労働時間等の設定の改善に関する特別措置法
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事業主等の責務
事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない(第2条1項)。
- 法は、主に事業主の労働時間等の設定の改善に向けての自主的取組を促し、労働時間等設定改善を促進しようとするものであることから、事業主の責務を定めたものであること。具体的には、事業場の労働時間等設定改善を図るため、例えば、フレックスタイム制や変形労働時間制の活用による業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備等の措置を講じるよう努めなければならないこととしたものであること(平成18年4月1日基発第0401006号)。
事業主は、労働時間等の設定に当たっては、その雇用する労働者のうち、その心身の状況及びその労働時間等に関する実情に照らして、健康の保持に努める必要があると認められる労働者に対して、休暇の付与その他の必要な措置を講ずるように努めるほか、その雇用する労働者のうち、その子の養育又は家族の介護を行う労働者、単身赴任者(転任に伴い生計を一にする配偶者との別居を常況とする労働者その他これに類する労働者をいう。)、自ら職業に関する教育訓練を受ける労働者その他の特に配慮を必要とする労働者について、その事情を考慮してこれを行う等その改善に努めなければならない(第2条2項)。
- 労働者の健康や生活上の事情により特に配慮を要する労働者に対して、その事情を考慮した労働時間等の設定を行う等の事業主の責務を定めたものであること。具体的には、特に健康の保持に努める必要があると認められる労働者に対して、休暇の付与その他の必要な措置を講じるように努めるほか、子の養育又は家族の介護を行う労働者、単身赴任者、自ら職業に関する教育訓練を受ける労働者その他の特に配慮を必要とする事情を有する労働者に対して、その事情を考慮した労働時間等の設定を行う等、労働時間等設定改善に努めなければならないこととしたものであること(平成18年4月1日基発第0401006号)。
事業主の団体は、その構成員である事業主の雇用する労働者の労働時間等の設定の改善に関し、必要な助言、協力その他の援助を行うように努めなければならない(第2条3項)。
- 事業主団体を構成している事業主にあっては、構成員である事業主が同一歩調で労働時間等設定改善を進めることが効果的であるので、そのような取組が促進されるよう事業主団体の責務を定めたものであること。具体的には、事業主団体の構成員である事業主が労働時間等設定改善を進めやすくするため、方策の検討・実施等に関する事業主間の意見交換の場を設けることのほか、啓発資料の作成・配布、各種情報の提供等の援助を行うよう努めなければならないこととしたものであること(平成18年4月1日基発第0401006号)。
事業主は、他の事業主との取引を行う場合において、著しく短い期限の設定及び発注の内容の頻繁な変更を行わないこと、当該事業主の講ずる労働時間等の設定の改善に関する措置の円滑な実施を阻害することとなる取引条件を付けない等取引上必要な配慮をするように努めなければならない(第2条4項)。
- 個々の事業主が労働時間等設定改善に取り組もうとしても、週末発注週明け納入等の短納期発注や発注内容の頻繁な変更等取引先との関係により、長時間労働を余儀なくされている状況がみられるところであることから、このような状況を改善するため、事業主がこうした取引条件を付すことにより他の事業主の労働時間等設定改善の取組を阻害することがないよう、納期の適正化、発注事務の円滑化、発注内容の明確化等について配慮することを責務としたものであること(平成18年4月1日基発第0401006号)。
- ^ 平成14年に年間総実労働時間を1,816時間にまで減った。
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