分限処分 最高裁判所判例

分限処分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/18 05:45 UTC 版)

最高裁判所判例

地方公務員法に基づき県教育委員会小学校校長に対してなした降任の分限処分についての取消訴訟判決において、最高裁判所は次のような判断を示している[2]

任命権者の裁量

任命権者が分限処分を行うにあたり、如何なる処分を行うかは任命権者の裁量に委ねられている。ここで認められている裁量の範疇について、次のとおり説示し、任命権者の純然たる自由裁量に委ねられてはいないとしている。

「分限処分については、任命権者にある程度の裁量権は認められるけれども、もとよりその純然たる自由裁量に委ねられているものではなく、分限制度の…目的と関係のない目的や動機に基づいて分限処分をすることが許されないのはもちろん、処分事由の有無の判断についても恣意にわたることを許されず、考慮すべき事項を考慮せず、考慮すべきでない事項を考慮して判断するとか、また、その判断が合理性をもつ判断として許容される限度を超えた不当なものであるときは、裁量権の行使を誤つた違法のものであることを免れないというべきである。」

必要な適格性を欠く場合とは

地方公務員法第28条第1項第3号に定める「その職に必要な適格性を欠く場合」とはどのような状況を指し、いかにして判断すべきかについて、次のとおり説示している。

「『その職に必要な適格性を欠く場合』とは、当該職員の簡単に矯正することのできない持続性を有する素質、能力、性格等に基因してその職務の円滑な遂行に支障があり、または支障を生ずる高度の蓋然性が認められる場合をいうものと解されるが、この意味における適格性の有無は、当該職員の外部にあらわれた行動、態度に徴してこれを判断するほかはない。その場合、個々の行為、態度につき、その性質、態様、背景、状況等の諸般の事情に照らして評価すべきことはもちろん、それら一連の行動、態度については相互に有機的に関連づけてこれを評価すべく、さらに当該職員の経歴や性格、社会環境等の一般的要素をも考慮する必要があり、これら諸般の要素を総合的に検討したうえ、当該職に要求される一般的な適格性の要件との関連においてこれを判断しなければならないのである。」


注釈

  1. ^ 1964年の分限免職は姫路城保存工事事務所の廃止と憲法調査会事務局の廃止に伴ってそれぞれ3人に行われた。

出典

  1. ^ 知恵蔵mini『分限免職』 - コトバンク
  2. ^ 最高裁判所第二小法廷昭和48年9月14日判決昭和43(行ツ)95 行政処分取消請求(通称 広島県公立小学校長降任)(最高裁判所HP)
  3. ^ 社会保険庁の廃止に伴う職員の移行等の状況について[リンク切れ](厚生労働省HP)
  4. ^ 分限免職処分の取り消しを求め社保庁元職員が集団提訴(日刊ベリタ 2010/09/05)
  5. ^ [1]
  6. ^ [2]






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