ^ 日本の火山 北硫黄島(画像ページ5) - 産業技術総合研究所 地質調査総合センター、2017年6月閲覧
  7. ^ a b c 海域火山データベース:噴火浅根 - 海上保安庁、2020年6月閲覧
  8. ^ a b 中野俊, 古川竜太、「火山列島,北硫黄島火山の地質概要」 『地質調査研究報告』 2009年 60巻 7-8号 p.395-405, doi:10.9795/bullgsj.60.395
  9. ^ 気象庁-噴火浅根
  10. ^ a b 海上保安庁 海域火山データベース -噴火浅根
  11. ^ 気象庁-噴火浅根の火山情報
  12. ^ 個別火山データ 395 ver. (991222)”. http://arukazan.jp/. 2020年3月19日閲覧。
  13. ^ 巽好幸『富士山大爆発と阿蘇山大噴火』幻冬舎、2016年、70頁。ISBN 978-4-344-98420-2 
  14. ^ a b 日本の火山 北硫黄島 - 産業技術総合研究所 地質調査総合センター、2017年6月閲覧
  15. ^ 気象庁-噴火浅根 有史以降の火山活動
  16. ^ 小笠原諸島の海底火山「噴火浅根」で噴火 母島の南西約160㌔”. 朝日新聞 (2022年3月28日). 2020年3月28日閲覧。
  17. ^ 9.国内外の主な火山現象による津波観測記録一覧表、10.個別火山の津波発生要因に関する調査結果の詳細”. 原子力規制委員会. 2022年1月10日閲覧。
  18. ^ 気象庁-海徳火山
  19. ^ a b c d e f g h i j k 清水浩史『秘島図鑑』河出書房新社、2015年、022-025頁。ISBN 978-4-309-27615-1 
  20. ^ 明治24年勅令第190号(島嶼所属名称、明治24年9月10日付官報所収、 原文
  21. ^ 田中琢「周辺からの視点」(田中琢・佐原真著『考古学の散歩道』岩波新書(新赤版)312 1996年第9版)179ページ
  22. ^ 2009年(平成21年)10月27日環境省告示第43号「北硫黄島鳥獣保護区を指定した件」
  23. ^ 2009年(平成21年)10月27日環境省告示第44号「北硫黄島特別保護地区を指定した件」
  24. ^ 小笠原諸島の海底火山「噴火浅根」で噴火 母島の南西約160㌔”. 朝日新聞 (2022年3月28日). 2020年3月28日閲覧。


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